捨てられし裏庭に咲くや九輪草

ちょっと山奥の陶芸家の家へ行ってまいりました。
古民家を古民家のまま潔く使って暮らしているそのお家、小川以上河川以下の清流の近くに敷地があり、野性か栽培か判断つきかねる野放図な畑を見下ろす縁側、その奥には現役で稼働している囲炉裏のある部屋がある。かつては峠を降りてきた旅人を泊めたていたというその家屋、当時は結構豪壮だったんでしょうな、裏庭に立派なせせらぎが引かれており、そこに九輪草が咲いておりました。囲炉裏の自在鉤も横木も、その建物が経ったときのままのものを使っていて、百年分の埃と煤がついていた。
 百年分!!!
部屋の家具はこの家でもともと使われていたものと、近隣の廃屋になった家から譲りうけたもののみで、新しいものがまるでない。電気スタンドだってナショナルのロゴが入った昭和50年代のもの。菅原文太みたいなドスの効いた顔の猫が3匹いて、縁側で陶芸家のおっちゃんらとコーヒーを飲んでいたら、一番怖い顔の猫が膝の上にのってきて、顔に似あわぬ甘い声で「にゃむーごろごろごろごろごろ」と喉を鳴らしながら丸くなる。警戒心ゼロ。
世捨て人ってわけでもないし、ヒッピーってわけでも過度なナチュラリストというわけでもない。電気ガス水道完備しているけど、必要以上に使っていない。窯は薪で熱くする、ボイラーなんて使ってない。隣の家まで車で10分(田舎道を10分!)、夜には車の通行も完全に途絶え、完全なる静寂と完全なる闇に包まれる。光るものといえば木々や山並みに切り取られた小さめの満天の星空。なんだろう、この潔さは。
こういう暮らし方もあるのか、と、山野草が似合いそうなごつごつとした焼き物の花瓶を頂戴し、うむぅと唸って帰ってまいりました。うむぅ。
ところで、六本木ヒルズのハンカチーフのスペシャリティショップ・クラシクスさんの夏の新作男子趣味ものハンカチーフ、今回はツールドフランスみたいなかわいいのがあるの。赤い塔は東京タワーでしょうか? 自分ツール! 自分ツーキン! 自転車乗り男子への贈り物にぜひ!
今日も山道で一人山岳賞を何人か見たわ。いい季節になったわね、と思ったら、来週から本格的な梅雨ですよ、んもーぅ! 
おまけ。今日のはやぶさ君物語。
【はやぶさ 最後の24時間】
6月8日、9日にJAXAのプレスリリースが相次いで出ました。その情報をもとに「はやぶさ」最後の1日をまとめます。
「はやぶさ」は再突入の約3時間前に、高度約6万kmでカプセルを秒速10cmという遅い速度で分離します。その後ウエスタン・オーストラリア州上空からオーストラリア大陸上空へ。現在の予定では6月13日23時(日本時間)ころに、高度約200kmで大気圏へ突入します。
その時の速度は秒速12kmにも達します。高度100km以下になると大気との摩擦で急激に表面温度が上がり、カプセルの周囲は高温のプラズマに包まれ、地上からは明るい流れ星として見ることができます。高度100km以下でしか光りませんので、残念ながら日本から見ることはできません。カプセルと「はやぶさ」本体はほとんど同時に大気圏に突入してきますので、ほとんど一緒になって見えるでしょう。高度60kmくらいで最大の明るさになります(マイナス5等くらいといわれています)。
その後、急速に速度を減じて流れ星としての発光は終わります。「はやぶさ」本体は高度60kmまでにばらばらに破壊されて溶融消滅します。カプセルは高度約10kmでパラシュートが開傘、ゆっくりとウーメラの砂漠地帯に降下してきます。
「はやぶさ」の7年にも渡る旅の終わりです。

もはや、詩だね。

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