あらすじはWikipediaから。
2015年製作のカナダ、ドイツ映画。ホロコーストを題材にしたサスペンス映画。アトム・エゴヤン監督。
ゼヴは今年90歳で、介護施設で暮らしている。最近は認知症が進行し、最愛の妻、ルースが死んだことさえ忘れてしまうようになっていた。
ある日、ゼヴは友人のマックスから1通の手紙を託される。2人はアウシュビッツ収容所からの生還者で、ナチスに大切な家族を殺されていた。その手紙には2人の家族を殺したナチスの兵士に関する情報が記されていた。その兵士の名はオットー・ヴァリッシュといい、現在は”ルディ・コランダー”という偽名を使って暮らしているという。コランダーと名乗る人物は4人にまで絞り込まれていた。
体が不自由なマックスに代わりゼヴは復讐を決意、1通の手紙とかすかな記憶だけを頼りに、単身オットー・ヴァリッシュを探しに旅に出る。
このゼブを、サウンド・オブ・ミュージックのトラップ大佐のクリストファー・プラマーが演じています。現在御年88歳、映画出演時は84~85歳といったところでしょうか。88歳で主役として出演し、認知症の役をやるんですから、それはもう凄まじいことですよ。下着のボタンも全部留められないようなおじいちゃんなのに、にじみ出る品格を隠すことが出来ないあたりもまたすごい。
さて、物語はホロコーストを題材にした深刻なサスペンス映画なのですが、うっかり吹替版で見てしまったため、自分の父親の最晩年を見るような切なさでいっぱいに。「母さんはどうしたんじゃ?」「ゼブさん、残念ながら奥様は先週おなくなりになりました」「あぁそうじゃった・・・」というやり取りが何度も。あぁ。なんて切ない。
ゼブやんに復讐を依頼したマックスはまだまだしっかりしていて、病室には本がたくさん、パソコンだって操れるし、なにしろこんな大それた復讐劇を思いついちゃうくらい。それに引き換え認知症おじいちゃんときたら・・・・・。サスペンス映画を見ているはずだったのに、認知症おじいちゃまのドラマとして見始めてしまい、だんだんバラエティ番組にあるような「認知症おじいちゃん★初めてのおつかい」といった風情に。そんな意味で始終ハラハラしてしまいました。
「あぁっ、おじいちゃん、信号ちゃんと渡って!」
「あぁっ、おじいちゃん、スーパーで買物できる? お金もってる?」
「あぁっ、おじいちゃん、パスポートちゃんとある? 期限は?」
「あの業者、あんなおじいちゃんにそれ売っちゃだめでしょ!」
カナダを高速バスで移動するおじいちゃんの初めてのおつかいの行方やいかに!!!! おじいちゃんロードムービーとしても楽しめます。吹替版だとみなさんのお父様の姿がちらついちゃったりするかもしれませんので、できましたら字幕版でぜひー。クリストファー・プラマーさん、お声もとてもよい方ですし。