概要:「あれーエンゲル係数高まってないーー?」と訝しみながら仕事仕事。
「俳句のための文語文法入門」
ガチの本だった。なるほど。わからん。
永井路子「古典を読む 大鏡」
古本屋で見つけて。兼家の前の世代から始まり、栄華を極めた道長の晴れやかな日で終わる大鏡。倫子ちゃんは複雑な立場だったし、伊周に超辛辣で隆家には「剛毅よのう」と称賛。清少納言が誉め讃えた伊周が見当たらないのが面白かった。この時代を複数の角度から切り取った作品が、現代にまで残っていることは本当に素晴らしいと思います。この文学の文化、大事にしたい!
吉村昭「海も暮れきる」
尾崎放哉の後半生を描いた小説。琵琶湖のほとりのお寺の庵に転がり込んだ尾崎放哉。屋根はあれど天井がない荒壁の庵(寒かったと思う・・・流しはあったらしいけどほぼほぼ馬小屋みたいな造りだと思う)。ここで病の尾崎は、あらゆる人々に無心の手紙を送りつつ、困窮し、死を迎える。物語の10%読んだところで、4回ほどドン引きしているので、ほんとうに周囲の方は大変だったことだろう。俳句なんてなければ彼の人生も狂わなかったのに。あるのがよくない!
町田康「山頭火」
町田康の読み解きが面白い「山頭火」。吉村昭の尾崎放哉本にも出ていた『層雲』の荻原井泉水も登場してくる。荻原井泉水は尾崎放哉や山頭火を支援した人なのだが、明治に生まれ昭和51年まで生きた。尾崎放哉も種田山頭火も世に出し、彼らが世を去るのを見送った。
山頭火は50歳で出奔するがところがどっこい57歳まで生き延びるのである。しかし、近代文学を立ち上げた人々の寿命の短さよ。夏目漱石は49歳で死んでしまったけど、たとえば80歳まで行きたとしたら太平洋戦争が終わるところまで立ち会えたのである。太宰治だって80歳まで生きたとしたら高度成長を見届けられたのである。人生とは!!
「ポケモン工芸展」
金沢でやっていたポケモン工芸展が麻布台ヒルズにやってきた。今見るべき幅広い世代の工芸作家の作品を、ポケモンの世界を介して一堂に見られる稀有な機会。迫力の焼き物もよかったが染織も見応えあり。城間栄市さんの沖縄の海を再現したサニーゴの紅型や小宮さんのゲンガー江戸小紋など本当に素晴らしかった。ゲンガーの江戸小紋、ほんとかわいいんだよなぁ。
部屋の模様替え
リビングの家具を少し入れ替えた。いろいろメルカリや古道具屋を探してまわったけど、そうじゃないそうじゃないんだーと毛局、自分がよく知る家具メーカーのものを買い足すことにした。正解。美しく良い部屋になった。素晴らしい。
映画「グリーンゾーン」
「大量破壊兵器」問題をテーマにしたマット・デイモン主演作品。マット・デイモンはどの職業の人も完璧に演じきるのがすごい。そしてどこの国にもいる売国奴にどんよりとした気持ちに。
歌舞伎「大富豪同心」
歌舞伎座で「大富豪同心」をやっていると聞いたのでいってきた。わたくし、中村隼人が歌舞伎役者だと知らずにいたもので、ええ、「え、歌舞伎座でやるってことは歌舞伎役者だったの!?」と驚きながらチケットを取ったでござる。一幕の古典、二幕目の椀久、三幕目が大富豪同心。椀久が終わったら左右の御婦人二組が帰ってしまった。メディアミックスとか認めない富豪マダムなのかな。椀久、夢見たいでキレイだったんだけどなー。大富豪同心はエンドロールまでサービス満点でよかったよ!
吉村昭「雪の花」
江戸時代末期の実在の町医者笠原良策の生涯を描いた吉村昭作品。いま、松坂桃李主演で映画が公開されていますよね。京都から福井へ超えてゆく雪道が壮絶。松平春嶽をなぜか身近に感じた。吉村昭の医療小説は、この「雪の花」「北天の星(シベリアから種痘を持ち帰った民間人の話)」「花渡る海(北天の星より前の時代の話、未読)」があります。人生のだいじなことは、だいたい吉村昭から学んでる!! みんなも読もう、吉村昭!
遠藤周作「海と毒薬」
戦時中のあらゆるグロテスクが読める戦後12年目の1957年発表作品。戦後12年ってまだまだそんなもんだったんだよな。続けて映画も見てみた。
1986年に奥田瑛二と渡辺謙で映画化されてもいるので続けて見た。ケン・ワタナベが瑞々しくて、奥田瑛二が初々しすぎる。えーーこんな初々しいおぼっちゃんが、いまあんなセクシーなおじさまになっちゃうの? やだーーん。根岸季衣と岸田今日子の緊張感あふれるやりとりの凄み。40年前の作品です、40年前!!
映画「ビーキーパー」
養蜂家が蜂を使って悪事に対峙する話かと思ったらそうでもなかった。
アメリカ社会におけるいわゆる白人男性の居場所は、詐欺のコールセンターにしかないのかという衝撃。若造CEOの会社に、CIA元長官が天下りあらゆる便宜を図ってる。アメリカも、アメリカもいまそうなのかい? 割と絶望的なのでは!? 警官もスワットもアジア人多く、これがいまのアメリカの姿なのかもしれないけど、時代の変化というか、なんというか。
上條淳士展
弥生美術館で見てきた。うぉぉぉーーー青春ーーーーと叫びながら。
落語「志の輔落語」
みどりの窓口、神子原米、文七元結。今年も聞けてよかった。どれも長いお話で、志の輔さん、足痛くない? だいじょうぶ? 神子原米は現存の人物をモデルにした新作落語で、その試みが素晴らしいと思いました。