バカ姉弟 5 (5) 安達 哲
安達哲さんという作家さんは、とにかく絵がうまい。いろいろな年代・国籍の人間の書き分けがすばらしくうまい。和服を着た人間を描かせてもうまい。いろいろな漫画で着物を着た女性の姿を見るけれど、安達哲さんの右に並ぶ作家さんはいないのではないかと思う。色っぽくてすっきりしたライン。描き込みすぎてない淡白な姿、そのくせ季節感がきちんとあり、着ている素材まで想像がつきそなリアリティ。ご老人たちの着物姿もよい。和服着たじいさまが長いダウンを着て外を歩くシーンがあるのだけど、現実よりもよりリアルな着物姿。ニッポン男児のキモノミチはあの延長線上にあるのではないか？
絵だけじゃない。きらきらっとした小さな箱につめあわされたチョコレートのような、じんわりとした短くて小さなお話が集まった短編集。もうね、寝る前に一話一話ちょっとだけ読むのが楽しいのよ。巣鴨で暮らしてみたいかも…と思いたくなる不思議に素敵なおはなしです。
５巻は「おねい・さえない喫茶店を営業指南」編・「くるみちゃん・庚申塚で道に迷う」編と「おねい・アメフトに挑戦す」編が特に好きです。マイコン…。