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あらすじはAmazonから。
新日本エンジニアリングの地球環境室長・松川冴子は、排出権市場開拓の命を受け、世界各地へと飛び回る。だがそこは国連、各国政府、企業、金融機関が群がり、温暖化ビジネスの利権を漁る戦場だった。一方、同社の次期社長の座を狙う専務の仙波義久は、収益目標達成のため粉飾決算に手を染めた。それを嗅ぎつけたニューヨークのカラ売り屋「パンゲア」の北川靖が、猛然と株を売り浴びせる――。
空気が金に化ける巨大利権「排出権」。
環境保護の美名の下に生まれた新しい国際ビジネスの実態を徹底解明した衝撃作!
主人公の松川さん(金沢出身)は男女雇用機会均等法の一期生かその前後で入社した設定。男ばかりの会社で出世競争から取り残され、あてがわれたのは海の物とも山の物ともつかない排出権市場の開拓。「排出権ってなんじゃらほい」な状況からスタートし、東南アジア・中国をかけまわり現地スタッフと一緒に出張・中国人とのわやくちゃな会議・みんなで反省会のごはん会・・・、そんなことを繰り返しつつも、原油高やなにやらが時代が彼女を後押しし、立派な排出権商人になるまでの物語。
「『不都合な真実』の不都合な真実」がなんとなく解き明かされつつある時代に読むと、これまたホニャララな気分に。ちょっとだけのんびりした感じの、人のよさそうな総合職のおねーさんが、うっかりサクセスストーリーを歩むはめになる感じがおもしろい。排出権にともなう諸々のから騒ぎを振り返りつつ読むと吉?!
タイトルだけみると、深田祐介さんの不朽の名作○○商人シリーズを思い出すね。小学校でアレ読んで、オレは商社マンになって、セカイを股にかけてやる!とか言ってたクロ歴史
ひよこさんなら、商社マンになっても成功したと思うよ! 深田祐介さんの小説は読んだことはないですが、この時代は海外に行くだけでも本当に大事だったはず。ひよこさんがうっかりクロ歴史をこしらえてもいたし方ありませんわ!
世界を舞台に働く人って、ほんとタフなんだなーと思いました。中国で強いお酒飲みながら商談するとか、肝臓壊しちゃうよねぇ。
私が社会人になった20年前、働く女性を主人公にした小説といえば、秘書とか広報室で颯爽と美しく仕事する「才色兼備w」のおねーさま(たいてい上司と不倫している。参考文献「ホテルウーマン」「女性広報主任」「メトレス(愛人)」あ、ずいぶん偏ってるかな?)か、アシスタント業務について会社や仕事、時分の生き方にまで満足できないでいる女性たち(篠田節子さんとか群よう子さんなどのもの)を取り上げたものが中心だったように感じます。コミックもおおよそそんな感じ。
それが最近、ようやっと「普通に働く」女性が主人公になってきたなあ、と、ちょっと嬉しい!
サラリーマン金太郎や島耕作のような女性が出てくるものも読んでみたいものです。
筆者の黒木さんは1961年生まれなので、そういう女性たちと一緒に仕事してきた経験があるんでしょうね。「普通に働く」女性を教えたり、一緒に働いたり。
この冴子さんも、いろいろもがきながら、「ここまでうっかりきちゃったんだよなぁ」という感じが、ゆるーりと伝わってきていいです。まわりがすんごい利権ラブ☆なのに、彼女自身はがっつかずおっとりしていて。
ふなきさん、読むと意外としっくりなじめるかもよ。
※島耕作に出てくる女性も「才色兼備で都合がいい」っていう人多いわよねー。キッキッ!