今日の日経オンライン 伊那食品工業さんの話

「会社の目的は売上高や利益を伸ばすことではなく、社員を幸せにしたり、世の中をよくしたりすること。売上高や利益はそのための手段でしかない。商品やサービスを通して社会に貢献していくのはもちろん重要だよ。でも、それは企業の役割の1つであって、すべてではない。会社はもっと露骨に人の幸せを考えなきゃいけない」
こういった社員還元は金額の多寡ではない。オフィス環境がよくなった。駐車場が広くなった。食堂がきれいになった――。どんな些細なことでも、「前よりよくなった」「幸せになった」と従業員が感じられれば、それがモチベーション向上につながるのではないか。「売り上げが増えることが成長ではない。『何かがよくなった』と従業員が実感できる。それが、会社の成長だとオレは思う」。塚越会長もこう語る。
この新入社員研修の初日、塚越会長は必ず、「100年カレンダー」の前に連れていく。100年の未来が書かれているカレンダーの前に立たせ、“自分の命日”を入れさせるのだ。時間は誰にでも等しく与えられている。そして、どんな人間にも死が訪れる。残された時間をどう使うか。その意味を考えさせるためだ。
「立派な社会人であれ」。塚越会長は事あるごとに社員に語る。立派な社会人とは、人に迷惑をかけない人間のこと。会長自身、会社や社員、取引先に迷惑をかけないように生きてきた。その教えが隅々まで浸透しているからだろうか。同社の社員は「立派な社会人」を実践している。
「適正な成長は業界によって違う。創業間もないベンチャー企業は若木同様、成長率が高くて当たり前。ただ、食品業界を考えれば、人口減少と高齢化によって確実に市場は減少していく。これ以上、胃袋は増えないんだ。その中で、急成長を目指したらどこかに無理が出るよな、普通は」
「今話したのは食品業界であって、ほかの業界は状況が違うよ。海外市場を目指すという選択肢もある。でも、地球が有限であることを考えると、どこかで限界が来るのではないかな。みんな何となく5%成長、10%成長と言っているけど、自分の企業や業界に合った成長率を考えることが必要。それを考えるのが経営者の役割だと思う」

社員の幸せを露骨に追求する会社
年功序列、終身雇用、低成長――伊那食品工業が問う「会社とは何か」

伊那食品工業は「寒天」の会社。『国内シェアは約80%、世界シェアでも15%を占める寒天のガリバー企業である』こちらの会社さんの家庭用食品では「かんてんぱぱ」というお湯を入れて冷やすだけでできるゼリーがよく知られているのですが、これは山梨・長野でしか売られていないらしくて、他県の方はご存知ないでしょう。私の実家での夏場のおやつは週に一回コレが出ましたよ、えぇ。
伊那食品工業社長のできた人物の話は枚挙に暇がなく、地元への還元も数多くされていると聞いています。フランスの「美しい村」運動を真似た、「NPO法人 日本で最も美しい村」連合の発足から力を注いでいたと地元紙で読んだことがあります。この企業サポーターに北海道のカルビーさんがいるのも、なんとなくうなずける話。
あまりにも地味な(失礼!)企業だったので、どのような会社だったのかよく知らなかったのですが、一言一言実感のこもったいいことをいうえらい経営者だよなぁ。
なんかこういうのを見ると、仕事して、よく生きるっていったいなんじゃろうか、経営者という人間は何をすべき存在なのかって考えちゃうよなー。
おまけ、今日の村上龍さん。
ひょっとして、現代では「無力感にさいなまれている」若者の多くは、抵抗・反抗して何とか現実を変える、という概念を持てないのではないかと思うようになりました。デモが議事堂を取り囲んで内閣が総辞職するとか、学生が決起して講堂を占拠し大学受験が中止になるとか、そういったことに遭遇していない世代には、自ら現実を変えることができる、変化を作り出すことができるということが、概念として存在しないのではないかと思います。
それはあるかもー。すごく飛躍してますが、桜がさいてわぁすてきとか、メールがこなくてわぁさみしいとか、そんな唄ばっか歌ったり聞いてたりしたら、そうなっちゃうかもYO☆ 
ロック不要の世の中になっちゃったのかもー。「てめぇのロックは、校舎のガラスを割りまくる程度かよ、あぁん?」と、先日の亀が胸倉つかんでくるような。

8 COMMENTS

よっしぃ

「かんてんぱぱ」は最近いろいろな所で見かけますよ~。
実家の群馬の母が頼んでいた生協のカタログ等、通販系にも力を入れている様子ですが、都内の成城石井でも販売ラインナップに入っていました。
「パパでも作れるくらい簡単な寒天」というネーミングの由来も含めて素敵な会社だと思います。

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スガ

群馬まで!!! 成城石井でも!
なんかネットで結構売ってるみたいですねー。
なんつーか、子どもの頃慣れ親しんだ素朴な味の食品メーカーさんの記事を、大人になってから日経ビジネスで読む日がくるとは思わなかったです。

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ようこ

私もかんてんパパはじめ、スープや小豆など、ネットでよく買いました(最近、しばらく買っていませんが)。
知ったきっかけは、ベターホームというお料理教室で、ここの商品を使っていたから。えらくサービスがよく、また味も確かなので、しばらく頻繁に購入していたのです。
根気よくシーズンごとのカタログを送ってくれるので、また買おうかしら・・・と思っていたところです。
何年か前に、日経新聞の夕刊で社長のインタビューが連載されていましたね。それを読んで、その理念にちょっと感動したことを思い出しました。

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さよ

何日か前のNHK 7時台のニュースでも会社訪問&インタビューの様子がながれていましたね。それまでながら見していたのですが、「伊那食品」と聞こえたとたんに、マグカップを手に、テレビ前のソファに移動して見入ってしまいました。
寒天ぱぱは、我が家でも子供時代からおなじみですv 冷蔵庫が他の食べ物でいっぱいになっているときでも、常温で固まり、ちょっと冷やすだけでOKな寒天は強い味方です。

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clove

かんてんぱぱ、意外に九州でも販売してます。(スーパーで普通に。)
学生の頃、ババロリアにはまって妹とよく食べてましたよ。
こんなステキな会社で作られていたとは!

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スガ

わっ、なんか異様な盛り上がりの伊那食品工業さん! この会社のメジャー度を知らぬのは地元出身の私のみ!!
本当にステキな会社さんで、あの会社のあるあたりは風景も大変素晴らしいので、休日にはみなさん、ETC1000円をご活用いただき、かんてんパパガーデンにお出かけください。
http://www.kantenpp.co.jp/garden/
どうぞよろしく!
善光寺の近くにもかんてんパパさんが出してるアンテナショップがあったような・・・。
あ、これだ、ぱてぃお大門。
http://patio-daimon.com/shop/
ここの建物もステキですよー。

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初めまして♪風の音と申します。(*^_^*)

会社の朝礼で聞いた話が気になり。
検索してこちらのページにたどり着きました。
かんてんぱぱ知ってます。
よく、子供が小さい時のおやつに芋羊羮を作るため使っていました。
こんな、立派な考え方を持った社長さんの会社だったんですね。
100年カレンダーに命日を書く。
砂時計のように減っていく残された時間の中覚悟が出来ますよね。
今。何をすべきか?
かなり深いテーマですね。
使途不明時間をたいせつに使う努力をしたいと反省しました。

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スガ

寒天ぱぱさんの記事はとても読みでがあったので、是非日経ビジネスオンラインの記事をお読みになってください。いろいろと考えさせられることがあると思います。

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