町田康『猫にかまけて』


たまには気楽な猫エッセイでも読んでみるかのぅ、と思って町田康の「猫にかまけて」。FRAU で連載していたものを2007年に単行本でまとめたもの。昨年末に文庫版が出たようです。
町田康が猫と一緒に暮らしているのは知ってましたが、想像を超える多頭飼いのおうちでびっくり。この本のあとがきには「九頭います」とのこと。保護団体から「あのぅ、この子も・・・」とお願いされているうちに断れず増えに増えてしまったらしい。確か、スタンダードプードルさん2頭、トイプードル1頭もいると聞いてますが、大変な動物一家さんですね。都内で暮らしていたけど、手狭になったため、現在は伊豆で暮らしているようです。
一番仲の良い猫「ゲンゾー」君を失うくだりが本の最後にやってくる。後に筆者たちは、その原因は飼い主側にあったという判断を下すのだが、さぞかし辛かったことだろう。その前後のくだりは、小さな生き物と一緒に暮らしている人間にとって涙流さずにはいられない。
こんなにフサフサで毛艶がよくて、美人で、美人で、超美人で、ガラス戸の向こう側から「たすけてー、ウカー、私、そっちにいけないのー」と小芝居すると「大変!大変!私にはドアが開けられないの!カシャカシャやることしかできないのー!」と心配してくれる頭のよいウカちゃんだって、多分、私より、なにごともなければ、たぶん私より先にこの世から去る。そのときのことを考えるとどうなるのかと思ってしまう。落ち着いて葬式が出せるのだろうか、ちゃんと見送ることができるのか、狼狽しちゃってなにもできなくなるんじゃないだろうか。一週間ほど仕事しなくなるな、間違いなく仕事しないな、あ、でも旅行のたびに猫の心配しなくなくて済むよね、あ、でもそういう問題じゃないでしょう、そういう問題じゃないでしょう!!
で、そんな町田康のインタビューがあったのでこちらに載せておきます。
作家、ミュージシャン・町田康 × 10匹の猫 - ともに長生きすること
http://ilove.cat/ja/2720
—猫のエッセイを書くきっかけは?
「最初は猫雑誌の方から、“猫との生活を面白おかしく書いてください”と依頼されたんです。普通のエッセイを書くときはフィクションを入れて書くのですが、猫は猫で人格を持っているので、フィクションではなく実際に起きたことを書いていました。だから、猫が病気になったり亡くなったりした話も書いていたんです。ところが、編集者から“読者からクレームの手紙がきたので、猫が病気になったり死んだりする暗い話は書かないでくれ”と言われて。その号で連載を降りました。そんなバカな話はないですよね。人間だって死ぬわけだし、まして犬や猫を飼うということは病気や死を避けては通れない。それを見たくないというのはおかしいと思ったんです。でも本になってからは、読者の方からも、自分の飼っている猫をきちんと飼わなければと思いましたという好意的な反応になりました」

バカかー!!!! そういう読者が気象庁に「大雪が降らなかったじゃないか!」と苦情の電話を入れてるんですね! その他、そんなアホな事柄を列挙したいことがあるけど、我慢するわ! 不特定多数の人に向けておくられていることにいちいちクレームつけるのってなんだかなと思うの。あぁ世知辛い世知辛い。
しかしかつてのパンク歌手も、「猫のために死ねない、健康であらねばならない」と覚悟されているわけで、うふふ、人生って面白いわね。

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