映画「プリンセス・トヨトミ」


原作読みおわったばかりで、物語の隅々までまだ記憶にのこっている私はすごく楽しめたけど、知らない人には「いっそがしい映画だなー」って感じだったんじゃないの? 原作の最後半、旭が「大阪の女は・・・」という長く話すくだりを、和久井映見の「大阪の男って!」の一言10文字に託しちゃったり、そういうたたみ方や、見ている人に「察して!」「さっきの伏線、気がついてるよね?」という箇所が多かったけど、まぁ原作とは違うというお話ということで。原作がただでさえ盛りだくさんだったので、あれを2時間の中によくまとめたのではないでしょうか。
そうはいっても、堤真一はちょうどよく脂も乗ってるし、岡田なんとかさんは顔がきれいだし、綾瀬はるかちゃんはもりもり食べて、走るたびにたゆーんたゆーんっていい音が聞こえてくるし、沢木ルカちゃんは若い頃の内田有紀を美人にしたみたいでかわいいし、甲本雅裕さんがでてるし、狙ったようにはんにゃの金田くんもチョイ役で、狙ったように笹野高史も出ているし、真田大輔君役は、あれれ、うぇるかめーの弟君? あらやだあんまり大人になってないわ☆、な森永悠希さん。
大阪にゆかりがある人は「あーあの人、関西テレビの!」みたいな楽しみがあるのではないでしょうか。自分が好きな街や場所が、映画のスクリーンの中にあるってだけでいいよね。うむ。原作、おもしろかったなー。
映画観ている最中、破壊屋さんのこの文章が頭に何度もよぎって仕方なかった。


登場人物が知らないことを観客が知っている。当たり前のテクニックだ。
『ダイ・ハード』には、主人公が途中で出会う気弱な男が実はテロリストのボスだというシーンがある。気弱な男の正体を観客は知っているが主人公は知らない。だからこそ観客は気弱な男との会話シーンを見ていると凄まじく緊張するし、その後の「主人公は気弱な男の正体に感づいていた」というシーンが活きて来る。


だがバカが脚本を書くと、観客しか知らないことを何故か登場人物が知っているという現象が起きる。リュック・ベッソンが脚本を書いた『トランスポーター』で、ヒロインが誘拐された場所を主人公が知っている現象などがそれだ。
しかし究極のバカが脚本を書くと、登場人物も観客も情報を知らないまま話が進むのだ!この現象が起きると観客が置き去りになるのだが『少林少女』がそれをやってしまっている。



帰りの南北線の中、隣に座った若い男の子と女の子の話が聞いていて切なかった。
「ジェットコースターとか乗る意味わかんないし」
「映画とかも見る意味わかんないし」
意味なんてないことのが多いの!!!意味があったら猫なんて飼わないの!!
見る意味があって映画なんて見ないのよ! 多分ね、少なくとも私はね!
なーんてね。
その彼女が、「あー、今、先輩に貸してもらったこの本、本屋大賞で一位だったらしいんだけど、すごく浅くてつまんない」と言ってた。
いや、あんた、その感性があるなら、実はこっそり映画見てるでしょ☆ なーんてね。

3 COMMENTS

khaki

観るかどうか迷い中です。
てっきり綾瀬はるかがゲンズブールと思ってましたが・・・
ところで「本屋大賞」については、その若い娘さんと同意見です。

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ひよこたいちょう

最近はなんでもラノベっぽいものが売れていることになってますね。
本当に売れているのか判らないけど、もしかするとこういうアホっぽいものが売れるんじゃね?って代理店が考えているものしか、店頭においてないから売れていることになっているっていうような気がします

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スガ

本屋大賞、どうなんでしょうねぇ。。今回のはお金で押し上げたのかなーと思いますけど。。
私も綾瀬はるかがゲンズブールかと思ってました。原作読んだ方は映像化されたものをセットで楽しむのがよいと思いますよ、お時間あるならぜひ!

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