台北で「sixty nine」グアバの実/東山彰良「流」

流 (講談社文庫)

あらすじはamazonから。
一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で? 無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。選考委員満場一致、「二十年に一度の傑作」(選考委員の北方謙三氏)と言わしめた直木賞受賞作。

どんなあらすじかまったく知らず、読み進めていくうちに「ははーん、これは村上龍の69みたいな話なのかな」と思い込み、眩しい青春、きらめくバタフライ、ウェイティングフォーザライッな青春ピカレスクロマンが始まるのかと待ち構えておりましたが、全然違っていました、大変失礼いたしました。物語は、太平洋戦争終結からまだ30年の1975年の台北から始まり、村上龍のその作品とも時代が近く、余計にそのように思い込んでいましたが、えぇ、全くの早とちり。

台湾という国の成り立ちをよく理解していなかった私は、この物語に出会えてよかったです。凄惨な過去の内戦の話と、現在進行系の社会経済風俗文化が俗っぽく絡み合っているところがより疾走感を。しかし私たちは「台湾は親日国だから」と無邪気に喜んでいる場合ではないのだな、ということも、それはともかく春水堂のタピオカミルティが徒歩圏内で楽しめるところに暮らせているのはラッキーよね、わたくし。

最後の二行がほんとにいい。紙の本でどこかの旅先で読めば、もっとよかったなー。kindle で。

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