片桐はいり「もぎりよ今夜もありがとう」

もぎりよ今夜も有難う (幻冬舎文庫)

絶妙なタイミングでお湯のみに入ったお茶を差し出すことができるやさしい美文家・片桐はいりさんの映画に関するエッセイ。

今ではすっかりシネコンに体が慣らされてしまい、見る劇場、見る時間帯、見る席を選び、ネットで事前決済して、ムダに長い予告上映時間を逆算し映画開始直前に滑り込む・・・なんてことが当たり前になっていますが、「あぁ昔って、そういえば、人気映画を封切り時に見るって結構ハードルが高いイベントだったんだよね」と思い返しながら読みました。

映画そのものの話題よりも映画や映画館に携わる人のお話が多く、こんなピンポイントな範囲のネタで、よくぞ話題が尽きず3年も連載を続けることができるものだと感心しました。旅と映画がテーマの人は多いけれど、旅と映画館がテーマという人生もまた素敵。

それはさておき片桐はいりさんのWikipediaで「鹿の王」の上橋菜穂子さんとは中学の同級生と知りました。中学時代には一緒に劇を作って上演したというのですから、なんという濃いお二人の濃い出会いであることか。

あとがきのあとがきにほろりときた。

ふた親を送ってからは、身寄りのない人間が行き場にまどう年末年始も映画館で過ごしている。ある年は、キネカ(キネカ大森)の仲間と年越し蕎麦を食べ、お正月は蒲田(おそらくテアトル蒲田)にお年玉をいただきに行った。こうなるともう、映画館がわたしの実家、と言えなくもない。

私は次の大晦日を初めてふた親なく過ごすわけですが、どう過ごしたらよいものかと今から惑っているところです。

シン・ゴジラ

1 COMMENT

いち

猫を撫でて、美味しいものを食べて、
ゆく年くる年のゴーンを聞いて、
そんで新年がやってくるよ。

あ、ちなみに0時で年が明けるってのは西洋のしきたりよ。
日本は陽が出たら新年よ。

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