香港の空から「きのう何食べた?」/映画「桃 (タオ) さんのしあわせ」


パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

¥ 3,092

(2013-05-10)

 
飯田橋ギンレイホールで。あらすじはギンレイホールのサイトから。
使用人として同じ家に60年間仕えてきた桃さんが、ある日脳卒中で倒れた。雇い主の息子で映画プロデューサーのロジャーは、彼女の希望で老人ホームを探し、まるで母親のように献身的に面倒をみる… 本作プロデューサーの実体験を元に老いをテーマにつづった感動の物語!
日経新聞の映画評でこの作品を知り、「主演女優は本作品でヴェネツィア国際映画祭で主演女優賞を受賞。これは当然といえる」という結びの文章が印象的で、これは見なくてはーと意気込んだものの、公開当時はみごとに見はぐった。それがギンレイホールで上映するというのです、それは行かなくては、万難を排して行かなくては!
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO46924960V01C12A0BE0P01/
映画が始まって数秒、「あらっ、これ主演がアンディ・ラウなの!?」「あらっ、この作品って香港が舞台なの?」とあらあら予想外にこれはツボツボな作品ではないでしょうか、と見進める。「雇い主の息子ロジャー」がアンディ・ラウ、桃さんはディニー・イップ。
ある日、ロジャーが仕事先から戻ると桃さんが家で倒れている。脳卒中だ。いままで長い間(それこそ親子四代にわたって!)当たり前のように世話をし続けてくれた桃さんの看病にロジャーは奔走する。老人ホームにひとまず入院させるが、桃さんはそこで様々な立場の老いた男と女たちと出会う。ロジャーは仕事の合間を縫って見舞いに行ったり、一緒にゴハンを食べたり。桃さんの料理は、アンディ・ラウの幼馴染の胃袋を鷲掴みにしており、ある日、幼なじみたちがロジャーの家に集まり「桃さんの料理が食べられないなんて寂しいな」とあるアクションを起こす。はい、そこで鼻をすする音が劇場内の四方八方から! 
人の死ではなく、主従関係にあるふたりが静かにその最後の時を迎えるのを描いた作品で、お涙頂戴というほど湿っぽい話ではないです。一日一日が静かに過ぎ、ちょっと嬉しい出来事や華やかな出来事があり、胸をふさぐ寂しい出来事や悲しい出来事もあり、それでも季節がめぐり、最後の時がやってくる、そして物語が静かに幕を閉じる、そういう淡々とした話。
人に紹介する時、「義母です」と紹介してまわるロジャーの姿にちょっと胸が熱くなる。ディニー・イップの演技は素晴らしく(老人メイクも出色で!)、個人的には2人の飼い猫のカカちゃんを助演女優賞を与えたく。そんでそのアンディ・ラウが、少々中井貴一化してるのが気になるのですが、原題『桃姐』、英題『A Simple Life』、ちょっとこのゆるふわ邦題がぁぁととっちめたくならないわけではないですが、香港で見上げた高層マンションのいくつかの窓の中では、こういった使用人と主人の関係が繰り広げられていたんだなぁと。
インファナル・アフェアに出てたおっちゃんとかがちらほら出てるので、
香港映画好きはぜひー。サモ・ハン・キンポーも出てるよ☆
Wikipdiaによる映画情報、読めるような読めないような・・・・
http://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%83%E5%A7%90

国道16号沿いの青春/高村薫「冷血」

高村 薫
毎日新聞社

¥ 1,680

(2012-11-29)

高村 薫
毎日新聞社

¥ 1,680

(2012-11-29)


“合田雄一郎”シリーズ最新刊
2002年クリスマス前夜。東京郊外で発生した「医師一家殺人事件」。衝動のままATMを破壊し、通りすがりのコンビニを襲い、目についた住宅に侵入、一家殺害という凶行におよんだ犯人たち。彼らはいったいどういう人間か?何のために一家を殺害したのか?ひとつの事件をめぐり、幾層にも重なっていく事実。都市の外れに広がる<荒野>を前に、合田刑事は立ちすくむ― 人間存在の根源を問う、高村文学の金字塔!


(上巻)「この身もふたもない世界は、何ものかがあるという以上の理解を拒絶して、とにかく在る。俺たちはその一部だ」
犯行までの数日間を被害者の視点、犯人の視点から描く第一章『事件』、容疑者確保までの緊迫の2ヶ月間を捜査側から描く第二章『警察』を収録。
(下巻)「子どもを二人も殺した私ですが、生きよ、生きよという声が聞こえるのです」二転三転する供述に翻弄される捜査陣。容疑者は犯行を認め、事件は容易に「解決」へ向かうと思われたが・・・・・・。合田刑事の葛藤を描く圧巻の最終章『個々の生、または死』収録。

あらすじは紀伊國屋書店のサイトから。
GW前半の三日間で一気に読んだ。
犯人たちの、被害者たちの、積み重なっていく日常が!
先日、「太陽を曳く馬」を読み終わったあと、私の頭のなかには「生きよ生きよ、粛々と生きよ」というメッセージがずしりと残ったのだけれども、今回、その字面を下巻の中に見つけ、どきりとした。
高村薫は、あいまいな時代ではなく、くっきりとした日付で物語を進めていくことが多いけれど、2002年12月に起きた物語の中のその医師一家殺人事件から物語の決着を見る2005年冬までの、日本や世界が体験してきた数々の事件・事故・自然災害のそれぞれもちらりと描かれて、この殺人事件が実際に自分たちの生きる世界の中で起きているような気持ちにされる。この殺人事件の犯人の戸田も井上も、殺された医師一家のひとりひとりも、日本のどこかで、生きている。ひとりの「戸田」が物語の「戸田」になることもあれば、「戸田」にならずに一生を終えることもあるだろう、そういった生々しさもあいまって。犯人のひとり「井上」は、2002年、横浜の長者町のパチンコ屋で働いていた、仕事が終われば16号線をGT-Rに乗り行ったりきたりする。馬堀海岸の海に飛び込むような角度のあるカーブがお気に入りで、町田や相模原の国道沿いのファミリーレストランで目玉焼きの乗ったハンバーグを食べ、またスロットをうちに行く・・・。1990年台に横浜のこのあたりに住んでいたからかもしれないけど、2002年の「井上」の姿が私には見えるんじゃよー、目に浮かぶんじゃよー。
最後の十数ページは「あぁ、そろそろ、高村薫ワールドが終わっちゃうなー」と寂しく思いながらページをめくりました。そして物語の中で触れられていたいくつかの映画や文学を近いうちに読んでおかなければと思うのです。
働け働け働け、生きよ生きよ粛々と生きよ!

アメリカン弁護士はじめて物語/映画「声をかくす人」


アミューズソフトエンタテインメント

¥ 2,968

(2013-04-03)

 
南北戦争終結後、新しい国を導くはずのリンカーン大統領が暗殺される。犯人グループはすぐに逮捕されるが、その中に南部出身の女性メアリー・サラットも含まれていた。一貫して無実を主張し続ける彼女に隠された秘密とは… アメリカ初の女性死刑囚の史実に迫る感動作!
あらすじはギンレイホールのサイトから。
原題「The Conspirator」、直訳すると共謀者。
ワシントンで下宿屋を営むメアリー・サラット、そこで出入りしている彼女の息子の知人らが大統領暗殺を企て、実行する。この映画の主人公は北軍の英雄であり、戦争後は本業である弁護士に復帰したエイキン(ジェームス・マカヴォイ)、メアリーの弁護人を務めます。
民間人であるメアリーに対し軍事裁判が開かれ、北軍の将軍だらけで彼女の有罪ありきで裁判が進められ、検察側の証人は信用に足らない人物ばかり、なかには買収されたのかと思われる人まで。三権分立がなぜそれほどまに重要なのかやっと社会の教科書の内容を理解した次第。「こういう非常時なんだからとっとと死刑にして済ませろ!」と上層部は決めつけ、エイキンは名誉陸軍兵士の資格も剥奪されるようないじめに遭いながらも、彼女の弁護に奔走するのだが・・・・
南部の人間の弁護なんて・・・と尻込みするエイキンに「法を照らす弁護士たれ!」と指導する役どころのトム・ウィルキンソンがよかった。フル・モンティに出てたおじちゃんだよね。アメリカの民家の造作や、家具や壁紙などは、もしかして1865年あたりかほとんど変わってないのか、などという発見もできて有意義でした。力作でしたよ。監督はロバート・レッドフォード、よい映画でした。
これからの映画といえば、新作スーパーマンでげすね。ゾット将軍を、マイケル・シャノンが演じるのです。いひひ。あの、マイケル・シャノンが、ゾットしょうぐん!!!! それだけを見に劇場に行きたいとおもいます。いやぁたまに、ロシアンルーレットのマイケル・シャノンさんが夢にでてくるもの、「いつ撃つの!? 今でしょ!」って日本語喋りながら・・・・。

ヒッピーてうオランダうさぎ春の野に/リンドグレーンの妖精のお話と一枚の半カーフのおはなし

週末、実家に帰った。中央高速道路は新宿から八王子あたりまでは新緑がまぶしく、藤野のあたりでは山桜が終わるところ、山梨県内に入って爆睡し記憶がないが、小淵沢の農地ではソメイヨシノが満開で、富士見・茅野・諏訪は春が訪れたばかり、岡谷から南へ向けて進路を取ると山々に山桜と枝垂れ桜、伊那のあたりは牧草地帯に緑がまぶしく(羊が見られてちにゃー)、駒ヶ根では桜蘂で空気が桃色に染まり、しばらくすると、果樹園に白い花が広がるようになる。このあたりは梨やリンゴの果樹園が多く、そりゃもーリンゴひとつで息子を大学に行かせたとか、ナシひとつで娘を留学に出したとかそんなおうちが続くのです(少々、私の妄想が入ってます)。
そうです、林檎の花の季節です。
白くてかわいらしい花の季節です。
そこで、私の記憶は小中学生の頃に引き戻される。
今、思えば童話とも正しい少年少女文学のどちらに分類されるかわかりかねるのだが、少女文学としておきましょう。とてもかわいらしい挿絵の絵で、ある少女が妖精と出会い、夜の林檎の森で繰り広げられる妖精たちの集まりをそっと覗くというもの。アメリカじゃなくてヨーロッパが舞台の話で、どこの物語かも覚えていない。なにかかわいいモチーフがあったはずなんだけど、話のエッセンスとしてはそれしか思い出せず、モヤモヤとした気持ちをtwitterにぶつけたところ、れーなさんから「ここのブログ記事から該当のものが見つかりませんか?」とリプライをいただく。
そのURLがこちら。
http://blogs.yahoo.co.jp/megamiyoutae/archive/2007/05/04
私が記憶していたのはこの物語でした。
わたしがりんごの花にあこがれたのは、リンドグレーンの『五月の夜』という作品がきっかけです。りんご園に住む女の子が、誕生日にレースのふち飾りのついたすてきなハンカチをもらうのですが、その夜、妖精がやってきて、今夜王子様がおきさきを選ぶ舞踏会があるのに、自分にはドレスがないから、そのハンカチを譲ってくれと女の子に頼み、女の子はハンカチをあげて、代わりに妖精の舞踏会を見せてもらう、という話でした。
そこからさらに私の記憶は、今から数年前に飛びます。六本木ヒルズのクラシクス・ザ・スモールラグジュアリというハンカチーフの専門ショップがあります。そこで数年前(リーマン・ショックの前後)、一枚のハンカチーフに出会いました。「プロポーズされる瞬間、世界のお嬢さんたちは、みなこの一枚を持っておくべきよね☆」などと嘯いた一枚のハンカチーフ。当時、このハンカチを店頭でみたとき、脳の奥でなにかが反応するものがあったのだけど、その正体がずっとつかめずにいた。上のブログ記事を読んで、「私のあのハンカチーフは、あの妖精のハンカチーフだったのか!!」とやっと気がついた。二十何年ぶりの邂逅です。

リンドグレーンの「五月の夜」は「親指こぞうニルス・カールソン」に収録されています。大塚勇三さんの訳です。物語の主人公は「レーナ」(なんと!!!れーなさん、もしかして知ってた?)。
林檎の湾という意味の「エッペルヴィーケン」というりんご園が続く土地に暮らす主人公のレーナは、街からやってきたおばさんから誕生日プレゼントをもらいます。
それは、うすくて白い、小さなハンカチで、ふち飾りもレースもついていました。こんなにかわいいハンカチは見たこともなかったので、レーナは、とてもよろこびました。
そのハンカチが妖精のドレスになり、私の記憶の中にはこのハンカチーフのイメージが刷り込まれていたのですね。あぁなんて長い旅だったこと! 指輪物語で王が帰還するように、金融市場にミセス・ワタナベたちが帰還するように、今、私の中には妖精たちが帰還してきたのです。
ネットで調べたら、「五月の夜」が収録されているのは「親指こぞうニルス・カールソン」の外箱付きの短編童話集だという。今は絶版らしいのですが、アマゾンで探したら苦もなく良好そうな状態の本が見つかり、早速購入し、届いたところです。

小学校の頃、図書館で借りたのかな? あぁこのイラスト! この細かいタッチの挿絵! この森の中の妖精たちの舞踏会の様子! パラパラめくっていくと、泥だらけになった王女さまや、鉢植えの中から首飾りを取り出す少女などが目に飛び込んでくる。あまりの懐かしさにじわっと涙が出てくる。この子たちは、私がこのページをめくるまで、ずーっとこの本の中で待っていたんだね。おかえりなさいー。長野の山の中で小学生の私が出会ったあなたたち、浜矩子になりつつ有る私の暮らす新宿区の本棚へようこそ!
で、話は昨日の夕方、父親が高速バスのバス停まで私を送ってくれているときに戻ります。
「今、果樹園で林檎が咲いてるじゃん。白くて大きくて高速道路からも見える花」
「・・・高速から見えるくらい白くて大きいのは梨の花だよ?」
「・・・え?」
「林檎の花は小さくて、高速からは桜が咲いてるみたいにぼやーっとしか見えないはずじゃー」
「えー?あの空向いてはなみずきみたいな角度で咲いてる花は、じゃ、梨の花なの!?」
「そうじゃよー」
「えー!!!」
はい、わたくし、生まれてから昨日まで梨の花と林檎の花を間違えて認識していたようです。恥ずかしい! うろ覚えさんの帰還じゃて!!!
高校生になった姪っ子の部屋がぬいぐるみだらけだったという話をしてたとき、母親がこう言った。
「ほら、あの、ヒッピーちゃんっていううさぎのぬいぐるみの・・・」
うん、おかあさん、それ、ミッフィーちゃん。うろ覚えの遺伝子は母親からもらったのだから仕方ないですわね。
土曜は寒波が戻り、日曜は長野市に雪が降り、そんな中でも川内優輝さんが長野マラソンで一位でゴールしたり、そんな長野での短い滞在でした。山菜料理いっぱい作ったのじゃが、アク取りしたりで指の先がまだ黒い。

春の夜岩瀬の現場居合わせり


7時半頃、野球速報を見たら、中日が神宮球場で2対1で勝っているのに気づき、どうしようかちら、残り3イニングチケットで見ようかな、うん、見よう、見に行こうと、カシミヤのストール握りしめ、バッグにデジカメとハンカチとお財布とiPhone入れて、近所の大きい会社の車寄せで待ってるタクシー拾って、神宮球場までひらりと。
球場についてスコアボード見たら5対1、私が車で移動してる間に3点追加したらしい。うーん、「いいぞがんばれドラゴンズ、もーえよドラゴンズー」一緒に歌いたかったのになーと残念に思いながら席を探す。3イニングチケットというのは、「6回裏が終了したところで発売開始となる、空いてる席ならどこで見てもいいですよ」なチケット。ダルビッシュが投げたりしない限り、1時間弱は見られる計算で、ちょっと短いといえば短いんだけど、ひとりで野球見るならこのくらいが丁度いいかなーとも思える。4月の野球場なんて、しかも中日戦なんてがら空きで、埋まってる席を探すほうが困難なくらい(ひどい言い様)。
で、まぁ途中アホみたいな展開があり5対3、ブルペンで若パパ・智弁和歌山・岡田と岩瀬が投げてる9回表、うっかり谷繁が3塁までやってきて、うっかりと生還し6対3。これでお膳立てが整い、9回裏岩瀬登板。きっちり仕事して試合終了。やぁやぁよかったよかった、車飛ばしてやってきた甲斐があったってもんですよ。
さて今日のヒーローインタビューは誰なのかな、と思ったら、花束持ったつば九郎がでてきて、岩瀬がスクリーンに映る。おぉ、今日のセーブで岩瀬は350セーブを記録したのか! 高津の大記録が280セーブだというのだから、ねぇー、奥様、なんたること!?バックスクリーンに映る岩瀬の目には涙が滲んでいる。1998年逆指名でNTT東海から入団、あれから十余年。毎日毎日登板の準備をして、怪我せず、体調管理し、その一日一日を積み重ねるのがどれだけ大変なことなのか。
インタビューアが「次の目標は?」と聞かれ「351(セーブ)ですね」と答える岩瀬。「もうちょっとキレのいい数字を」と重ねて聞くインタビューア。「いえ、ひとつひとつの積み重ねなんで」と淡々と返す。
最初、岩瀬はあのセリフを事前に考えていたのかなーと思ったんだけど、多分、本心なんだろうな。毎日毎日、球場に行く、登板の準備をする、投手でそういう生活を続けていると、そういう気持ちになるのではないかと思う。
山本昌より先に引退しないといいな、まぁちょっと山本昌は異次元のひとなんだけど。高木監督と山本昌と岡田俊哉が並んだら、おじいちゃん・息子・孫って感じなんだろうけど。がんばれ、高齢者球団・中日ドラゴンズ! 若手選手にイケメンが多くなってる中日ドラゴンズ!
写真追加。


花束贈呈を受ける岩瀬。


涙をこらえる岩瀬。


関係ないけど、「お立ち台が綱渡り状態よ!」とお怒りのウカ様。


切子の小ぶりなワイングラスが欲しくて、昨夜、ネットで見つけて絶叫した黒の薩摩切子。
下はシャンパングラス、じゅうななまんはっせんごひゃくえんですって! ぎゃー!