谷崎潤一郎「細雪」読了

細雪 (上) (新潮文庫)

細雪 (中) (新潮文庫)

細雪(下)

読了したー。
船場の没落商家のアラサー三女の婚活物語じゃったー!

没落商家の婚活物語というのはあまりにもまとめすぎだけど、戦前の上流階級の人たちってこんなふうに暮らし、こんな風に世間を眺めてたんですな。京都の花見、大垣での蛍狩り、富士五湖を巡る旅、帝国ホテルでの宿泊、最後の京都での見合いの場面・・、あの時代でも人々はガンガン移動し、季節の美しさを心から楽しんでいたのですな。美しい。だらだらとした会話が続くシーンや、初対面の人たちが顔をあわしてどうにも会話が弾まない描写など大変生々しくて楽しゅうございました。

中国との戦争が長引いているさなかから1941年の春までを描いて物語は終わるのだけど、蘆屋を中心に主人公たち姉妹と関わった外国の人々のその後の命運が気にかかります。そんな時期に勇敢にもアメリカに渡った女性も登場していますが、彼女は無事に帰ってこられたのかしら、「軍部に知り合いがいるもんですから」といって日本へ帰る船へちゃっかり乗り込み、その陰で日本に帰れず大変な目にあった庶民の人たちがいたりするんじゃないかしら、などと。

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