わたくし、一時期、ミシェル夫人も愛用のナンシー・ゴンザレスのワニワニした鬼ぃちゃんみたいなクラッチバッグがほしくてほしくてほしくて、しかし国内でお目にかかれる時期が大変に少なくて少なくて少なくて、2015年の正月香港某所でナンシー・ゴンザレス祭りやってて「ぐにゃー、伊勢丹で48万もしやがったあのバッグがー、なぜー香港でー買うとー36万なのー!! 関税か! 関税なのかー!」などとひとしきり叫んだ後、冷静になって見返し「しかしこれではiPhoneしか入らないではないですか! 財布も入らない! 現金丸裸で持つのか! 私はそんなにワイルドアットハートな人種でしたっけ、どうでしたっけ!」と自問自答、「あ、そろそろフライトの時間ではないですか、えぇ今回は見送りましょう、見送りましょう」とそのバッグはそっと棚に戻し空港に向かったのでした、そうでした。ということは、ナンシー・ゴンザレスを知ってから3年か4年ほど、「ぐぬぬぬー(シドアンド)ナンシーィィィ」とうめいたわけでしたのね。
そして2016年、海外通販の敷居が諸々下がってきて、アメリカの百貨店サイトで物によっては関税払って個人輸入できる時代がやってきました。そこでナンシー・ゴンザレス見つけ、タイミングよく知人が毎月NY出張繰り返すようになり「海外には出荷してないモデルを彼女の現地オフィスで受け取ってくれないでしょうか、げへへへ」なんてことを企んだりもしました、が、結局、そういう運び屋みたいなことをしていただくのも忍びなく、これも見送ることに。
とかいってるうちにナンシー熱が冷めて、機会があったら買えればいいかしら、使い勝手がよいものがありそうな国産で絞ってみるのもよいわよね、などと思って過ごしておりました。なにしろ海外のものって、お財布を買えば日本のお札がはみ出たり埋没したり、バッグの内ポケットがただの紙入れとしてしか機能しなかったり、iPhoneを入れると長さと幅はいいけど厚みが足りなかったり、お札は致し方ないとしても内部設計をもっとねーきちんとしなさいよぅーと毎回毎回突っ込まざるを得ない品物が多く、大変嘆かわしく思っておりました。
買うなら国産、色は黒でマット素材、金具はシルバー、底鋲あり、できればヴィトンの毛糸針入れみたいな横長形状で冬でも肩にかけられるものがあれば、そういったものがあれば、買いましょう、買いましょう、と心に刻んでいたのですが、なかなかない。国産のものを探してみるとマダム度が少々高く「あと15年待て!そんで指には2カラット以上のっけとけ!」というものか「日帰りバス旅行にも使えますよぅー、ほらー斜めがけにもできますしー」みたいなデザインのものしかない! 15年も待てませんやん、日帰りバス旅行に使える素朴なものもいらないんですの! 15年待ってたらあたいもカンレキーになったりしちゃってますやん! 其の頃にはきっと生活に余裕がなく鞄病にもなれないんですよ、きっとそうですよ、わわーん。とかやってたのが昨年秋。
そして先日、ニューオータニにお茶しに行ったときのこと。あの広大なカフェと通路挟んで「誰が買いますのん、これ・・・・」的なアイテムを扱ってるお店が多数並んでいるところございますでしょ? そこのウィンドウにちろんと存在してたのです、それが!
伊勢丹メンズ館にもたまに並んでる定評のある、あの国産ブランド(でもホムッペは営業に行きたい感じの)。鞄病20年選手が絞りに絞った厳しい条件-色は黒でマット素材、金具はシルバー、底鋲あり、横長・肩掛けOK、しかもショルダーストラップ付き-をクリアしたバッグがあったのです。
「あ、これだ」
でも葬儀を控えていたので父親の初七日すぎるまで買うのを待ったの、そして昨日買ってきたの。うふふ、これで私も鞄病を卒業ね!(毎年の誕生日に同じことを言ってる気がする)(少なくとも2年連続で言ってる)(買い物の当たり年だったのだと思いたい)
鞄病の卒業のなにがいいかって、やることなくなった深夜にワイン飲みながらモニタに向かって「クロコダイル バッグ -エルメス -シャネル -フェンディ -プリント -加工 -フェイク」などと検索するだらだらとした長い時間から、ようやく開放されることですよ! ビバ!
ちなみにこのバッグの原資はこちらになります。行って来い感が高い!
数年前、三百万で実家のトイレとお風呂を改築したった → 自治体から助成金百万が振り込まれた → その百万で父親に車買ってやった → もう乗らないからと売却した → 八十万戻ってきた → 一部がウカやんのバッグとして生まれ変わる 、これってアリですか?
— ウカ・ヌマエ (@ukaukatter) 2017年1月21日
その店内に男性客がひとりいて、シャツを数枚、ニットを2点、ネクタイを数本選んでまとめ買いしてたけど、こういうところでしか買い物しない人種ってほんとうにいるんだなーとまじまじと見つめてしまいました。そのお店では12万のネクタイ売ってたけど、なにに使うものなのかしら。もしかしてネクタイの皮をかぶった別のものだったのかもしれません。エルメスの25000円のネクタイがお値段・デザインともに無難なものに思えてきましたよ。