山崎豊子『沈まぬ太陽』/大河ドラマ『天地人』

正月かけて山崎豊子「沈まぬ太陽」読了。
登場人物のたいていの絵柄は、新井英樹の「ワールドイズマイン」登場人物で補いました。堂本さんはジョージ・クリーナーよね! 実写化するにあたって主人公の恩地さんは江口洋介か佐藤浩一あたりが妥当なんじゃろうか、どうじゃろうか、いやしかし、これだけの物語を映画化するにあたっては上の二人では若干軽くないじゃろうか、などと思っていたら、角川ヘラルド映画が渡辺謙で映画化するとかしないとか! そうだわ、日本には渡辺謙がいたわ!!! 
大変寝つきの悪く、夢見も悪く、寝覚めもすっきりしない、社会派小説でございましたことよ。
    
戦前派・戦中派の、いい方向にも悪い方向にも、なんとパワフルなことか! 戦後復興からの途上にいまだあり、甘い汁も苦い汁もふんだんにばらまかれていた昭和の時代の物語。読んでて反吐が出る思いがしながらも、親方日の丸という言葉の意味をよく理解できた。御巣鷹山事故の犠牲者の遺体検視のくだりで初めて知った群馬県医師会・歯科医師会・看護師さんたちの献身的な努力で涙を流し、会長退任挨拶では労働組合の同じ立場の人間になったように鼻の奥がツンとなる。
しかし航空会社でこの騒ぎなんだから、電電公社と国鉄のときはどうだったんだろう? 私と同年代のサラルィーマンの皆様も、政府とやりあっていなければいけない立場にいたら、この物語に出てくる行天のようなことをしていらっしゃるのでしょうか? どうなんでしょうか? 山崎豊子さんもあとがきでこんなことを書いています。
嘗て小説『不毛地帯』で、経済の繁栄と共に、良心を失いつつある日本の精神的不毛をテーマにしたが、それから二十年経った今、何ら変わってないことに不気味な恐ろしさを覚える。
表紙写真は動物写真の第一人者・岩合光昭、最近は猫にゃーんとかわわわーんとかばかりだけれども、この表紙写真はすごくいいです。まだ読んでいらっしゃらない方いらしたらぜひどうぞ。中曽根内閣以降の顔ぶれをぼんやりと覚えていらっしゃる方、“実体社会”の仕組みってのはこういうことなんだ、と。そして読み終わってから、WIKIPEDIAなどでこの物語の背景をぜひ調べてみてください。主人公のモデルとなった方の講演テキストが載っているサイトも見つかると思います。
山崎豊子は食わず嫌いだったのですが、男らしい簡潔な文章に、女性ならではの視点から見た表現がさらりと載っていてとても読みやすく、お元気なうちにいろいろと読んでみたい気持ちになりました。
大河ドラマの「天地人」見たよ。笹野さんの秀吉で腰を抜かしました。御年60歳の秀吉・・・。えぇ、結構似合ってはいましたけれども。吉川晃司の信長も腰を抜かしましたが、似合っていましたね。それにつけても阿部寛は、まるで原哲夫の漫画から出てきたかのような格好良さでしたわね。脚本は『どんど晴れ』のあの方ですが、出演者を見るとどんど晴れ的キャスティングがちらりほらりと・・・。あーなんか思い出してきたわ、いろいろと。
松田龍平の伊達政宗(ぼんてんまる)が今から楽しみです。
うーなんでか三浦綾子の塩狩峠が読みたくなってきたー。あの鉄道事故が起きたのは、1909年(明治42年)2月28日で、今年は百周年にあたるのだそうです。よい本は、読むたびに新しい発見があるので、泥流地帯とあわせて読もうと思っております。

3 COMMENTS

カヲル

チラ見してたからどっちがどっちか
判らなかったけど、北村一樹の方なんだ。。
妻夫木君にした方がよかったと思うけど
年齢的にあわなかったかね。

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