野球と俳句と着物と旅と仕事と猫と酒

プロ野球2018 キモノの国のエクソダス

この漫画を読め!

枇杷の成るこれは性差の物語/漫画 板垣巴留『BEASTARS(ビースターズ)』

投稿日:2018年6月10日 更新日:

BEASTARS 1 (少年チャンピオン・コミックス)

「この漫画がすごい!」に選ばれたり、手塚治虫文化賞新生賞を受賞したり、話題になっている板垣巴留さんの「BEASTARS」を読んでみた。人間が出てこない男子高校生漫画なんだけど、「こんな漫画、読んだことないっ!」という鮮烈さと爽やかさ。

#MeToo や、#ツイッターでウィメンズ・マーチ のハッシュタグに紐付けられたツイートが毎日タイムラインに大量に流れてきて、あぁ私が受けていたあれはパワハラというものだったのかとか、そうかあのときの部長のあの発言は今の世であればセクハラで懲罰対象となっていたものかもしれないのかとか、いろいろ思い至ったりする。しかしそれも20年以上の昔の話。ヤング・ウカヤンが「宮本から君へ」を読んで「営業の人っていいなー外出歩けてて」と羨ましく思ったり、OL進化論の田中さんにそっくりな独身の先輩にたまにおいしいゴハンをのんきにごちそうになっていた時代のお話。

あれから20年経ち、昼間のオフィスで「蜘蛛の巣張ってんじゃない?」なんて不穏当なことをいうけど、飲み会のときに気前よくみんなの分払ってくれる古き良き時代の部長たちは全員立ち退いた。私の同世代の男子たちが役職を得て偉くなり、経営者側に行き、「やれやれ、あんなおっさんたちが切り開いた地獄みたいな仕事環境はもうやめにしようぜ」って生きやすいオフィスにしてくれてる・・・と思っていたのに、なのに、まだ地獄みたいなことが日本中で起きてるのかと思うと暗澹な気持ちになってくる。

私のここ最近のお客様は、(人使いは荒いけど)言葉遣いも丁寧で、穏やかなで、身なりもきちんとしていて、清潔で、乱暴なことを言わない本当に紳士的な方が多く(人使いは荒いけど)、そういう面では全く嫌な思いをしたことがない。大変に恵まれている。ツイッターで流れてくる女性が女性というだけで生きづらい地獄みたいな世の中がどこにあるのかと感じてしまうくらいだけど、実際、ぶつかり男をはじめとして、社会のいたるところに小さな地獄がちりちりとあるんだなと可視化されてきたようにも感じる。

では私の同世代の、今では会社で偉くなっているであろう同期の男性たちは、いまはそういう問題にどう向き合っているんだろう。ひとごとなのか、「それじゃなんにも言えなくなっちゃうね」と思ってるのか、「自分の娘がそんな目に遭ってるとしたらやっぱりこの世は地獄じゃねぇか、おれが変えてやる、自分の会社だけでも変えてやる」と強く思っているのか。権力もあって、腕力もあって、小金も持ってて、そういう男が、女性たちが毎日密かに怯えている地獄みたいなこの社会で、男たちはどう振る舞うべきか、そういうことを常に考えてくれているのだろうか。

この漫画を読みながら、そんなことをつい考えてしまいました。いまなら一巻無料配信中! ご興味有る方はぜひぜひー。漫画文化も成熟しきってしまったと思っていたけれど、こんな漫画は本当に読んだことないです、その点だけは保証します。

BEASTARS 1-7巻セット

 

昭和14年生まれのちばてつやさんの「ひねもすのたり日記」、ビッグコミックの本誌で連載を追ってますが、この漫画もすごいです。命からがら満州から帰ってくるあたり、漫画にしたら見開きで4ページの話なんですが、実際は4ページのわけがないですよね、描ききれない壮絶なエピソードが多数あったと思います。自分の親御さんと同年代の人も多いと思います、昭和生まれは全員読むといい。

ひねもすのたり日記 第1集 (ビッグコミックススペシャル)

-この漫画を読め!

Copyright© プロ野球2018 キモノの国のエクソダス , 2018 All Rights Reserved Powered by STINGER.