公衆電話な人々

昨夜の話。
飯倉の郵便局まで速達を出しに行く。今までは、新一之橋の交差点から、飯倉片町までのアクシス側の坂道を上り、首都高速の下の交差点を渡り、郵便局に行くのだが、昨日は新一之橋→東麻布→狸穴のルートをとってみた。断然近いし、早い。
夜に歩くと、昼間ではわからない、あの近辺の人々の暮らしぶりが見える。やわらかな灯りがともった部屋を見つけては、あのビルはマンションだったのかと発見したり、カーテンつくりが間に合わなかったのか、手ぬぐいを並べて目隠しにしている部屋や。
東麻布や麻布十番には同じデザイナーさんが立てた「コンクリート打ちっぱなし」のお手本みたいなビルがいくつかある。道に迷ったのかと思うくらい。特に東麻布のコンクリ感といったら。東麻布という場所を三言で表現すれば、青空・コンクリ・東京タワーで足りる用に思える。
郵便局の帰りも同じく狸穴坂をくだる。
そこで公衆電話のボックスに入ってる若い男の子を見る。夜中の話である。携帯電話を持っているに違いない、いまどきのニッポンの男の子である。身奇麗で、着ているものの趣味はともかく、決して貧乏くさくない格好の若い男子である。
そんな男の子が夜中の公衆電話で、誰にどんなメッセージを伝えようとしているのか。携帯電話の履歴に残せないような相手? そんな相手にわざわざ公衆電話に移動してまで伝えたいメッセージってどんなもの? 携帯電話が人の隠し事を随分と簡単なものにしてしまったご時世に、あんな若い子がいったい何を伝えようとしたのかしら。しゃれにならないほどの悪事か、ただの二股か、考えながら歩いて帰ると、近所のコンビニ前の公衆電話で、若い女の子が受話器を握って立っている。いつもは、南米や中国南部から来た女の子たちが握っている受話器だ。彼女は、一言もしゃべらず電話を切った。公衆電話からの着信履歴を残したかったのか、自分の携帯電話からはかけにくい相手だったのか、ちょっと切ない彼女の背景を、一瞬想像した。
そんな夜に深谷陽のスパイシーカフェガールを読むと、無性にいろんなことを想像しちまうんだよぅ。そしてタイ料理が食べたくなるんだよぅ。
スパイシー・カフェガール
スパイシー・カフェガール 深谷 陽

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