こんな戦国見たことない!

へうげもの 1 (1)
へうげもの 1 (1) 山田 芳裕
この作品は山田芳裕の生涯を通じての代表作になるのではないかと思います。物語の結末まできちんと連載していただきたいものです。単行本の裏表紙をそのまま転載します。
 群雄割拠、下克上の戦国時代。
 立身出世を目指しながら
 茶の湯と物欲に魂を奪われた男がいた。
 織田信長の家臣・古田佐介。
 天才・信長から壮大な世界性を、
 茶聖・千宗易(利休)から深遠な精神性を学び、
 「へうげもの」への道をひた走る。
 生か死か。武か数奇か。それが問題だ!!
この漫画の第一巻で一番ドキッとしたのは、御馬揃えで織田長益(後の有楽斎)の登場した一コマです。あれ、すごい。すごいズキュンときた。あのコマには、やられた。「うわっ、織田長益が生きてるじゃん」と。生・き・て・る・ん・で・す・よっ、これがっ!
織田長益という人物は、信長の弟という非常にきわどい地位にありながらも、本能寺の変後にもなんだかのらりくらりと生きてるあたり、人柄がなんとなくしのばれます。武士というよりは、どちらかというと地位と金のある色男で、信長以降の混乱を治める要所要所で顔を出していたのではないかなと、ぼんやりと思っていました。その長益がですねぇ、あのページの中で生きてるんですよ! 
千利休の存在感も圧倒的。織田信長もまるで生きているよう。個性的な登場人物たちとともに、物欲を軸に描かれる戦国時代絵巻。こんな戦国見たことないです。
山田芳裕さんの漫画には「ものにこだわる男」が少なからず登場してきますが(『大正野郎』の平、『しあわせ』のジュンじいなど)、今回の古田佐介はその真骨頂。
むー、是非最後まできっちり、思い描く物語のすべてを連載しきっていただきたい作品です。

1 COMMENT

へうげもの official blog

桑田忠親『茶道の歴史』(講談社学術文庫)

「……私が終戦直後に『古田織部』といううすっぺらい本を書きまして、それを或る文科大学の先生に差し上げましたところが、葉書で礼状が来ました。見ると、”吉田織部、をありがとう”と書いてあったので、少々がっかりしました。吉田織部じゃあね。なるほど、字

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