今日もよい最終回でした

出たな、改定ヒグマニア!
マスターピース・オブ・オールナイトライブ1 特攻取材 (BEAM COMIX)
マスターピース・オブ・オールナイトライブ1 特攻取材 (BEAM COMIX) 鈴木 みそ
N嬢から先週いただいた鈴木みそさん傑作集(ということでよいかしら?)。2000年前後に描かれた取材ものをまとめたこの短編集、本社屋建替え寸前の海洋堂取材編「海洋堂は儲かって大変なのか」、ブレイク直前のドン・キホーテを取材した「ドン・キホーテでALL RIGHT!」、出版業界の未来を暗示するような「本の墓場へいらっしゃい」、そしてそして、いわゆる「ゆとり世代」と揶揄される世代の出現を予感させる「ゲーム専門学校から見た風景」。
「ゲーム学校から・・」はすごいよ・・・すさまじいよ・・・。雑誌に掲載されたのは、2000年12月号。ゲーム専門学校の学習の程度がどんなもんか、現場の講師のインタビューをまじえて紐解いてゆくのだが、読んでいて慄然としました。愕然とさせる内容はにわかには信じがたいようなものばかりなので、まとめの台詞を引用させてもらいます。
家庭や社会も閉塞してきたというのもあるでしょう
どこに行っても逃げ場はないような感覚
どんどん増殖していますよね
定職を持たないフリーターが
責任を持つ仕事はめんどくさい
会社に入ったところでいつつぶれるかわからない
自分に何ができるのかわからない
そんな漠然とした不安感がどんよりと支配してる
今はまだ日本はお金持ちの国ですけど
この先はかなりアヤシイと思います
まるでケータイ持った白アリが
目的もなく長話しながら日本という国の土台を食いつぶしているような

ニートという言葉は厚生労働省が2004年に発表した労働白書の中で国内でははじめて公式に使われたようですが、上の台詞からはその言葉が生まれる前のなんとも位置付けしがたい人々の影のようなものが感じられます。でも最後の2行は、
まるでPC持った白アリが
目的もなくブログしながら日本という国の土台を食いつぶしているような

でもいいし、
まるでPC持った白アリが
目的もなくmixiしながら日本という国の土台を食いつぶしているような

とも置き換えられるかもしれません(ブログやmixiが悪いといってるのではありませんよ、携帯もPCも所詮道具なのですから)。考えることができない世代が増えてきたといいますが、それは本当に上で描かれているような世代だけなんでしょうか? 昭和50年代に小学校生活をスタートさせた私たちはどうなんでしょうか? そしてそんな大人とも子どもとも区別しにくい世代と、社会はどう折り合いをつけていくのでしょうか。こういう影のような存在の薄い世代でありながら、片一方では若くして社会的に大成功を収める人たちも輩出しているわけです。なんでしょう、この二極化は。まったくもって足元がぞわぞわしてくる話です。↓同じく2001年前後に書かれたエッセイをまとめたこちらの本とあわせて是非。
置き去りにされる人びと―すべての男は消耗品である。〈Vol.7〉
置き去りにされる人びと―すべての男は消耗品である。〈Vol.7〉 村上 龍

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