恵比寿講青木雄二が開く道/青木雄二「ナニワ金融道」

[まとめ買い] ナニワ金融道

kindle unlimited で公開されているのでいま読んでる。ガビンさんのいうまさに「床屋にある漫画」なんだけど、やっぱり抜群に面白い。
ナニワ金融道についてさくっとWikipedediaると!(改行はウカやん)

『ナニワ金融道』(ナニワきんゆうどう)は、青木雄二による日本の漫画。1990年から『モーニング』(講談社)にて連載された。単行本全19巻のほか、1999年からは文庫版全10巻が出版された。1992年講談社漫画賞、1998年手塚治虫文化賞マンガ優秀賞受賞作品。

商業の町大阪を舞台に、マチ金(消費者金融)会社「帝国金融」(セリフ中ではこの表記、看板等では「帝國金融」)の営業マン灰原達之と、借金にまつわる因業深い人間模様を描いた作品。

青木雄二の独特なアクのある絵が読者に強いインパクトを与え、人気作となった。最初は5週程度掲載される予定であったが、第1回目の掲載時に読者から多大な支持を得て連載が決定した。

作者の青木雄二氏は、6年間の連載を経てこの作品を19巻で終了させ「一生暮らせるだけの金は稼いだ、残りの人生は遊んで暮らす」と連載直後の1997年にマンガ執筆活動からさっぱりと引退する。引退後は原稿執筆や講演会などに忙しく過ごすが、2003年肺がんにて死去。人生ってなんですのん。

連載開始の1990年は平成2年、バブルが弾けたとはいえ今から思えばまだまだ景気はよい時代のお話。時代が変わっても悪事のネタというものはなかなか変わらず、ナニワ金融道のおかげで「あ、これマルチじゃん」とか「公正証書ってそれだけ効力があるんだ」とかいろいろな教訓を得ることができ、人生を踏み外さずに済んだ方も多数いるのではないでしょうか。またバブルから20年以上も経過しているのに、一周まわってあんまり経済状況が変わってない感じとか、その上で気づきも有り、なんというかどえりゃーマンガですね。

肉欲棒太郎という強烈な名前のキャラクターがいましたでしょ。あのひと、大変なしっかり者の女性と結婚するんですけど、そのきっかけになる会話が面白いの。後に奥様になる女性が「ハサンハウスの騙しが丘 さわやかな緑とおいしい空気の街 専有面積65.42㎡ 8500万」とうたってるマンションのチラシを持ってきて、棒太郎に話しかけてくるの。

「ところで肉欲社長 このマンションですけどね
8500万円やけど高いと思います? やすいと思います?」
「専有面積はなんぼおますんや?」
「65.42㎡ですわ」
「ざっと20坪ゆうとこやな」
「この立地条件で8500万ゆうたらまあまあの物件やないですか」
「そやけどね ちょっと不思議なんですわ
 そのマンション他人に貸したら家賃はいくらぐらいもらえると思いはる?」
「そやなー よう取っても月15万ゆうことやないかな」
「でしょう そしたら1年で家賃180万円見込めますよね
 ところが8500万円の銀行を全額銀行に預けたらどうなります」
「年利5%としても(5%だとうぅ!)年425万円の利子が見込めるでしょう」
「値上がりするゆう期待感があるからマンションが8500万もしてるだけでしょ」
(言われてみれやその通りや、えらいこと考えよるな この女‥‥)
「もしもマンション値上がりしないんならこんな値段で買いたい人なんて一人もおれやんのとちがうやろか
家賃が年180万としても銀行で利子を年180万もらおと思ったら元金が3600万あれば十分やないですか
それなのに実際の値段が5000万円も高いのはどうしてなんですか?」
「そやなーそれは確かに難しい問題やなー いずれにしても‥‥ 
今のところ不動産さえ持ってたら銀行はいくらでも貸してくれるさかいな
もっと高くなった時に売ったらええだけや」
(そやけどワシの説明、ぜんぜん説明になってへんがな)

こうやってセリフだけ書き起こすと、谷崎潤一郎の小説のワンシーンみたいではないですか(とか書くと中野区からツッコミが入ってきそうなんだけど)! 
しかし金利が5%もあったんやねぇー。金を増やしにくい時代になったもんですねぇー。年間180万の利子を受け取るのに3600万あればよかった時代なのか・・・。なんだよそれー。さて、扱い事例としては、こんな感じ。

・連帯保証人になった彼氏の借金の肩代わりをしてソープ嬢になる女

・ご祝儀を盗まれてしまい穴埋めに奔走したあげく取り込み詐欺に手を出し破滅する男

・詐欺的先物取引で全てを失う小学校教頭(追証地獄に陥りますのんや)(青木雄二がいま生きてたらFXをネタに書いたんでしょうな)(あ、それはいま闇金ウシジマ君のしごとか)(いまなら追証地獄に陥った人たちを2chのまとめとかで読めて、危ない橋に足を突っ込まずに済むよい時代になったよね☆)

・法律の網の目をかいくぐる闇金融業者 - 店子に夜逃げされた零細印刷業者が、トイチの闇金に運転資金を借りたのが運の尽き! その場しのぎの場当たり的な対応で骨の髄までしゃぶり尽くされ会社は倒産、オーナー夫婦は全てを失い夜逃げする羽目に(店子失踪対策の初動さえ間違えなければ会社を手放すことはなかったんやで・・・身につまされる)

・肉欲棒太郎の再起 - 映画チケット転売ビジネスから、金券屋を開くまで! いまはネットで直接安く購入できるようになってるけど、そういういうことができない人が引き続き使っていく商売なんだろうね。金券屋の明日はどっちだ。関係ないけどビットコイン買っておけばよかった。

・マルチに鉄槌を! - 頭の回転が早く人心掌握の術に長けたマルチの胴元と、こんな丁丁発止をその場で展開するなんて。ぼんやり屋さんは喰われていくだけやでぇー。

・ライバル企業との対決 - 海運関係の法律がたくさんでてくる大作、これが最終作。

金融商売とはいえ、商いの原点に立ち戻るようなセリフが目白押しです。梵天丸もかくあらねば! すごい密度の濃い作品なので一巻からじっくり読み直していきたいと思いますわ。というか、ここにでてくる人たち、たいてい初動を間違えてるよ・・。

関連ツイッター
ナニワ金融道bot https://twitter.com/teikokukinyu

 

こうやってドサクサに紛れてしっかりチチ揉んでるところとか細かくてよい!

登場人物の上役のひとたちが人間ができてるんですよ。

「客の心をつかめんような人間はどんな商法でも儲かるチャンスはゼロやがな」。

はい大事なことなので2度いいますよ! 

「客の心をつかめんような人間は
 どんな商法でも儲かるチャンスはゼロやがな」

人生と一緒だね☆ 身にしみます。

ミナミの帝王(140) (ニチブンコミックス)

6 COMMENTS

ふなき

「客の心をつかめんような人間はどんな商法でも儲かるチャンスはゼロやがな」
もうね、心をズキューンと打抜かれました。
ナニワ金融道、大手金融に努める知人に進められ、大阪時代に3巻か4巻まで読んだわ。また読み返してみよう。

ええと、引用されたセリフは谷崎というよりも織田作之助か田辺聖子あたりのネイティブな感じではないでしょうか(と、中野区からツッコミをば)。

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ukasuga

ま、負け惜しみじゃないんだけどねっ、織田作之助の名前がでてこなかったのよっ!ま、控えめに言っても負け惜しみなんですけど!

人からお金預かって納品するということが如何に大切なことかと改めて・・・・。ドラマは見たことないんだけど、「生き(残)るために読むべき漫画」のひとつとしてみなさまにおすすめしたい!

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いち

毎日のようにケーブルテレビで
「ナニワ金融道」とか「ウシジマくん」とか
放映しているんですよ。
毎日でも見たい人がいるんだなあと
それこそ毎日2時間サスペンスの
再々再々再々再々放送でもいいから
推理ドラマが見たい私が思っています。

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asoyoko

グロービスのライブラリーに置いてあって、途中まで読んだなー…なかなか強烈でした。
最近だと「カイジ」あたりもこの方向?

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ukasuga

どちらかというと「商いと法律のイロハ」な感じだよね。この作品が切り開いた漫画のジャンルが如何に幅広いものだったかと、いまなら思います。全巻読んで「みんなサンクコストに目を奪われすぎ!」と何度も思ったものですよ。

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