ニッポンのゾンビもなかなかすごかった／映画「アイアムアヒーロー」／TOHOシネマ　マスターカードのモク割

今日木曜の話。ＧＷに見たい映画をリストアップしたらなかなかの本数になった。そしてその中で「これはギンレイでやる」「これはギンレイではやらない」「ギンレイでやることになっても大スクリーンのフカフカの椅子で見ておきたい」の３つに分けた。残った作品の中で「これはもう早めに見に行かないと見る機運を逃しそうだわ」となった作品のひとつが花沢健吾原作・大泉洋主演の「アイアムアヒーロー」。漫画の新人賞で佳作を取ったもののそこから芽が出ずアシスタント生活早１５年、同棲中の彼女とは破局寸前、閉塞感しかない日常が、ゾンビの出現でぶっ壊れた・・・という物語です。しかし悪名高き日本の製作委員会方式の邦画で、しかも特撮バリバリのゾンビ映画、1800円も払って痛々しい内容でハズしたら少々残念すぎる、いかがしたものかと思っていたところやってきたのは東宝シネマのメルマガ。いいタイミングで届くものねーとスクロールしていったら、にゃんと「木曜日は映画がオトクで見られます」という小さなバナーが。えっ、今日、木曜なんですけど、なんすかなんすか？　

【新宿限定】“モク割”始まる　MasterCard®カードで毎週木曜日、映画が1,100円！

東宝シネマ新宿歌舞伎町店限定で、マスターカードで決済すると1100円で見られるんですってー！　私、マスターカードなんすけど、なんすかなんすか！　「ちょっとちょっと奥様！　気になるあの映画が今日は1100円ですって！」「なにをー！」とお友達とやりとりして夜の回に行ってきました。

これから見る人の楽しみを奪いたくないので、関係ないいろいろなものでナガナガスクロールで☆

で、映画のお話です。派手なカーアクションになかなかの動きのゾンビの皆さん、ラストの撃っても撃っても襲い掛かってくるゾンビの集団、絶望っぷりがよく描かれていてよかった。片瀬那奈ちゃんが素晴らしいボディでありながらわーわーわーとなるくだり、冴えない主人公と違ってトントン拍子の出世をした同期の漫画家さんは片桐仁、長澤まさみのスタイルの良さを十分に堪能できるシンプルな衣装、あまちゃんの収録と並行して出演していた有村架純ちゃんの謎の生命体っぷりの意外な好演、ここのところ出てない邦画はないんじゃないかしらって感じのマキタスポーツさん、人間のクズかと思っていたら意外と潔いラストを迎えた木更津キャッツアイに出ていた人！　よい死に方の徳井さん！　そしてある決心をしたあと、淡々と散弾銃を肩にあてた大泉洋の「はーい」、ここ、よかったっす！

原作で光が丘でゾンビたちが大量発生して大暴れするシーンは浜松でのロケ、カーチェイスとアウトレットモールは韓国でのロケとのこと。ゾンビの造形はなかなかに素晴らしく、あらー日本の映画もなかなかやるではないですかー進撃の巨人評がメッタメタだったので全く期待してなかったんですが相当やるじゃないすかーと思って迎えたエンドロール。特殊効果は韓国の特殊効果会社「デモリッション（Demolition）」という会社さんが請け負ったのですね、そ・・・そうか・・・日本の匠の技ってわけじゃなかったのか。メイクのところも韓国の方のお名前が並んでいたけど、グエムル的な勢いであれらゾンビのキャラクターデザインを最高級に再現してくれたんですね！　すげー韓国映画すげー！！！　いやー予告編でシン・ゴジラのを見たばかりで「庵野さんすげーゴジラ超でけー」などと感心したあとだったので、あのそのあのその。

ゾンビの皆さんはエキストラさんが多かったようなんですが、自分なりに研究を重ねてこられたと思しき動きのよいゾンビさんと、「あ・・・ちょっと・・・雑・・・・」なゾンビさんがいて、その精度が・・・アワワ・・・・。なんというのでしょう、その雑さといったら、サイモン・ペグの「ショーン・オブ・ザ・デッド」で「やばい！まわりはゾンビだらけだ！じゃ、俺達もゾンビっぽく動けばばれないぜ！」のシーンによく似ていてぷぷぷ。

しかし物語がすっきりと終わってよござんした。ゾンビ映画だったら、エンドロールが終わったあと、さー帰るかのぅといったタイミングでスクリーンの中の有村架純ちゃんが「キシャー！」とゾンビっぷりを発動させるんだけど、ちゃんとこの作品一本で終わりそうな雰囲気でよかった。これが「２８日後」から「２８週後」になられても困りますしね！　血みどろプシャー・屍累々ではありますが、２時間力はいりっぱなし、よいアクション、よいゾンビ、よい造形の、面白い映画でした。

実弾をお見舞いするぞー！！！

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ちょっと補足。日本の技術陣も大変にがんばっていたようです。韓国チームだけじゃなかったのですね。失礼しました。

映画『アイアムアヒーロー』絶賛公開中。撮影の河津さん、アクション監督の下村さん、特撮の神谷さん、美術の斎藤さん他、図書戦チームが渾身のお仕事をされています。リアルで緻密なZQNの特殊メイク・造形は藤原カクセイさん。R15ゆえ地上波放送はなし。血湧き肉躍る驚愕の映像をぜひ劇場で。

— 野木亜紀子 (@nog_ak) 2016年4月28日