麦秋やサカナとヤクザと異文化と/鈴木智彦「サカナとヤクザ」

サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う

あらすじはamazonから。
築地市場から密漁団まで、決死の潜入ルポ!
アワビもウナギもカニも、日本人の口にしている大多数が実は密漁品であり、その密漁ビジネスは、暴力団の巨大な資金源となっている。その実態を突き止めるため、築地市場への潜入労働をはじめ、北海道から九州、台湾、香港まで、著者は突撃取材を敢行する。豊洲市場がスタートするいま、日本の食品業界最大のタブーに迫る衝撃のルポである。

いやー、漁師町って独特の雰囲気がありますけれども、ありますけれども、その内容が詳らかにわかる内容で、わたくしのような農村地帯育ちの人間からしてみたら、歯向かいもしないし人を襲ってもこない穏やかなサカナという完成された経済商品がうようよ動いている海に飛び出しそれを獲り、セイヤセイヤと船に積まるだけ積んで、セイヤセイヤと港に運び市場におろし、ガッポガッポとお金が入ってくる仕組み、読んでいるだけで「文化がちが~~~~~~う」という生き方で、そらぁもうなんというかそういう熱い血潮の人も多かろう多かろうと感心して読みました。

岩手vs宮城 三陸アワビ

黒いあまちゃんというパワーワード!! 密漁すごいね。

東京 築地市場潜入

商いはなんだって清濁併せ呑むなものだとはわかっていても、いてもですね、やはり強烈。以前「プロフェッショナル仕事の流儀的」番組で寿司職人が特集されていて、その中で仲卸の人が出てきた。なんというか、キップはいいし、男前だし、モテそうだし、色気はあるし、でも一切目は笑ってないし、「カタギだけどカタギじゃなーい」な空気がブラウン管からもビンビン伝わってきて、これを読んで「あー、なーるー」と腑に落ちたり。しかしこの潜入労働取材4ヶ月やったんですって、すごいね、鈴木さん!!

北海道 黒いダイヤのナマコ 密漁バブル
再び北海道 東西冷戦に翻弄されたカニの戦後史

東西冷戦のカニの戦後史では、子供の頃にどこかで聞いたことのある「レポ船」というものについて詳しく紹介されており、こういうものだったのかと何十年もの時を経て理解でき収穫。これを読んでから、闇鍋ウェスタン「ゴールデンカムイ」を改めて読み直すと「茨戸の用心棒」とか「エトピリカ」の章はまた違った味わいになってきますよね。カニの戦後史は北方領土問題とも深く関わっており、私も過去に一度訪れたことのある根室という静かなひと気の少ない街が、こんな歴史を背負ってきたのかと驚いた。

千葉 暴力の港 銚子の支配者 高寅

映画よりも映画な実話におどろき。銚子生まれの菊地成孔が自らの子供時代を振り返ったエッセイなどもはさまれており、いろいろと趣深い。銚子を牛耳るヤクザものたちと戦ったのが共産党で、共産党は骨があるねぇー。

九州・台湾・香港 ウナギ国際密輸シンジケート

乱獲しないで・・・おねがい・・・なんでもそうだけど・・・。あと、香港というところは、遊びに行く分には楽しく愉快で何食べてもおいしい素敵な街だけど、本当になんでも捌ける物流拠点なんだなーと感心した。

力作でした。面白かったです。ふわっとしたソフトカバーというのが読みやすくてよかったです。潜入ルポでいうと、これも読みたいところです ↓ 。

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した~潜入・最低賃金労働の現場~

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