生真面目な父の

長野の実家で、ヘルシーでのんびりしたお正月を。
15年ほど前のこと、庭の黒松の種が庭下の石垣の脇へ落ち、その土と相性よかったのか、小さな芽を出した。松はどんなに小さくても芽からしていきなり松。小さいながらも威風堂々、若々しさの中にも貫禄のある幼き松を見るのが毎回の楽しみだった。昨年の夏には、とうとうガードレールより大きくなり、美しい深い緑をたたえていた。
松、好きなんですわ、あたし。
祖父が盆栽好きで、庭にはいろいろな植物が残されている。
丹精された黒松、いちいと雪柳、春を告げる梅、三色に咲く桃、裏庭を明るくする桜の木々、じゅうたんのように害草のように咲くすずらん、時間を置いて咲き誇る躑躅に皐、夏にはろうぜんかずら、門がわりの柿、ごった煮の庭、そして一年中深く黒い松。
年末、ヒグマに年末の挨拶をしたその翌日の大晦日、始発のあずさで長野に帰省。空は快晴、しかし雪が舞う空。玄関を見ると、父がこしらえた門松が。瑞々しく若々しい門松。ほほぅ。ことしは父ちゃん、いいのこしらえたねぇ、と感心する。先に到着していたミスター甥っ子が「散歩に行きたい」とせがむので、ちょっと離れた畑まで歩いていった。そこの納屋を見たら、やはり松飾り。「もう、お父さんったら生真面目なんだから」と微笑む。家に戻るとき通りかかったまた別の納屋にも若々しい松飾り。ここらへんで「!」となにかがひらめき、家のまわりの車庫やら納屋やら食料庫やらをぐるっと一周すると、全部に松飾り。甥っこがまだ歩きたいというので、裏山まで歩く、そこの樹齢数百年の巨木の根っこにも、やはり、松飾り。この木には小さいお社があるから松飾を飾るのはわからないもでないのだが、飾りすぎだよ、おとっつぁん! と思って、ちょいといやな予感が頭をかすめ、あの黒松の子供を確かめに行ったら、
 切り株になっておりました・・・・
「お父さん、あれ切っちゃったの?」
「うん。邪魔でな」
「切ったはいいけど、あまっちゃったから普段飾らないところにまで飾ったの?」
「うん。」
ぎゃーん! 
しかし、一度は伐った松を最後の一枝までちゃんと松飾にする父の生真面目さを、私は愛します。愛しますとも!
そんな父が、紅白歌合戦でグループ魂を見て、
「なんだ、このキチガ●は。
 NHKはそうまでして視聴率がほしいのか!」
と罵倒したのはご愛嬌。
そんなこんなでお正月はのんびりとしてきました。
今年の箱根駅伝は愉快だったねぇ。あの混戦っぷり。
当事者たちが一番驚いたであろう総合優勝の亜細亜大学。
箱根越えで燃えたぜ、往路優勝の順天堂大学。
意外と地味だけどがっつり実力発揮、復路優勝の法政大学。
まぁ、えぇんじゃありませんの。3校も優勝校ができて。
往路・復路・総合優勝、駒澤大学じゃつまんないもんねぇ。

4 COMMENTS

MI子

父→N大法学部
母→N大文理学部
私→同じくN大文理学部
弟→N大商学部
という足並みの揃った我が家にとって、
今年の箱根駅伝はイマイチ。
やや盛り上がりに欠けましたね。
やっぱり優勝争いに絡んでくれないと…。
というわけで(←何がじゃ?)、
今年もよろしくお願いします!

返信する

ほうがくぶ・・・・なにかよい香りが。
私はどこの学校にも関係ありませんし、それどころか私の母校は今年で廃校になるそうでして、まぁのんびりと見られる楽しい駅伝大会でございます。亜細亜大学の、あのペロッとした顔のアンカー、よかったねぇ。

返信する
kasa

紅白のグループ魂について、うちの母は
「この人達、大好きよう、あたし」と言ってました。
血を感じました。

返信する

おぅ、さすが!
私の姉も「クドカンの貧乏くさい口元がたまらない」といってました。姉にそんな琴線があったとは!

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください