はやぶさにおかえりなさいと梅雨の月/出版業界の未来

満身創痍「はやぶさ」の帰還確定…小惑星の砂期待
 宇宙航空研究開発機構は5日、小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還が確定したと発表した。
 軌道調整のエンジン噴射がほぼ完了した。燃料漏れや通信途絶、エンジン故障など度重なるトラブルを乗り越え、60億キロ・メートルを旅してきた探査機は、日本時間13日午後11時ごろ、大気圏へ突入し、試料カプセルがオーストラリアのウーメラ砂漠に落下する。
 月より遠い天体に着陸し、地球へ戻るのは世界初。カプセルには、小惑星イトカワの砂などが入っている可能性があり、太陽系初期の様子を知る貴重な手がかりとして期待されている。
 はやぶさは、3日午前から50時間連続して噴射し、ウーメラ砂漠へ向かう軌道に入った。地球からの距離は現在約360万キロ。宇宙機構は、微修正の最終噴射を9日に行い、2000平方キロ・メートルの落下予定範囲へと正確に導く。
 カプセルは、パラシュートを開いて砂漠に着陸する。カプセルが出す電波を頼りに回収隊が捜索する。はやぶさ本体は、地球まで4万キロ・メートルのところでカプセルを分離した後、自らも大気圏へ突入し、燃え尽きる。
 はやぶさは2003年5月に地球を出発、05年11月にイトカワに着陸し、砂などの採取を試みた。エンジンの大半が故障し、「満身創痍(そうい)」の状態で飛行を続けている。
(2010年6月6日02時33分 読売新聞)

自らも大気圏へ突入し、燃え尽きる。、あたしゃ、この「突入し、」の句読点「、」に記者さんの愛惜の情を感じずにいられないんじゃよ。
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【コミックビーム 岩井っスの空間/神楽坂での会話。5:22 am 】
今日、神楽坂の製版所で、担当のAさんと少し話した。
この製版所は、かつては写植と製版をメインにやっていて、大手の週刊漫画誌なども手がけていた。
ビームも、ずっとお世話になっている。
漫画制作の現場は、こうした典型的な町工場的下請け会社によって、支えられてきたのだ。
(竹熊さんと相原さんの『サル漫』に、「明日は娘の結婚式なんだよーっ!」と叫びながら朝方まで仕事させられる下請けの製版屋さんが出てきますが、アレ、完全に「リアル」ですよ、かつては。ビームも、ずいぶんAさん以下この製版所のかたがたには、ご迷惑をおかけしています)
数年前、その大口の週刊誌が休刊となり、かなり経営的に打撃を受けて、さらにちょうど1年ほど前、急激な業界のデジタル化のため、写植部門を完全に閉じた。ビームも、そのタイミングで、原稿処理の電子化をしたワケだ。
だが、配信や電子化の波は、我々の想像を遙かに超えて加速度的に進み、デジタルの文字データはめ込みや原稿スキャニングなどの、「写植」や「製版」に対応するはずだった電子システムは、印刷所など大手が安価に引き受けるようになって、版元もコストカットのため、大手印刷所の小回りのきかなさを飲み込む方向性になっている。
結果、この製版所は、Aさんが「…もうどんだけ営業回っても、仕事が回ってきません」とコボすような状態になっている。
以前は、土日も夜遅くまでフル稼働していた機械も、電気代など維持費がキツいとのことで、今では土曜日の昼にはスイッチを落としてしまうという。
さらに、工場全体の基礎電気使用量を少なく設定しなおしたり、以前は使っていた軽自動車をできる限り使わないでガソリン代を節約したり、ギリギリの経営努力を続けているとのことだ。

たぬきちさんの未来も大変だけど、それを支えていた人たちはもっと苛烈な現実に立ち向かっている。牛込神楽坂に、漫画週刊誌のポスターを、その発売にあわせて毎回貼りだしていた印刷屋さんがあったけれど、まさかそこじゃないよな、と思いつつこの記事を読んだ。その週刊誌は数年前に休刊となりましたが・・。

4 COMMENTS

clove

はやぶさ帰還ブログの、関係者からのメッセージ(プロジェクトマネージャ川口 淳一郎さんの「はやぶさ」、そうまでして君は。)はこれまた愛が切ないんですよう。
プロジェクトの皆さんははやぶさの魂を感じてらっしゃるんだなと。
思わず仕事中に涙…。

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スガ

なんでこんなにすごいプロジェクトなのに、すごいすごいって報道が少ないんですかね? 月に行くのもすごいけど、宇宙にステーションを設置するのもすごいけど、あんな遠くの惑星まで行って任務を果たして、また地球に成果物を運んで帰ってくるなんて、ものすっごいプロジェクトだと思うんですけど。
あぁ、朝から猫のうん●っちがくちゃい・・・

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clove

そうですよね!
私も最近ITmediaの記事で概要を知っただけでものすごい胸をわしづかみにされた口ですが、こんなにすごいプロジェクトをできればもっとずっとフォローしていたかった気持ちでいっぱいです。
はやぶさは7年も宇宙にいたのに!

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スガ

今日、新聞ではやぶさ君物語の概要がちろっと紹介されていました。帰還するにあたって
NASAの人たちが「はやぶさ君プロジェクトに関われて誇りに思う」というコメントを出したそうなんですが、NASAの方たちが、遠慮がちに、しかし誇らしげにそう語るわけですよ! もっとたくさんの人とわかちあいたいですにゃー。
全然関係ないけど、今回の鳩山辞任は、『普天間問題も口蹄疫問題ももー全部ご破算にして!』辞任だとおもっちょります。

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