もうすでにコンパクトシティ作ってます/縮小するニッポンと父ちゃんの行き先を考えてみた

2025年、高齢者が難民になる日 ケア・コンパクトシティという選択 (日経プレミアシリーズ)

母の死後、一人暮らしをすることになった父。葬式がおわった翌週に娘達が家を去り、元気に過ごせたのはたったの2日。その後心労がたたり、病院行ったりなんたりなんとか自力で過ごしたみたけどその翌週にはまた私がリターンし10日ほど面倒を見て、姉が引き継いだものの姉の家でまた容態が悪化。無呼吸の時間が長くなり、四十九日前にもしかしてお父さんまで・・・という状況になりとうとう入院。酸素がんがん入れて点滴どんどん注入して、なんとか立ち直り、先日退院してまいりました。母の死のショックから立ち直るのに二ヶ月かかったということです。寝たきりの母親にさんざ悪し様に言われて(母の病気は、性格が変わってしまうようなひどいものだったのです)、ひどいときには(略)だったのに、やはり亡くなったのがショックだったのか、それとも母親が「早くきなさい」と強く呼び寄せたのか、あんなに体調が悪くなるなんて。それでもお母さんのこと、お父さんなりに大事にしてたんだねぇ、ていうか、あれでラブラブだったんだねえ・・・・。

しかしそんな父親も一人暮らしは到底ムリなので、父の入院中には、老人ホームや支援ハウス、グループホームなどの施設を探していました。そのなかのひとつ、地元の支援ハウスがすごかった。平屋のいわゆる独居老人集合住宅なんですが、増築に次ぐ増築で昔の温泉旅館みたいな構造に。現在も新築棟ができあがったばかりで覗かせてもらいました。
IHが3つついたツルピカキッチン(LIXIL社製)! ともすれば付き添いの人間が寝ることもできそうな広々したトイレ、、もちろん車椅子で入れます! 地元の間伐材をいかしたシンプルながらシックで気の利いたデザインのお部屋! トイレを除く居住スペースは六畳間といった感じで、お家賃はにゃんと総額一万円! い・・・いちまんえん・・・・? 
ヘルパーさん・夜間スタッフ(といっても看護はせず迷子を捕獲するとかそんな業務)完備で、必要であればお風呂介助・食事介助もやってくれて、そちらは介護保険が適用されて、本人の支払いは月額25000円。
それとは別に電気・水道が実費。食材などは自費、外出OK、大浴場あり。甥っ子が入ってる押入れサイズの学生マンションの賃料が月額10万なことを考えると一体なんなんですか! 老人手厚いなー! 

老人にこれほどまでに手厚いのもなんだか申し訳ない。このお金の十分の一でも子どもたちや赤子支援に回せたらよいのに。しかしここで多数の人間の雇用が確保されているのも事実。建築屋さんや建設屋さん、電設屋や医療機器メーカーなどの関係者たちが潤っている。ありがたいんだけど大変に複雑な気分。住宅が密集しているわけでもない地域なので、ヘルパーさんや行政がガソリン代かけて見回りするくらいならば、ご老人たちに一箇所にまとめて住んでもらって、まとめて面倒みてやるわい、そっちのほうが効率的だし孤独死も防げるしー、というコンパクトシティが既にそこにありました。これが地方の生きる道なのかと少しだけ暗澹とした気持ちになりましたが、帰り道に地元の保育園の改築工事をしているのを見つけ、ちょっとホッとしたり、ていうかやっぱり箱モノ作るしかないのかと思ったり。

いずれにしろ、こういう山下和美の「不思議な少年」のララ族一歩手前な自治体が日本中にあるんだろうな。日本中に新幹線なんか作るからこういうことになるんですよ(便利だけど)! 全部東京に繋がっちゃっうから、豊かな文化を持つ地方都市が溶けてなくなっちゃったんですよ(新幹線、とても便利なんだけど)! でも豊島区や目黒区、品川区も近い将来人口減になるとのことで、すげえな、必死に立てたマンションとか戸建ての家とかこのあとこれからどうなっちゃうの? 我が家もこれからどうなっちゃうの? 

 

地方へのIターンを考えてるご夫婦がいたら、奥様には介護の資格をとってもらうことをおすすめします。介護の資格があればどの自治体に転居しても仕事には困りません。一千万程度の生活資金があればなおよろし。お二人とも要普免、要車ですが、空き家なんかたくさんあります。現代のトイレ事情を反映した家だって選べます(そうじゃないトイレ事情の民家も地域によってはまだまだたくさんあります。トイレ大事!)。奥さんが介護の仕事で稼ぐ現金収入と、旦那さんの収入にならない畑仕事で、慎ましく暮せば何年かはぜんぜんいけます。そうこうしているうちに奥さんがケアマネージャーになったり、地域に欠かせない人になれればめっけものです。同世代のIターン組の皆さん、奥さんたちは全員介護関係の仕事してますもん。というか男性が働く場所があまりないんですもの。男性も介護の資格取っちゃえばダブルインカムですわ、社会保険もつきますわ。子育てだってなんとかなりますわ、母がよくお世話になった男性職員さんがその支援ハウスにたまいて「僕、子供が5人いるんですが」とさらっとおっしゃてブハッと緑茶吹き出すところでしたわ。大変失礼だとはおもいますが、年収は片手百万円くらいだと思われます。ですが子供5人までいけるんです! お金使う場所がないってすごいことです。お金を使う習慣そのものが薄れていくんですもの、すごいわ。

シネコンが決して撤退しない人口20万くらいの地方都市で静かに余生を過ごしたいものですが、どうなることやらら。わたしたちの老後はこんなに手厚くないことは明らかだしねぇ。医学の進歩で「今日は死ぬにはいい日だ」って日に死ねるようになるのかもしれないですけれども。

6 COMMENTS

asoyoko

しみましたね…
介護問題、じわじわと自分ごとになりつつあります。うちの実家みたいに、思い切ったコンパクトシティにもなりえない中途半端な首都圏近郊っていうのはどうなんだろうなあ。

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ukasuga

asoさま
中途半端な首都圏近郊って一番厄介かもしれませんね、個人のちからが強そうだし。従順な田舎のご老人だからすんなり進んでいる事案なのかもしれませんですぞよ。

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のの吉

>増築に次ぐ増築で昔の温泉旅館みたいな構造に。
のようになったシステムを某業種では「熱海の旅館」と呼びますの。

本題ついては、介護始まると、ドペーパーなので車運転できないの辛いなー。と思ってます。が、今更練習し直そうにも、運動神経反射神経切れてるし、です。

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ukasuga

のの様
確かに車が。早く自動運転システムが安全なものとして確立されてほしいものですじゃ!

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