新リア王、読了



去年の秋に高村薫の「太陽を曳く馬」の冒頭を読んでたら、ともだちに「それって、福沢彰之三部作の最終話だよ」と教えられ、えぇーとそこで本をパタリと閉じ、母と子の魂の対話「晴子情話」を読み、「新リア王」に手を出したのです。新リア王を読むのに一ヶ月以上かかった。「今夜は眠れないなぁ」と思った夜、この本を開くと3ページ進むうちに眠りの彼方へ運ばれることもあった。でも、でもね、やったよ、母さん、やっと読み終わったよ!!!
「新リア王」は、父・青森の代議士・福沢栄と子・福沢彰之の魂の戦いでもあるのだけど、自民党がなにをやってきたか、むつにはなにが運び込まれたのか、という話でもあり、バブル直前の生々しいあまたの政策を追うこともできます。
震災直後、ああいや(←福沢栄のまね☆)、正確には福島第一原発事故直後と申し上げておこう、この時期に松岡正剛さんの千夜千冊の新リア王評を目にした方も多いのではないかと思いますが、ご興味の有る方はリンク先の記事を読んでいただきまして、じっくりと高村薫の声に耳を傾けてはよいのでしょうか、数ヶ月かけてでも。
http://1000ya.isis.ne.jp/1407.html
間隙をおかず「太陽を曳く馬」へ。舞台は2001年911の直後へ。合田雄一郎さんも出てきますよ。今度は、福沢彰之と息子秋道と現代アートの物語。作中にはバーネット・ニューマンの「アンナの光」、表紙はマーク・ロスコ、会田誠、奈良美智の名前や吉田戦車の火星田マチ子など、現代アートの作家の名前がガンガンでてくるので、画像検索しながら読み進めています。早速佐倉市の「川村美術館」に足を運びたくなりました。しかし、駅から遠いな・・・・。
http://kawamura-museum.dic.co.jp/index.html
鰊漁の情景も鮮やかな「晴子情歌」の表紙が青木繁の「海の幸」、老いた東北の王を描いた「新リア王」の表紙がレンブラントの「金の鎖をつけたあごひげの老人」「瞑想する哲学者」、今回の「太陽を曳く馬」がマーク・ロスコ。うむ、ここにもひとつの地脈がありますね、わぁ、そして高安敢闘賞おめでとう!

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