立冬に中間選挙の終わりをり／町山智浩「知ってても偉くないUSA語録」

Kindle で。概要はamazonの商品ページから。
「共和党の大統領候補だったロムニーは、20億ドルを注ぎ込んだ大統領選をたった2つの失言でしくじりました」（町山さん）――まさに言葉を制す者はアメリカを制す。本書は、カリフォルニア州在住の著者が、かの国で流行っている新語・名言・迷言をリアルタイムレポート。「レッドネック」「メサイヤ」「パンプ&ダンプ」「デトロピア」「プライム・エア」等々、現代アメリカをシャープに切り取る言葉が満載。週刊文春連載コラムの単行本第２弾です。

写真にとんでもないものが映り込む「Photobomb」、 学校や職場ではやっぱりおおっぴらに口には出せないよねの「Trophy Wife」、おっさんがえっらそうに講釈を垂れることを「Mansplain」、あっという間に生まれて消えていった「YOLO」、選挙では大事な土地だけどやっぱり思わず口に出さずにはいられない「Why is Nebraska so boring」・・・などなど。

ちょうど中間選挙が終わった日に読み終えた。2012年8月から2014年3月までの連載分が収録されていて、後半映画の話題も登場してきて、『アメリカン・ハッスル』、おとっあぁんロードムービーの『ネブラスカ』、『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』、『12 years slave』など今年見た作品の復習もできてお買い得！　『アメリカン・ハッスル』でエイミー・アダムスが演じた女性は、実際はこの詐欺事件を苦にして自殺しちゃったのか、とガクガクしたり。

町山さんは「この原稿料の三割が税金として取られるんだよー」と書いてたけど、うわぁアメリカ生きづらい・・・それは暮らしにくい、「そのくせ富裕層は超優遇されてるんだぜ！」とロムニーの失言とともに紹介してくれる。三割・・・でかいねぇ・・・時給1000円のバイトで300円持っていかれるなんて・・・。

アメリカでも流行ってるキラキラネームの章とかも読んでて苦笑い。父親に妊娠させられ、母親からは虐待をうけ、学校にも通わせてもらえないから読み書きもできない16歳のプレシャスと名付けられた太った少女の映画「プレシャス」も引き合いに出されるのだけど、「金持ちほど単純な名前をつけてる」という明快な帰結。ですよねぇ・・・、そうですよねぇ。アメリカでは名前から大体の生涯年収が予測できるそうですよ・・・恐ろしい・・・ひぃぃぃ、恐ろしい！！！
このエピソードのオチを町山さんはこう結んでます。

名前の文字数と収入の反比例関係は日本なら、名前の漢字の画数に置き換えられるんじゃないか。

あぁーあるかも。

「アメリカひでぇ」って話から、「やっぱりアメリカ最高、この国で暮らしててよかった」という話題まで、ちょっと振れ幅大きめのアメリカ合衆国の今が楽しめる内容でした。次はこれを読むのよ。

小学館のファッション誌「Precious (プレシャス)」の巻頭にある「世界の働く女性たち（こういうタイトルではないです、うろ覚え意訳です）」記事は毎回楽しみにしてましてよ。世界から日本から４人の女性のインタビューを交えた1ページの短い記事なの。農場主、旅館のおかみ、国連職員、事業家、実業家、フリーランス、画廊オーナー、キュレーター、料理人・・・様々な職業の女性が紹介されてて、うぉー世の中にはバナー画像作る以外にこんなに人生の選択肢があったのかーと毎回打ち震えながら読んでます。バナー作ってる場合じゃなかったのかなー、うん。。

この雑誌は「ぶっ高くて買えないよ！」な商品しか掲載されていませんが、エレガントでありつつもたいそう実用的で、毎月「本当に高いものしか紹介してないな、おい！」と叫びながら楽しみに読んでいるのですが、いかんせん男の影が無さ過ぎるのです・・・怖いくらい男の影がない。夫もパートナーも、ピザに擬態するふっさり猫の姿もほとんど見ない。「えぇ、忙しいように見えるかもしれませんけど、このくらいのサイズの手のかかる犬の面倒くらいは見られるのよ、うふふ」という象徴のように大型犬がたまに登場するくらい。たまに男性が登場するけど、配偶者にも愛人にも恋人にも見えない人形みたいなハンサムな妙齢の外国人男性なので現実味が薄い。いやいやいや、そんなに女性一人で強く生こうとしなくてもいいのでは、って思うんだけど、『人生の主役は私、あとは全部オマケ』ってことなのか？　まぁそれはそれで潔くていいのか。