山野井夫妻のギャチュンカン-『凍』 沢木耕太郎

凍
 沢木耕太郎
世界的に有名なクライマー山野井泰史・妙子夫妻の、ギャチュンカン登頂と遭難、そしてそこからの壮絶な生還を描いた沢木耕太郎によるドキュメント。ギャチュンカンは、標高7,952mのネパール・チベット国境、エベレストとチョ・オユーの間にある山。中国名は格仲康峰・百谷雪嶺。
で、ですね、山野井夫妻のことを知ったのは、NHKスペシャルの「夫婦で挑んだ 白夜の大岩壁」という番組。その番組を見た印象は、まじめそうな地味な奥さんだなー、子どもみたいな顔した旦那さんだなー、このカメラワークは一体なにごと?、という程度のものでした。番組の中では、「凍傷で泰史さんは10本、妙子さんは18本もの手足の指を失い」と紹介されていたのに、その指を失っていたにも係わらず、垂直に切り立った岩肌を登っていくということのすさまじさに全然思いが至らなかった。
この本は、その「白夜の」の5年前、「夫婦あわせて指を28本失った」ギャチュンカンでの話を描いているのです。足の先がむずかゆくなるような、高所恐怖症の人ならその情景を頭に描いただけでちびっちゃいそうな描写が続きます(さくまさんには読ませられない)。その生還のドキュメントもすごいのですが、妙子さんの生い立ちや人となりを読んで、なんて魅力的な女性なんだろうと何度も感じました。
多くの人に読んでもらいたいので、これ以上は紹介しませんが(というよりただ単にうまく伝えられない)、人生のすべてを賭けることができる山というものに出会い、その登頂を支えあう信頼のおけるパートナーに出会えた山野井泰史という男性がうらやましくなりました。
岳 (1) (ビッグコミックス)寝しなにデザートのつもりで「岳 (1) (ビッグコミックス)」を読んだのですが、うむ、日本のアルプスにはまだ「酸素」があるからいいじゃない!などと不謹慎なツッコミを入れてしまいました。
山野井通信 山野井さんからのメールと写真による日記
山野井日記 スポーツ用品メーカー提供のページ
ギャチュンカン遭難のあらましは山野井通信のこちらのページの中段に詳しく書いてあります。 

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