高齢化社会の来たる映画館/私が飯田橋の名画座「ギンレイホール」から足が遠のいたわけ

JR飯田橋駅徒歩2分、飯田橋の地下鉄出口ほぼ直結の飯田橋ギンレイホールは、一年間一万八百円で映画見放題という算数が苦手にも程がある素晴らしい年間シネパスポートを発行してくれています。映画のセレクションも素晴らしく、「いい映画だとは聞いてたんだけど、見はぐっちゃったんだよな」なラインナップが2本セットで二週間ごとに入れ替わります。その気になれば年間50本、月一回の特集オールナイトにも足を運べばさらに30本(年パスとは別料金のものも)、秋の名画座特集ウィークにすべて通えばさらにもう20本(年パスとは別料金のものも)、合計100本見られるという映画館なのです。近隣にお住まいの人や、飯田橋が乗り換え地点のお勤めで、映画好きな方ならギンレイシネパスポートをお持ちの方は多いことと存じます。んもう、素敵な価格破壊! 私もこの地に引っ越してきてからこっち、ずっと年パスホルダーです。

なのですが。。。

年間パスポートで入場しやすいことと価格破壊っぷりから、「ここは私専用の映画館」「ていうかもう自宅なんじゃね?」的な人が増えているのも事実。冷暖房が完備したふかふか椅子の心地よい空間に続出する高いびきじいさん、バリバリむしゃむしゃカサカサ常になにか食べてないと死んじゃうばあさんはだいたい常駐。映画の途中で入場してくる人が無遠慮に歩きながら空席を探したり、私個人の事件としては上映中飲み物をカップホルダーに置いてお手洗いに行って戻ってきたら見知らぬ男性がそこに座っていたことも。一番凄まじかったのは、慣れたふうに一番前の座席に陣取り、床に置いた大きなショッピングバッグからメイクボックスを取り出し化粧を落とし、それが終わるとバッグの中の大五郎を持ち上げラッパ飲み、最後に助六弁当をムッシャむしゃやった中年女性。

 自宅じゃねぇんだよ!!!
 自宅かと錯覚したくなる気持ちはわかるけど、
 ここは自宅じゃないんだよ!!!
 ちゃんと映画見ようよ!
 だいたい、大五郎、でかいんだよ!

大五郎 25度 4000ml

映画館自体は、スタッフのみなさんも気持ち良い方ばかりで、神楽坂の商圏内で場所柄もよく、映画を題材にしたおしゃれ漫画のモデルになりそうなくらい味のある名画座なのに、なんなんだ客の君たちのその態度は? 公共の場にいるという自覚のなさ、だらしなさ、気ままさ、気遣いのなさ、恥じらいのなさは? 

客の自由奔放な振る舞いに辟易を感じちょっと足が遠のいているうちに、「絶対ギンレイホールでかかりそうもない痛快とんちきアクション大作」やらなにやらを見るためにシネコンにしばらく通うことがあった。シネコンの客層、いい。

エンドロールの最中にスマホをつける人口は少なくないけど、途中入場する場合は映画館のスタッフが誘導してくれてるのもあり他の人のじゃまにならないように自然にみな背を屈めて入ってくるし、大五郎のペットボトルを持ち込む人もいない。
やはりこれってお金をちゃんと払って見にくるから? 映画館にくるためだけでも既に交通費やらなにやらコストを発生していることを自覚しているから? きちんとおしゃれしてメイクしてしてきてるから? 名画座のお客さんってそこまで吝嗇家にならなくてもいいんじゃないの、どうなの? 

というわけでしばらく遠ざかっていたんだけど、面白そうな映画がかかっていたので久しぶりに足を運んだわけ。入場時にもぎりの人から「上映途中の入場禁止についてのお願い」といった内容のチラシを手渡されたので上映前に熟読。箇条書きで書かれた途中入場禁止の理由のひとつに「転倒する人がいる」というのがあり、高齢化の波が映画館を飲み込んでいるのを実感。映画館もそれなりに困っていたんだなーと思いながらスクリーンを見ていると、今度はかわいらしいアニメの映画鑑賞マナーの啓蒙CMが始まった。ギンレイ・・・そこまで困っていたのか・・・・。同情するよ・・・ギンレイ。

そして本編上映開始。「ダコタ・ファニング、鈴木杏かと思った」などと鑑賞しはじめしばらくすると、なにかのモーター音が聞こえてくる。映画の中の効果音かと思っていたら、じいさまの高いびきだった。私の左裏手のおくさんが煎餅をバリバリやる音が聞こえる。映画の途中、主人公が迷子になり周囲の人が連絡を待っているところにiPhoneの着信音が鳴る、「あぁ連絡ついたのね!」と観客一同ほっとしたら、客席の電話が鳴ってる音だった。

 おいおい抑止力ないな、マナー向上CM!!!

みんな周囲の人に優しく気を使ってあげられないのかにゃ? 私もああいうババアになるのかな? 「メタモルフォーゼの縁側」の雪さんみたいにちゃんとした婆さんになりたいんだけど、無自覚にそういう人間になっていくのかしら。だとしたらいやだわぁ。気をつけるしかないのよね、ふぅ。

 

メタモルフォーゼの縁側(1) (単行本コミックス)

5 Comments

カヲル

年間パスポートにすると、そんな客層になる恐れもあるのか。少なくともアルコールは持ち込み禁止にすればいいのに。

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ナガ

帰り道にあるから行こうとおもったけど、ちょっと無理かも。客が自由過ぎます。

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ukasuga

算数の苦手なこの映画館から得られる喜びを多くの人で味わいたい、と、そういう人たちは思わないのでしょうか。もっと大事に映画時間を過ごさせていただきたいものです。

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はつき

しばらく行けてないギンレイがそんなことになっているとは!?
勝手な推測だけど、もし高齢の人の振る舞いの確率が高いなら、平日昼は避けて週末や夜にした方が良いのかも…勤め人ではないメリットは享受できないけど。

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ukasuga

それがね、奥様。これは平日夜に起きた事件も入っているんざます(平日昼はさすがになかなか行かない)。みんなしっかりしてー。ほんとにもー。

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