山と渓谷 2010年11月号 検証夏山遭難2010

山と渓谷 2010年 11月号 [雑誌]
山と渓谷 2010年 11月号 [雑誌] 山と溪谷社
「山と渓谷」今月号の「検証 夏山遭難2010」という特集記事に触れているブログ記事を読み、気になったので早速買ってきて読んだ。
今年の夏、秩父で30歳男性が14日間の遭難を経て生還したというニュースがありました。「飴玉7個で生き延びた」というその遭難事故、飴玉7個で人は14日も生き延びれるものなのか、と当時はのんきに感心したものですが、実際はもちろんそんな生やさしいものではなく、壮絶な14日間だったようです。
家族に登山に行くとはいったものの行き先は告げておらず、登山計画書を出さず、すでに廃道になった道が紹介されている20年前のガイドブックを片手に、単独行で山に入ってしまう。彼の登った秩父両神山で遭難が起きた場合、長くても3日ほど遭難者を発見することができることが多いが、今回は、このような悪条件(?)が重なり、遭難者の発見までに相当時間がかかったそうな。

彼は頂上までは順調に登り、その下山途中で、行きと同じルートで帰るのも面白くなかろうと、別のルートをとる。

が、そこで道に迷う。

沢を下っていく途中で5mほどの高さの崖を降りるときに誤って滑り落ちてしまい、開放骨折してしまう。開放骨折とは、肉を突き破って骨が出てしまう状態の骨折だ。考えるだけで貧血になりそうな状況! しかし沢は増水すると危険だから、少しでも高い場所へ移動しなくてはならない。少しずつ移動するものの尾根道には戻れない場所に自分がいることを改めて自覚させられる。遭難中は昼間はカンカン照り、夕方は激しい雷雨、夜は寒い、という天候が続く。幻覚も見る、幻聴も耳にする、移動途中にメガネを落としてしまい、万事休す、あとはそこで救助を待つだけとなった。

・・・・その後、警察及び警察救助隊の執念でもって彼は発見に至るわけですが、そこもまたドラマ。発見直後に天候が急変、沢の水は突然増水し、救助隊の胸まで水がつくような状況で、ストレッチャーに乗せた遭難者をごぼう抜きに上に引っ張り上げるという荒業に出てなんとか助かる。「発見があと20分遅ければ・・・」という状況だったよう。雑誌には、救助の瞬間のデジカメ写真が掲載されていますが、水の恐ろしさが伝わってくる一枚です。

遭難者は、開放骨折からくる感染症のため今も集中治療室から出られず、社会復帰には3年かかるそうです。気軽な日帰り単独行から、日常に無事に戻れるまで3年・・・。

この事故からは様々な教訓が得られます。どんな軽登山でも自分の力を過信せず、周囲にはよく連絡し、登山保険に入り、メガネははずしてコンタクトレンズで、なるべく人と一緒に、行動したほうがよいということでしょう。私も気をつけます。

この夏山遭難の記事には、ニフティ・デイリーポータルZの記事から写真が引用されてもいましたが、
 http://portal.nifty.com/2010/08/11/c/4.htm
えぇーと・・・なにこの混雑・・・。
初めての登山が、こんな大混雑+疲労困憊+酸欠+高山病のセットだなんて、ちょっと勿体ないよなー、と思う。お山は、富士山だけじゃないぜよ☆この富士登山の記事もそういうメッセージでまとめられていました。

最初の全員遅刻や装備の問題、意識の問題があった頃と比べると格段の進歩というか、別人じゃないかと思うほど見事に富士山に登れた。無事に登って帰ってこられて本当によかった。
山登りはこうして友達と登って、思い出を共有できるのがいい。あの山はこうだった、こんなことがあった、というのがいいのだ。その思い出の価値と比べたら、実は山頂に立てたかどうかというのは些細な問題でしかない。
彼らが今後も山登りを続けてくれるかわからないけど、今度は富士山じゃなくてもっと登って楽しい山に誘おうかなと思います。じゃないと装備と経験がもったいない。

しかし、この山と渓谷11月号の話、オチをつけるとすれば、「検証夏山遭難」と「脱メジャーコース登山」という記事が並列している。くだんの遭難者は、まさに脱メジャーコースしたところで遭難したのだと思うのだが・・・

6 COMMENTS

Sっちゃん

うーん、自然を侮ってはいけない、人間は自然の前には謙虚でなくてはいけない、改めて感じました。登山には予備の眼鏡だけでなく、コンタクトレンズの方がよい…メモしました。
ところで、昨今の登山事故事情を聞くにつけ
『山と渓谷』は『山と警告』にしたほうが良いのでは、と思ってしまった次第…。うーん。

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スガ

山と警告、多分創業以来そういうツッコミが・・・
>登山には予備の眼鏡だけでなく、コンタクトレンズの方
これね、言われてみればそりゃそうだ、な話で。
この前駒ケ岳の巻き道で、割と激しい絶壁箇所で、カメラのレンズのフタを岩の間におっことしちゃって。もー拾えないねぇ、って場所に転がっていくのを見送るのみで。。、山って意外とモノを落としたら最後!、な場面が多いので、みなさんもコンタクトをご用意くださいませー。

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あみーな

カメラレンズ、植物園の温室の高くなっている歩道から下に落として、さようならしたことあります。
ハイキングバスのおすすめコースでヒヤリとしたことも。
少しだけ健脚コースを選んだら、前を歩いている人がいたはずが、写真撮っていたからか、気づいたら、自分ひとり。おまけに雨上がりの道で転んでしまって、泥だらけに。こんなメジャーなハイキングコースで、と途方に暮れました。後半はなんとか、同じバスの他の方達のルートに合流できて、混雑コースにしょぼしょぼついて行きましたが…。
山でも山以外でも、お出かけ気をつけてくださいね!

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Sっちゃん

>山と警告、多分創業以来そういうツッコミが・・・
うわああああああああ.はずかすいぃぃぃぃぃ~っ!!!

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スガ

いや、Sっちゃん、恥ずかしがることはないでよ、あたいも数年前おなじことを人に言われたでよ。
あみーなさん、私もひとりで歩いていて軽く道に迷ったことがありました。この山と渓谷に掲載されていた遭難した男性も「僕はどうしてこれを見落としてしまったんだろう」とインタビューの中で言っているのですが、本当にそんな感じで、なぜあんな大きな目印を見失ったのだろうかと。お互い気をつけましょうね!

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