母さんが丈夫な体に産んでくれ/9泊10日手術入院ツアーの巻 その1

開腹手術受けてきました、入院しました、退院しました。婦人科で悪いもの取り出してきました、その重さは2700g、なんとまぁ新生児一人分、ウカちゃん一匹分の重さです。退院前に先生にその写真を見せてもらいましたが、人の貴重な女性ホルモンをバクバクバクバク食べやがって、ピンクにつやつやしやがってー、大変色づきの良い物体でした。大きめの桃のような肉の塊でございました。多発性子宮筋腫というやつで、巨大な筋腫をお腹の中に囲っておりました。

 

経緯

昨年の夏、某電車の中でサマードレスを着て吊り革に捕まっていたら、観光旅行中の中国人客にしつこく席を譲られた。「いやいやいや、観光客であるあなたたちが座ってなさいよー」と丁重に断ったんだけど、あとでどうしてあんなににこやかに席を譲られたのかと考えたら、胸のところで切り替えたそのドレスがマタニティドレスに見えたんですな、そして私のことを「高齢出産の星」のように彼らの目に写ったんでしょうな。

ちなみに私の体型は、横に太ってはいないし、年齢相応で体重も標準値です。ただ、お腹の部分だけが前に異常に突き出ていて(それが今回取り出したものなんですが)、横から見ると男児を妊娠しているお母さんみたいなシルエットになっています。年に一度の健康診断で「子宮筋腫があるね」とは言われていましたが、「別にいますぐどうこするものもでないし」ということで気にもせずにしておりました。着物の帯を締めてもお腹のところだけ突き出て前身頃が大きなシワができ、着物を着るのも億劫に。着るものはだいたいワンピース。スカートを履くとファスナーが止まらず、これは加齢による脂肪なのかとずっと思っておりました、うん、違うね、それは筋腫だったんですよ、奥様。

夏の終わりに川島なお美さんや黒木奈々さんの訃報や北斗晶さんの癌のニュースが続き、女性の病気も怖いものなんだなと急に恐ろしくなり、近所の婦人科を予約。女医が見てくれるA医院は2週間先でないと予約に空きがなく、所謂街のレディースクリニックBですぐ予約が取れたのでそちらに行ってみた。女性の名前が院長の欄に記されたその病院、診察室に入ってみたら赤ひげ先生みたいな男性の先生で「うわーん」と思ったけど、素直に内診してもらいました。

「うわー、大きいねぇ・・・・エコーに映らないよ?」とのこと、「MRI撮って画像診断したあと、大きな病院で取ってもらったほうがいいよ。この辺なら女子医大か飯田橋の厚生年金病院になるね。取っておいても小さくなる可能性は少ないし、悪いものだったらおおごとだよ」と。筋腫のことは気になっていたけど、あと十年もすれば閉経になり自然に小さくなるものだと思っていた私でしたが、医師の「今年見た筋腫で一番大きいねぇー」の一言で、これは思っているより大変なことなのかとようやく気がつきました。

翌週前半に画像診断を予約して人生初MRI、初SIEMENS! その日の結果をその週の後半にレディースクリニックにて聞き、「うん、取りましょう。取らないと」。子宮筋腫になった人のお話を聞くと、生理痛がひどい、貧血になる、大量出血する、生理の周期が不規則だ、腰が痛い、とにかくだるい、などの症状が出るようなのですが、私は上背もあるためか、通常なら子宮を圧迫する位置にできる筋腫が臍の上のほうで成長しており、そのような症状が出ることもなく健康に過ごしてきておりました。「取らなくてもいいし、取ってもいいし」という状況なのではないかと今一度考え直したりもしましたが、ドクターが「体力あるうちに取って、残りの人生を怯えずに健康に過ごしたほうがいいよ」と後押ししてくれました。「女子医大か厚生年金か、どっちがいいか考えておいてね」ということでその週は終了。

そうこうしているうちにA医院の予約の日に。画像診断のMRIのフィルムを抱えて診察に。事情を話し、初診という枠ではなく、30分5000円(+税)のセカンド・オピニオンとしてお話を聞いてくれました。「これは・・・もう取っちゃったほうがいいですよ」とMRIの結果見ながら粛々と。その帰りにレディースクリニックBに電話して、「飯田橋の病院の紹介状書いてください」とお願いしました。紹介状を受け取って、飯田橋の旧厚生年金病院、現東京新宿メディカルセンターの初診の予約を取れたのがその週の金曜日でした。

東京新宿メディカルセンターは我が家から歩いて15分、飯田橋駅徒歩5分の大きめの病院。担当のドクターは女医さんで、ここにもやはりMRIを持っていき、それを眺めながら今後のお話を。というか「じゃ、いつ手術します?」といきなり日程の調整が。

「ちょっと大きいから手術の時に出血の心配がありますねー。輸血することになるかもしれませんけどどうします?」
ゆゆゆゆ輸血はいやです・・・
「自己貯血という方法がありますけど、ご自分の血を予め採っておくんです。それで対応しますか?」
はいはいはいはいはいぜひそれで。
「600ccから800ccほしいんだけど、一度に400ccしか採れないから、手術前に2回来れますか?」
きますきます、来ますとも!
「二週間間隔開けないといけないので、この日とこの日ね」
はいはいはい、その通りで!
「入院はだいたい1週間から10日くらいだと思います、お仕事とか大丈夫ですか?」」
だいじょうぶです、だいじょうぶです、なんとかなります。
「じゃ、次は手術前検診に来てくださいね、自己貯血はそのあとからです」

レディースクリニックB → MRI → A医院 → レディースクリニックB → 東京新宿メディカルセンターと、入院先が決まるまで3週間ほどかかったのだけど、最初から東京新宿メディカルセンターに行こうと思いつかなかったんですな、わたくしは。もともとそんなんに大事ではないと思っていて、「こんな筋腫、放置しておいて大丈夫ですよ、ガハハハ」と言われるものだと思っていたのですよ。そうしたら違ったんですな、全然違ったんですな、取っておいても仕方ないものだったし、子宮がんなどのリスクもないわけじゃなかったんですな。

 

手術前検診

これはもう体力測定的・健康診断的イベントで、レントゲン撮ったり、たっぷり採血したり。そのとき肺活量も測定し、年齢の平均の1.5倍の肺活量があると知りました。いやーしかしその肺活量、一体何に使えばいいのかしら。しかし、肺活量を測るなんていつ以来だ? 

採血は、HIVなどの検査もあったのですが、梅毒も項目に上がっていて驚きました。いまどき梅毒の人っているのかしらとネットを調べてみたら、若年層に結構増えているんですってね、怖いわー。ほんと怖いわー、気をつけてね。
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この時は知らなかったのですが、レントゲンには私の腹部は真っ白で筋腫しか写ってなかったそうです。一番大きなものは16×10×16cmの塊だったそうですわよ、恐ろしいわね、奥様! ちょっと大きめのアボガドとかカカオマスとかそんな感じのサイズだったらしいです。そりゃー高齢出産の星と間違われても仕方ない。

 

自己貯血

自己貯血というのは、予め採血しその結果、内容に問題ないことを確かめてから、診察室の寝台の上に横になり床下に置いた貯血の機械に自分の血を流しこむ作業です。しかしその貯血中、私の頭上で交わされる看護師さんたちの「これでいいんだっけ?」「このコックを開いて」「開きました」「これでいいんだっけ?」「いいんじゃないかな」という会話に毎回スリルを覚えました。イヤッホウ! いま、思えばあの貯血の操作をしてくれた男性のドクターが私の執刀医だったんですなな。
「すごくいい血管ですね、貯血のスピードが早いです」
あぁ、その血管の素晴らしい力も何に使えば良いのやら。

 

限度額適用認定証

「私、今度入院するんだー」と友人に話したところ、「高額医療限度額証というのがあってな、所属の保険団体からもらってから入院すると後が楽だよ」とアドバイスをもらいました。これは簡単にいうと、その月の医療費を一般世帯なら最大80,000円に抑えてくれるというもの。世帯所得によりその金額が違うのですよね。
私は11月下旬に入院し12月上旬に退院したわけですが、その場合、80,000円×2ヶ月分=16万円が支払う医療費の最大値となります(もちろん差額ベッドなどの実費は別)。11月1日に入院してその月のうちに退院すれば80,000円だけで済むというものです、あら、奥さま、お得じゃないの! 保険って手厚いなー、こりゃー消費税もあがるわけよ、と思いながら認定証をもらってきました。

などなど幾つかのステップを踏みながら、「うえーん、手術かー全身麻酔かーいやだなー怖いよぅ怖いよぅ」と思いながら、仕事したり貯血したり沖縄行ったりしてきていたのです。そして迫る入院の日!! 続きはその2で!

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