WELCOME /邦題『君を想って海をゆく』

 
フランス北部の港町『カレ』。イラクのクルディスタンから3ヶ月かけて歩いてやってきた17歳のビラル。イギリスへ渡るトラックに乗り込み、密入国を試みるもあえなく収監。「戦争で国土が荒廃していて国を出たくなるのもわかるが、初犯なので今回は見逃すが二度とこんなことをするな」と裁判官に諭され釈放。
その後、ビラルは、市民プールでインストラクターとして働くシモンに『クロールの泳ぎ方を教えてほしい』とたのみこむ。1レッスン1800円、皿洗いのバイトで作ったお金で泳ぎを習う。水泳を教えるシモンは、ビラルがドーバー海峡を泳いでイギリスまで渡ろうとしているのに気が付き、『やめとけ』と忠告するのだが・・・・するのだがっ!!!!
原題『WELCOME』ですよ!
なんすか、この甘々SWEETS邦題は!
この甘々SWEETS邦題で、えらく損してますよ!
WELCOME といっておきながら、全然実はWELOCOMEじゃありませんでしたー!移民対策はサルコジさんも2002年に派手にやっておりましたー!、という映画なのに! そして「戦争で国土が荒廃していて国を出たくなる・・」のくだり、「原発で国土が荒廃して・・・」と私には読めてしまってそれだけで胸が苦しくなっただよ!どうなる、ニッポン! 「京大カンニング事件」で大騒ぎしてたのが遠い昔のことのようだよ!
さて、クルド人のビラルを演じるのはフィラ・エヴェルディ(Firat Ayverdi)。なんというのかしら、すれていない純真なダルビッシュ有がいたらこんなんでしょうか、と問いたくなる顔立ち。そして、『えぇー17歳ってなにもしてなくても、こんなにいい体してますっけ?』というスポーツマン体型。
シモン役は、ヴァンサン・ランドン(Vincent Lindon)。昔、ディープブルーに出ていたそうな。なんというかいい感じに「おとっつぁん」な感じで、奥さんには逃げられ、その奥さんの気を引くために彼女がやってる難民ボランティアの真似事をするというあたり、人間味が感じられます。我慢できずにごにょごにょするごにょにょなシーンなど、生々しすぎて「まっ!」と声を上げたくなるくらい。
そして最後はなぜかサッカーで終わる。雨の中、見に行ってよかった。
この映画のキーワードは、クルド人、カレ、難民。このみっつとも、今まで全然心に留めていなかったもの。発電所の事故ひとつで私たちも国際的に難民になるかもしれないのに、世の中に無関心でいたのだ。自分の半径5mくらいのことで満足できていた人生の脳天気さと、その脳天気さで十分通用した時代を懐かしむ。そしてその日はもう帰ってこないのね。えらい時代に居合わせたなー、ってのが、311以降の正直な感想です。

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