ギンレイホールで。あらすじはギンレイホールのサイトから(今日の映画五七五)。
たかが世界の終わり
JUSTE LA FIN DU MONDE
2016年 カナダ・フランス合作映画 フランス語 99分 PG12 DCP
★第69回カンヌ国際映画祭 グランプリ受賞
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール
配給:ギャガ
自らの死を告げるために疎遠にしていた実家に12年ぶりに帰ってきた人気作家のルイ。母と兄夫婦、妹の4人が待っていたが、時間が隔てた家族の関係はぎこちなく、なかなか切り出せない… 愛しているのに不器用で傷つけ合うことしかできない、ある家族の1日を描く!
日本でいえば故郷に錦を飾りまくっているところであるはずのクドカンが12年間もうちに帰らずいた、そんな彼が余命短いことを告白しにきた。センチメンタルな気分を存分に味わってから告白をしにきた。
何も知らずに彼の到着を待つ家族たち。皆、彼を誇りに思っている。母親はしわくちゃの顔を化粧で飾り立て恋人のようにして彼を待つ。物心ついたときにはお兄ちゃんは家にすでにいらず、幻の兄を待ち続けていた妹。センスがよく才能あふれる弟と、比較され続けてきた年の離れた兄は常に忸怩たる思いがモヤモヤとしていて、そんな肉親のやり取りを脇から見ている嫂はトロくさそうに見えて実は人間の機微に一番敏感ですでにいろいろな事情を察しており・・・・。
物語が終わり画面が暗くなった直後には「なんなのこの映画ーーー!!」と吠えたくなったけど、エンドロールに流れる「Natural blues」というブルースを聞いていたらじわじわきて、映画館を出たあと心を込めて「もーなんなのよーこの映画ー!!!」と吠えました。正直「あら、これってば金はともかく時間返せ事案?」かと警戒しましたが、そんなことない、今見ておくべき映画10本のうちのひとつに入る作品なんだと思います。
映像がね、もうね、超美麗・超単焦点映画。鮮やかで色の濃い映像は陰影が濃すぎて、家族なのに、家のなかにいるのに、なぜかみなぎる緊張感がびしびし伝わってくる。カメラマンわっかいんだろうなーと思ったら、監督のグザヴィエ・ドランが若かった、1989年生まれの28歳。28歳! 天才監督現るっ! カメラマンは66年生まれのAndré Turpin というカナダ人。あら、こちらも雰囲気のある方でしゅてき。
主演のギャスパー・ウリエルが大変なイケのメンで、あら、もしかして次代のマッツ・ミケルセンってばこの人なのかしら、と思って芸歴チェックしたら『ハンニバルライジング』で主演やってた人だった。ただしい、正しいわ、私の選球眼! 超弩級の変態役を演じるのは、やっぱりイケのメンがいいわよねえー。
麻薬的なサウンドトラックでした。ここから全曲聴けます、なんという時代! エンドロールに流れたMoby の Natural blues はこちらを再生してね。映画の中での訳詞が素晴らしかったです。