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犬も歩けば高尾山に登る
暗殺の年輪 (文春文庫 ふ 1-1) 藤沢 周平
一月にプレゼントしてもらった藤沢周平文庫・子羊スペシャルリミッテッド版もそろそろ終盤に。時代小説に没頭できるとても楽しい時間を半年の長きにわたって経験させてもらって本当にうれしいことです。ありがとう!
さて、本日は「暗殺の年輪」、んもぅ藤沢先生ったら、今回もどっぷり暗いんだからぁ! 晩年の葛飾北斎を描いた「溟い海」、藩の権力争いに二代にわたって巻き込まれた下級藩士が主人公の「暗殺の年輪」、老武芸者とその息子の嫁との心の交流を描いた「ただ一撃」、下っ引きの男の切なくも淡い恋を描いた「囮」・・・いやーんもう全部暗いんだからー。暗いくせに、目をぎゅっと閉じたときに網膜の中にぽっと色がさすような、そんな色味を帯びたハッとさせられる表現が必ずどこかに入っていて、そのたびに胸が詰まる。藤沢さんが描く艶めいたできごと、一日の時間のうつろい、季節の移り変わり・・・、どれもとても控えめで品があり、数々の時代小説の中でも稀有なものではないかと思う。真似したい日本語です。
夏休みに読んでみたい本やら漫画やら
・おぢさん Raymond Briggs
・あぶな坂HOTEL 萩尾 望都
・夢の果て 安房直子