1970年代後半にフィンランドに留学した著者のエッセイ集。お正月に海外旅行に出国する日本人が16万人しかいなかった50年前の時代を描いた話なのに、全然古臭くない。年号だけ外して読めば現代のものかと感じてしまう。それに、今でもフィンランドの人の暮らしぶりはこの時代からそう変わってないようにも思う、もちろん日本人も。たとえ世界中の人々にスマートフォンが行き渡っているとしても。当時はフィンランド航空の15日間乗り放題の『ホリデーチケット』なるものがあったそうで、なにそれ羨ましい。私も飛行機乗ってぐるぐる廻りたい。厳寒の季節のフィンランドに行ってみたい。
彼女は学業優秀で留学先のヘルシンキ大学を卒業するのですが、みなが「フィンランドに残って働けばいいのに」とすすめるのに、それを振り切り「黒髪を珍しがられて撫でられて、人形扱いされるのは嫌だ」と帰国することを選ぶ。アメリカでしばらく暮らしていた日本女子がポカホンタスメイクになって帰ってきちゃうようなものなのかしら。
ともあれ、本を読んだ限りでは(この人の文章がとても瑞々しく若々しいということを差し引いても)、ノルウェーで長距離フェリーに乗ってる間、隣の席のデンマークマダムたちがずっと編み物をしているのを思い出したりしましたが、フィンランドびとの暮らしは今も昔もそう変わってないようで、「読めるし喋れるけど、何を言ってるんだかさっぱりわからない」フィンランド語にも楽しく触れることができました。こういう御本、人生のもっと早い段階で読んでおきたかった。
さて、関連して次に読むべき本はこのあたりです。
ところでフィンランドには、『サウナでは教会にいるときと同じようにふるまえ』という格言があるそうですね。素晴らしいですね。だから男と女が同室にいてもおかしなことにならないんですって。こういう格言、日本でも行き渡ってほしい、「満員電車ではお寺にいるときと同じように振る舞え」とか。
フィンランド語は猫の言葉、高校生のときに単行本で読んで、すごく影響うけた本でした。いまは文庫本になっているのね。
三回くらい改編?してるようで、最近角川から文庫版で出たそうです。他のバージョンもあるみたいですが、これが一番かわいい装丁☆
こういう本に人生の早い段階で出会っていればと悔やまれてなりません。私のぼんくら高校生時代・・・まったく・・・