秋晴るるメガ鯉パーカーで納税を/アラン・シリトー「土曜の夜と日曜の朝」読了

今日は法人決算ご報告デーでそして税理士事務所で申告書2通預かり納税するデー! 税理士さんは横浜の上大岡、毎年10月の終わりのその日には、午前11時頃、旅情を誘うボックス席の赤い電車に乗っていきます。そして私のこの納税デーというのは、毎年毎年なぜか快晴に見まわれ、川崎以南に広がる青い空を見上げていると否応にもスッキリした思いが強まるものです。多くの人に食べさせていただいている身分ですが、この一年も無事に乗り切れることができ、本当にありがとうございました。18期もまたどうぞよろしくお願いいたします。だいぶ・・・時代が変わったなぁと強く思いはするのですが。

土曜の夜と日曜の朝 (新潮文庫 赤 68-2)
読了。エンディングを確かめたいという気持ちもあって読んでみたのですが、そうかーこういうエンディングだったかー、そうだそうだ、こういうエンディングだった。お気に入りの場所で釣りをして終わるんだった、彼の土曜の夜が。まぁ、続くその日々を彼がおとなしく過ごすわけでもないんでしょうけれども。若者の青春がこうやって終わっていくなんて・・・人生って寂しいね・・・そして『フル・モンティ』を経て『天使の分け前』へ・・・。

納税と会議の間に時間があったので銀座で一人で優雅ランチして、昨秋売れ残り・メーカーたたき売りの三越の前倒し秋冬物バーゲンを覗いてみた。このバーゲンのちょっとラグジュアリな素材のコーナーには、毎年ものすごい掘り出し物が埋まっていたりするのですが、いひひ、今年も見つけることができましたよ。うふふ、しかも新作、数年探していた素材とラインの羽織もの、いやーん、私が探していた青い鳥はここにいたのね、三越にいたのね! 納税終了のすっきり気分でうっかり浮かれて購入し自宅へ配送手配。同じ素材のカジュアルなデザインのものも羽織ってみたらこちらも似合うので、「うふふふ、二枚で●●円になるようでしたら2つとも持って帰っちゃおうかしら☆」とにこやかに交渉してみたら、若い営業男子が早速本部に電話して「ダメですって☆ (*ノω・*)テヘ」と。ほんとに電話してくれた・・ガクガクブルブル・・・。その交渉が成立したら「似たようだけどちょっとしか違わない服」をうっかりと二枚買うところじゃったよ・・・。10月29日(水)~11月3日(月・祝) レディスファッションウインターバザールってやつです。よろしくどうぞ!

そして今朝、頭を冷やしてちょっと考えたのだけど、昨日の洋服には確かに似合っていたけど、逆に言うとその格好にしか合わない羽織モノではないかしら・・どうかしら・・・。そんな気がしてきた・・・。あ、わかった、ああいう洋服を買い足せばいいのか、うむ!

総じてよい一日でした。来年もよい納税を!

白野菊今年の碧さん鯉の柄

昨日、昼過ぎに家を出て地下鉄に乗ったとき、周囲の乗客が薄手のダウンや軽めのコートを着ている姿に気が付き、「嘘、私の格好、軽すぎ?」と思わず口を両手で覆ってしまいました。時間が経つに連れ、うん、確かに、寒いね☆、と秋の深まる様子を肌で感じるように。そして夕方、合流したM屋さんと新宿の京王百貨店へ移動。今年も京都の濡れ描き友禅「碧」さんがただいま出店中ということで応援に。

去年はこういうのを作ってもらいました。私の起こしたラフ画。

碧さんによる仕上がり。素晴らしい!!! 

今年はどうしよっかなー、どんなのオーダーしよっかなーと夏頃から考えていたけどなかなかアイデアがまとまらない。なにしろ「秋の風North Face の似合う人」「秋深し一番似合う服ジャージ」のわたくしですもの、只者ではない感満載の碧さんのパーカーは、ヤンキーくさくもなく、よく似あって本当に重宝してますのん。店頭で碧さんに出会って、「うふふ、今年はどんなヤンキーマダムにしましょうかー」などと話しつつ、ささっと羽織ったこちらの鯉の柄がとてもよかったので購入いたしました。えへへ。メガ鯉という柄です。

ナチュラルカラーのしっとりカーフのしゅてきお仕事バッグ抱えて、ぴったぴたの膝丈黒ワンピにちょっと薄めの黒のストッキングにハイヒールを履きますと、あら不思議、ヤンキーマダムの出来上がり! パーカー羽織るまでは真珠風のボタンのついたピンクのニットのカーディガンに、大粒パールのネックレスつけてましたからねぇ、「自宅に銃を持つテキサス州在住の共和党マダムが参観日に行く」というイメージでコーディネートしていましたの、えぇ、まさにこれこそヤンキーマダム、ヤンキーマダムといわずなんといいましょう。ちなみにパーカーは男子Sサイズ、ちょっと長めな袖になってます。

今、気がついたんだけど、これでパーカーではなく、襟元がジップアップするフードのない羽織モノを一枚作ってもらうといいんですな。やっぱりオーダーしておこう。これにより、より完璧なヤンキーマダムに近づけるわね(誰も頼んでないです)。おほほほ(だから誰も頼んでないですって)。

秋深し官能小説二本立て!/花房観音「萌えいづる」など

萌えいづる (実業之日本社文庫)

・サイゾーウーマンで「団鬼六賞」という文学賞の存在を知った
・作家さんのお名前メモメモ。
・Amazon Kindle で実業之日本社文庫半額フェアをやっていた
・そのリストにその作家さんの作品がいくつかあった。
・ほうほぅ最近の日本の女性作家ってどんな感じなんでしょうか、と読んでみた。
・まぁっ、これはっ! 気楽でありながらもなかなか面白い。物語の舞台の京都に行きたくなる!
・ついでにもう一冊「団鬼六賞ファイナリスト」さんの作品を読んでみましょう。
・読み終わった。えぇーこんなんなのー? なんだこら、マーケティングの違い!?

花房観音さんの『萌えいづる』は京都を舞台にした短篇集で、官能小説だけどそれぞれの物語の中で細かく丁寧に描写される官能シーンはそれぞれ一回だけ。それ以外は静かな小説。普通の人の普通のセックスを覗き見するような感じがあってちょっとおもしろい。平家物語の勉強にもなる。一粒で二度おいしい! なんてお買い得な! あらすじはamazon から。
京都にある平家物語ゆかりの小さな寺には、参拝客が想いを綴るノートがあった。ひとり訪れた女たちは、誰にも言えない秘密を書き残す。若い男とのフェティシュなセックスに溺れる女、仲が良いはずの夫から突然離婚を切り出された女、愛人の座を奪われた女…濃厚なエロスが心身に刻まれた女性たちの運命のゆくえを、古都を舞台に抒情豊かに描く、感動の官能小説。
花房観音さんのごほん、表紙絵が美麗ですなー。

対して『夜間飛行』。概要はこちら。
入社二年目のCA・美緒は、勤務前のミーティング・ルームで、機長と先輩・里沙子の情事を目撃してしまう。信じられない思いの美緒に、里沙子から告げられた事実──それは、社内に特殊な組織があり、VIPを相手にするCAを養育しては提供し、その「代金」を裏から資金にしているというものだった……。元美人CA、衝撃の官能書き下ろしデビュー作!
「元キャビンアテンダントのわたくしが、みなさまのキャビンアテンダントに対する妄想をかきたててあげてよ!」といった小説で、これはひどい、うっかり600円も出してダウンロードしてしまったものだから貧乏性をエネルギーに変えて最後まで読んだけど、こらぁひどい。コンビニで売られてる男性向けのエロ漫画の巻頭作品から巻末作品までに掲載されている様々なバリエーションの男目線のそれを順々に書き起こしましたのよ、ほほほほ、といった感じで、わぁつまらん。こういうご本を買う男性は楽しいのか、これが、そうかー楽しいのかこれが。だいたい出てくる男性が全員きょこんって、んなことあるかい、なんで主人公が出逢う相手の全員が全員、みなきょこんなんだよ、それはないだろー、きょこんでなくてもよいの! 男性たちよ、きょこんに願望持たなくてもよいのだよ! だいたい裏組織でCAをエロ教育って・・・あるかい!!! いやぁひどい、これはひどい。ラストがすごかったもの、聴衆の前で三人の男性に同時にホニャララされて「私、こんなに愛されて・・・・なんて幸せなの」だものー。こらぁエロ漫画だよーひどいよぅー。

という話をお友達の自営業女性に話したら「それは、読者のターゲットがそれぞれ違うだけですね」と淡々と説明された。そして顧客をどう絞っていくかが如何に大事なのかという議題に移り、議題はどうやって自分のサービスをわかりやすく伝えていくかにまで及んでいった。

先日、友人に「ウカやんのしごとは、その良さを人にすごく説明しづらい仕事なんだよね」と言われハッとしました。「その仕事がなぜ存在しているかがわかってない人を、実はけっこうお客さんに持ってるんじゃないの?」とも。言われてみれば確かにそういった類のプレゼンをしてこなかったかもしれません。上のCA物語に関しては「おほほほ、元CAの作家ですの」ということ自体が既に強み(内容は童貞男性の妄想暴走エロ漫画としか思えないんだけど)で、それが購買者に刺さったわけでしょう? そういうわかりやすさを私は持ち合わせてないし、伝えてもこなかったな、と反省。『案外、世間からは、私がやってることは見えにくいサービスなのかもしれない』と虚心坦懐に見なおしてみてもよいのかもしれないです、明後日17回目の法人税を払うというのに、いまさらそんなことに気がつきましたよ! 気づかせてくれてありがとう、CAエロエロ物語、って違うわ!

色男揃えすぎたよ草紅葉/映画「L.A.ギャングストーリー」

L.A.ギャングストーリー [DVD]

草紅葉超べんりな季語!!! しかしひどいなこのジャケット。

DVDで。あらすじはAmazonのサイトから。
ロス市警がキレた!
“本当にあった”警察と大物ギャングの死闘を描く迫力のアクション・エンターテイメント! !

ロサンゼルス、1949年。
ニューヨークのブルックリン生まれのギャングのボス、ミッキー・コーエン(ショーン・ペン)は、麻薬、銃、売春、そして――手段さえあれば何でもするという勢いで――この街を牛耳り、さらにはシカゴから西の広い地域の賭博も仕切っている。そしてそんな彼の活動を守っているのは、彼自身が雇っている手下だけでなく、首根っこを押さえこんでいる警察や政治家たち。コーエンの勢力は、街で鍛え上げられた、極めて勇敢な刑事でさえ怖気づくほどだ……
例外はおそらく、ジョン・オマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン)とジェリー・ウーターズ巡査部長(ライアン・ゴズリング)率いるL.A.市警の“はぐれ者たち”から構成された少人数の極秘チームだけ。コーエンの帝国をぶち壊すために集められた“最強部隊”である。

ジョシュ・ブローリン率いる1949年のロス市警の「七人の侍」というかなんというか。激渋ポジションとしてジョシュ・ブローリンが、狂気のギャングスターとしてショーン・ペンが、優男・色男要員でライアン・ゴズリング、死亡フラグ立ちまくり要員として「テッド」でテッドを誘拐した謎の男を演じたジョヴァンニ・リビシも! 色男多すぎるんじゃない、アーハン? 「あらすじがない」とか「深みがないとか」とか「アクションが空回り」とか「キャラ造形が薄い」とかレビューサイトでは好き放題言われてますが、『深みがない』なんて批評家振りたい人が一番よく使うセリフだから無視すればいいんですよ、二時間の枠でそれ以上深められるかってんだい、そう思って楽しんでみるとよい。悪漢ノリノリ・暴力満載・モラル不要のフルボッコな特攻野郎Aチーム的な愉快な血みどろストーリーでした。いやぁ最後のシーンのショーン・ペンの情けなさがなによりのごちそうじゃて。

ジョシュ・ブローリンが格好良くて格好良くてのぅ。この時代の人達は、犯罪ひとつ犯すにもシャッポをかぶってよい生地のコートを着てるからサマになりますわね。
ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

気をつけろ記憶を上書きされちゃうぞ!/アラン・シリトー「土曜の夜と日曜の朝」

土曜の夜と日曜の朝 (新潮文庫 赤 68-2)

本はなんでもかんでも断捨離すればいいってもんじゃないねぇー。高校生の頃に読んだこちらのご本を読み返したくなって自宅を探してみたけれど、どこかのタイミングで古本屋に売り払ってしまったらしく、結局アマゾンのマーケットプレイスで買い直して読んでる。うぉぉ、昔の新潮文庫、字が小さいー、しかし品格あるフォントで大好きよ、数ある文庫の中で新潮社のフォントが一番好きよ! La Kagu は「なんで数年前にマロニエゲートでやったことをもう一度神楽坂でやってるの?」って感じだけどね、キッキッツ!

あらすじは、Amazon のサイトから。
「人生はきびしい、へこたれるもんか」―自転車工場の若い工員アーサーは、父親から上司、政治家に至るまで権力と名が付くものが大嫌い。浴びるように酒を飲み、人妻を誘惑し、気に入らないヤツに喧嘩を売る日々を送っている。〝悪漢物語〟の形式を借りて労働者の青春を生き生きと描き、第二次大戦後のイギリス文学界にショックを与えたシリトーのデビュー作。

いや、ちょっとこの要約、違うんじゃないの・・・? あらすじとはいえずいぶんと端折ってない? 権力は嫌いだけど彼自身は歳相応に少々のやんちゃを交えつつ、たいそうおだやかに淡々と生きてるように思えますが・・。自転車工場の若い工員ではありますが、1950年代半ばのイギリスでアーサーは週給14ポンドもらっています。この時代の1ポンドは日本円の1000円、昭和31年の日本の銀行員大卒初任給が5600円(まぁ日本が新興国だった時代なのよね)。単純には比較できないけどたいそう有能な高給取りです、トヨタの優秀な期間工さんとかと同じようなものと考えていただいてよいのではないでしょうか。若くて独身で洋服にしっかり投資できるほどの小銭が稼げて背が高くてハンサムだったら多少のやんちゃも致し方ない、致し方なかろう。悪漢物語というけれど、その頃の青春ってそんなもんだったんじゃなかろうか、そしてそれは今も、世界中の若い男の子たちがやってることなんじゃなかろうか。

それで私は、この物語の本題は「この権力に楯突く」ことではなく、淡々としかし抜け目なく自分の人生をどうやって楽しむかというお話だと思ってまして、土曜の夜には浴びるほど酒を飲み、日曜にはゆっくり起きて自転車で川までいきルアーで釣りをしたりして、また月曜を迎える、平日の間にはちょっとずつ楽しいこと-ガールフレンドとデートするとか-を交え、一週間を粛々とやり過ごしまた土曜の夜を迎える。仕事をしてるいまの私たちの暮らしとどこが違うんでしょう。とかいいながらも、アーサーは同じ工員仲間のジャックさんの奥さんブレンダを寝とってますねん。夜勤勤務になって深夜手当が上乗せされることになったジャックは「これで収入が増えるな」などと喜んでいるけど、そのそばからアーサーは亭主の目を盗んでブレンダと逢瀬を重ねますねん。そしてアーサーはこう言いますねん。

しかし考えてみると、おれがあいつの女房とよろしくやっているのもあいつの自業自得だよ。夫というものをアーサーは大きくふたつに分類する。女房をちゃんと扱う亭主と、にぶい亭主。ジャックはあきらかに後者だが、世のなかには後者のほうが多いことをアーサーは経験によって知った。すばやくそれを呑みこんでしまうと恋愛は調子よくはこぶし、したがって人生が楽しくなった。陽の照るうちに草を乾せ。ものにするには亭主のある女にかぎる、と十七歳のときから彼はそう思って生きてきた。<にぶい>亭主どもには同情なんか感じない。彼らには何かが欠けている。足が一本しかないとか、そんな不可抗力の欠陥じゃなくて、彼ら、つまり<にぶい>亭主がひとりよがりをつつしみ、目をひらき、ちょっと女房をかまってやれば簡単に直ることなのだ。寛容な気持ちのときのアーサーは女というものを、単なる飾りや下女とは考えない。女はあたたかいすばらしい生き物だし、かまってもらう必要と権利をもっているし、男はもちろん仕事とか自分自身の楽しみとかよりも大切に、ひとりの男として可能なかぎりの関心をそそぐ必要がある。それに女によくしてやれば男もけっこう楽しいんだ。

奥様が旦那様の悪口ばかりをいう熟年カップルを身近で見てまして、旦那様をDISる内容が「あわわ、奥様、だいぶ記憶を捏造されておりませんこと?」といった事案が多数。彼らの世代なら致し方無いことなのかもしれないけれど、そんな振る舞いを30年も40年も続けていくと、若かった頃の楽しかった記憶が全部消えて「私はこんなに大事にされてこなかった」という言葉しか出てこなくなっちゃう。そしてその言葉に合うように彼女の記憶が知らず知らずのうちに都合よいように上書きされていっちゃう。呪詛の言葉しかでてこない老年期は辛いよぅ。とかいいながら、年上のお姉さまから「(何歳になっても)女の子は、男の人にもっと大事にされていいんだよ」というアドバイスを若い頃にいただいたことがあるのだが、そうかーそういうことか、こういうことなのかーと今になって腑に落ちたりしてるんだけども。おいおい今になってかい。

この小説は映画にもなってるのね、今作りなおすといいよ、私が正座してみるよ! イギリスにも労働者が豊かな時代があったのだなーと感心しながら見るよ、そしてその55年後には『フル・モンティ』を経由して『天使の分け前』になるんですわ、うむ。

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