新宿ピカデリーで。映画パイセンのナガと。
精神病や孤独に苦しみながらも、フィンセント・ファン・ゴッホは数々の名作を世に送り出した。本作はそんな彼の内面と自死に対する一つの解釈を打ち出す。(Wikipediaより)
そう、解釈! ひとつの解釈! でもそれはとても美しくそうであったらいいなと後世の人間に思わせるもの。63歳のガリガリ皺深イケオジのウィレム・デフォーは、37歳でこの世を去ったフィンセント・ファン・ゴッホのイメージにぴったり。そらあなた、太陽を求めてやってきたアルルでは冷たく強いミストラル(群馬のからっ風みたいなもの)に悩まされ、貧乏でお腹空かせてて弟の仕送りしか頼るものがなく、愛に飢え、友情を渇望した彼を体現するのには、ウィレム・デフォーが適役だったってぇもんでしょう。ウィレム・デフォーさんは体を鍛えてらっしゃるのでシルエットは30代後半の男性そのもので、鑑賞中はゴッホにしか見えなかった。
ゴッホ展で心ゆさぶれた人は、迷わず見に行くとよいと思います。先週公開したばかりですが小さいスクリーンだったのでお早めに。まぁまちがいなく、飯田橋のギンレイホールでかかると思いますけれどもね。
さて、ウィレム・デフォー! 思えば彼との初めての出会いはストリート・オブ・ファイヤー(1984年)のチンピラ役じゃった。あれから35年、こういうかたちでまたひとつのスクリーンの中で見られるとは感慨もひとしお。35年! 昭和・平成・令和をわたしとともに駆け抜けた俳優さんじゃよ(偉そう)。いま、画像検索したらなんかすごい髪型だったんだな・・・ウィレム・デフォー・・・。
フロリダ・プロジェクトもグランド・ブダペスト・ホテルもまだちゃんと見てないんだけど、フィリップ・シーモア・ホフマン主演の『誰よりも狙われた男』でリッチな銀行家の役で出てくるんですけど、もう、その、裾が翻りそうな長さのカシミアのロングコートときちきちの薄いラムレザーの手袋をはめた姿に目が溶けた。
「永遠の門」の中で、精神病院に入院させられたゴッホが療養中に他の病んでいる人と話をする場面があった。「俺は戦争に行ってきた。兵隊でいる間は正気なんだが、将校以上はみんな気が狂っていた」というようなセリフを口にする。あぁ、鶴見中尉のことよね・・・わかるぅ・・・。
アニメ「ゴールデンカムイ」で少々ネジが吹っ飛んだ鶴見中尉の声を、大塚芳忠さんがやっていますが、ウィレム・デフォーの声も大塚芳忠さんがいくつか担当されていることを知る。わかるー。大塚芳忠さんの最近の素敵な仕事は、『大草原の小さな家』のベイカー医師の声。すごくいいー。もー大草原人情噺にぴったりー。
本作のウィレム・デフォーの声は多田野曜平さんが担当されるそうです。多田野さん、スティーブ・ブシェミも担当されているそうで、あぁーわかるー、ウィレム・デフォーと骨格が似てるものー、上顎の感じなんてそっくりじゃないですか!
画面を支えるピアノも、主人公の視線を捉えたカメラも、とても効果的だった。しかし、特にロケ地選びに苦労してなさそうな欧州の土地の時間の変化のなさよ。アルルのひとたち、ゴッホのことをあんなにいじめていたのに、今はゴッホで町おこしとかしてるんでしょー、なんてことでしょう!
旅工房さんでゴッホをめぐる旅を企画してらしてて、季節に寄ってはめっぽうお手頃・・・どうしよう・・と心が揺らいでいるところです。オランダのゴッホ美術館に行くのが安全・確実なのかもしれないけど。
私にとってデフォーさんは
「プラトーン」と「ベルリン・天使の詩」です。
そのほかでもちょいちょい
私が好きなタイプの映画で
「あ、ここにもデフォー!」ということがあり、
彼が出たいタイプの映画と私の好みに
なんか共通性がありそうです。
偉大すぎて忘れていた、プラトーン!! まさか一生付き合うことになる俳優さんになるとは。
フロリダ・プロジェクトも見てみた。うえええん、アメリカの貧困よ!!!あわせてぜひ!