緑雨待つアフリカ人の握る傘 鶉/無くしたつもりの傘が見つかった話

星涼―大木あまり句集 (ふらんす堂俳句叢書 Serie du Blanc 1)

昨日は句会でした。七句作って持ち寄って選評するのですが、昨日は五句まではするするとかたちにまとまり、そのあとの二句がなかなかできない。地下鉄の中でスマホアプリの角川の歳時記をめくりながらあれこれ考えていると、青山一丁目駅から乗り込んできた帰宅途中のアフリカ人男性の隣に並ぶことに。うわっ、お尻ちっちゃ! お尻の位置高っ! 顔ちっちゃ! 背高っ! いい時計してるっ! でも鞄がAOKIやスーツカンパニーで売ってそうなやつっ! うわっ、それで、彼、すっごくいい傘持ってるなー、ちょっとよいお値段の傘じゃないかしらー、すっごくよい生地だわー、アフリカ人には折り畳み傘みたいなちいさくまとまった傘じゃなくて、長くて立派な紳士傘が似合うわねぇー、うっとり・・・・、夜の紳士傘・・・いやいや、あのその・・・・という情景を経て生まれたのが表題の句です。

六本木ヒルズにハンウェイというお高い傘屋さんがございます。私は、傘を壊したことはあるけど、無くしたことはないので、「ほほほっ、二万円の傘でも、大丈夫、なくしたりしない、無くしたりしないわよっ(震え声)」で思い切って2012年頃に萌黄色の傘を購入したことがあります。光沢のある厚手の生地、ベージュ色の革の持ち手、ちょっとよいお着物のときにもちょうどよいわね、うふふふふふと購入して2年ほどは事故なく使っていたのですが、あるとき、はっと気がついたらその傘が手元になかったのです。家にもない、思い当たる客先にもない、どこかで紛失してしまったらしい、あぁ私としたことが、傘を無くすなんて、二万円の傘を無くすなんて、無くすなんてー、もう傘なんて買わないっ、ビニ傘で十分よ、あたいなんてビニ傘ヌマエって名前変えちゃったほうがいいのよー、えぇーしかし最近のビニ傘すっげえいい出来、おまけに頑丈!! てのが2014年の夏の話。

そして雨模様の昨日、代官山マダムのご自宅での愉快な句会がお開きになり、「ささみんな帰りましょう」「みんな傘は持った? ない人はうちのを貸すわよ」とマダムが持たせてくれた傘が、にゃんと、そのハンウェイの萌黄色の傘でございました。

 ここにあったんかーい!

つまり2年前の句会の夜、傘を持ってきた → 句会の間に雨が止んだ → 酔っ払ってた → 傘を置いていった という一連の流れがつるりと。ばかー、あたいのばかー、やっぱりあたいビニ傘ヌマエで十分よー、と反省しながらもホクホクして帰ってきましたよ。よかったー。昨日は総じて私にとっては傘の日だったんだねー! よい一日でございました。

2 COMMENTS

gonbey

うずらちゃんの傘だとは思わなかったわ。
おばさんくさい傘じゃない。でも骨が多くて軽くて8千円くらいはする傘よね〜、と思っておりました。ときどき拝借しました。ありがとう。

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ukasuga

和の色というコンセプトで割りと地味目ないろで展開されていたのですよ。いまはこのシリーズはないです。八千円じゃないです、にまんえんです。奥様、長い間預かっていただきありがとうございました。

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