生きよ生きよ粛々と生きよ/高村薫「太陽を曳く馬」読了


福澤彰之の息子・秋道は画家になり、赤い色面一つに行き着いて人を殺した。一方、一人の僧侶が謎の死を遂げ、合田雄一郎は21世紀の理由なき生死の淵に立つ。―人はなぜ描き、なぜ殺すのか。9.11の夜、合田雄一郎の彷徨が始まる。
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今回読んでた福沢彰之三部作の主人公・福沢彰之は禅僧です。新リア王でも宗教のウェイトが決して少なくはなかったのですが、今回の「太陽を・・」はもうみっしりずっしり、現代アートとポップカルチャー、オウム真理教からてんかん患者までゼロ年代に咀嚼しきれなかったものがわんさか登場してきます。勢いで読み進めたけれど、小説そのものが禅問答のようで、読み終わったそばから、何年かおいてからまた読みなおさなくてはと思わされる小説でした。
この三部作を読み始めてから今日ここに読了するまでの途中、いくつかの本に浮気していまして、その間に読んだ本、陰謀論大好きおじさん・副島隆彦の「隠された歴史-そもそも仏教とは何ものか」を偶然読んでいたのですが、読んでおいてよかった。

この本をざっくりまとめると、「そもそもお釈迦様は、『粛々と一人で生きろ、そして死ね』ってこと以外は語ってないんですよ?」という内容で、このフレーズがこの本を読み進める上で杖のような存在になってくれました。
うー。大河ドラマにどっぷりはまったような。「新リア王」なんか、実家に3回、香港にまで連れてってやっと読み終えたんだもんなー。そして今、かみしめるようにして、シガー・ロスの「Festival」を聞いてるわけですよ、きらめく光がこぼれる落ちてくるようなあの曲を。さて、粛々と生きてゆきましょうかのう、明日もあさっても明々後日も。

2 COMMENTS

はつき

「新リア王」、新聞連載中から読んでいたけど、新聞連載小説で、あれだけ読み続けるのがつらかった小説はなかった(涙)。話が難しすぎたんだよね、当時の(いや今も?)私には。あげく、中断。
高村薫はかなり好きなので、そろそろこのシリーズにも挑戦しないといけないかも…とスガさんのブログ読みながら思ってました。

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スガ

新作「冷血」が出たから、そろそろ単行本になるのではないかしら。ハードカバーでは重すぎてのぅ・・・。ちょっと時間をおいて振り返るって思うのは、政治というよりも選挙の物語ですね。

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