デビュー50周年記念 諸星大二郎展 異界への扉

三鷹市美術ギャラリーで10月10日まで開催されている「デビュー50周年記念 諸星大二郎展 異界への扉」へ行ってまいりました。素晴らしかった。

高校生の頃、隣の席にイラストや漫画の模写がうまいA君がいた。ある日、Aくんが面白いかたちの口のイラスをを描いている。初めてみる不思議な半開き口。それを隣からまじまじと見ていると、A君と目があってしまい、「絵うまいんだね」と話しかけるはめに。彼は淡々と「諸星大二郎って知ってる? 好きな漫画家なんだ」と返事をくれた。
「諸星大二郎? 誰それ?」、少年漫画なんてマカロニほうれん荘で止まっていた当時のわたし、菱形に開いた口といえばマカロニほうれん荘の膝方歳三じゃないの、世の中にはあの「トシちゃん」以外にも菱形の口を描く漫画家さんがいるとは。Aくんの落書きに登場するひとたちは全員不思議なやわらかい菱形状に口があいている。
「そんな漫画家しらない」と答えると、親切なA君は諸星大二郎の「生物都市」や「マッドメン」「暗黒神話」「妖怪ハンター」ををせっせと貸してくれた。「なんなんだこのよくわからん世界は!」、わたしは読むたびに、読んだことのない作品にふれるたびに、諸星大二郎にのめり込んでいった。
それからしばらくしてA君は諸星大二郎タッチでわたしの似顔絵を書いてくれた、もちろん私の口も菱形に開いていた。

 

そんなこんなで諸星大二郎とつきあって早●十年、本棚には、栞と紙魚子シリーズ・西遊妖猿伝シリーズ・中国の怪奇話を集めた阿鬼ちゃんのシリーズが並び、このシリーズを除く電子書籍化されたものはあらかた買い求め、海辺の宿に眠れば「あんとくさま、お許しを!」とうなされ、辺鄙な山の宿に泊まれば「祭りは終わった、永遠に」とうそぶく。わたくしの生活とともに、人生とともにある、それが諸星大二郎作品なのでございます。

その諸星大二郎展見てきたんですけれども、、代表作の原画約350点が並ぶ原画展でございます。代表作350点というかそれってひとつひとつの先生が描かれた物語の数ですよね? わたしにとって「全作品=ほぼ代表作(あるいは傑作)」といってもいい稀有な漫画家さんです。諸星先生の画業50周年を丹念に追う事ができる素晴らしい展示で、原稿を鑑賞しているそばから「うわーこの作品読み返したい、それもいますぐ!」「うわ-このマンガ、持ってない、早く買わなくては、それもいますぐ!」などと読みたくて読みたくてたまらない状態に。

帰宅してからは未読作品を数冊電子書籍で買い求め、本棚の奥にあった未読の分厚い漫画を引っ張り出して読みました。多作にして多彩、稀有な菱形の口、ほろ苦い大人の愛や、子供の無邪気に接する異界、人生のすべては諸星大二郎から学んだといっても過言ではない。あのとき、高校生のとき、隣の席のA君がいなかったらここまでのめり込むこともいなかった作家さんです。Aくん、元気かな、うっかりすると孫とかいるんじゃないかな、諸星大二郎展いったかな、地元に残っているなら今年の冬に岡谷でやった巡回展行ってるといいな。

 

などとしみじみしながら栞と紙魚子シリーズの聖地「胃の頭公園」まで歩いて行ったら、突然道の角でトトロに出迎えられ、たいへん驚いた。なるほど、新宿まで電車で16分、高い建物が少なく広く感じられる空、広大かつ有能な商店街、ほどよい店がほどよく揃っていて、多くの人がさまざまなスタイルで楽しめる整備された公園がある、これが「吉祥寺だけが住みたい街ですか」事案かと納得した次第。

 

諸星大二郎展は10月10日まで、ファンは急げ急げ!

諸星大二郎 デビュー50周年記念 トリビュート

 

吉祥寺だけが住みたい街ですか?(1) (ヤングマガジンコミックス)

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