白ワイン村上さんのところでね/村上春樹「村上さんのところ」

村上さんのところ (新潮文庫)

白ワインって夏の季語でいいよねぇ、いいんだよねぇー。

先週。地元資本の小さな本屋さんに行ったらこの本が平積みされていた。読書家のお友達がツイッターにあげてたなーということを思い出し手にとって買ってみた。近くの喫茶店の無料券があったので、その本を持ってコーヒーを飲みながら読み始めた。正直、ロウのガンが出はじめたりしていて紙の本と若干遠ざかっていたのですが、あれ、なにかしら、このツルツルと読めちゃう楽しさは!

本の概要は、amazonのサイトから。
春樹さん、こんなことも聞いていいですか? 世界中から集まった質問は何と 3 万7465通。恋愛・人間関係・仕事など悩ましい人生のモンダイから小説の書き方、音楽や映画、社会問題、猫やスワローズまで、怒濤のメール問答は119日間、閲覧数1億PVに及んだ。可愛くてちょっとシュールなフジモトマサルのイラストマンガを多数加え、笑って泣いて励まされる選りすぐりの473通を収録する!

質問者のペンネーム・性別・年齢・職業が書き添えられた質問に、村上さんが回答していくのですが、文庫版で634ページの厚さで、これが「銃・病原菌・鉄」だったら絶対読む気になれないのに、なんでしょうか、この軽やかな読書体験は。

ブックデザインか? ブックデザインがよいのか? さすが新潮と唸るべきところか(文庫本で一番美しいフォントを使っているのは新潮社のものだと思います)。この村上さんの回答が太ゴシックなのがいいから? フジモトマサルさんのとぼけた(でも核心をついた)イラストがいいのか? (フジモトマサルさん、この本が遺作となったとあとがきで知りました。とても残念です)この区切りの点線がピリッとしてるから? 他人の悩みを覗き見しちゃったり、それに共感するのが楽しいのか。短い質問に思いの外長く回答しちゃったり、長い質問にそっけなく回答しちゃったり、「エロいって!せめてセクシャルといいませんか?」と素で回答したり、「復習じゃなくて復讐ですよね?」と半ば呆れ顔で答えたり、そういうメリハリの効いた感じがいいの? 「好きな人に告白したい」という人には「それはあまりよい方法ではないですね」と冷静にアドバイスをし、「好きになってはいけない人が気になって仕方ない、私がおかしいのでしょうか」という悩みは「人生はそういうものです。みんなそうなんです。それに折り合いつけていくんです」と優しく教えてくれる。やだ、楽しい、止まらない。

しかもこの文庫版は「よりぬき村上さん」で、完全版の電子書籍版には3716通が収録されているというではありませんか。ひえええ。村上さん、なかなか大変なお仕事だったと思います。お疲れ様でした。

 

そのやりとりの中でたまにご自身の作品が紹介されていて、「あら、そういえばその本、読んだことないわねー」というタイトルにちらちらと接する。気になる。でも多分、一回読んだら満足しちゃってどうせ手放すことになるんだろうしなーと考えながら商店街を歩いてたら、図書館の貸出バッグを提げたちびっこの軍団とすれ違った。

あぁ、図書館!!!!
近所に図書館があったんだ!!!!

そうだそうだ、このエリアには区の図書館があったんだ! 身分証明書をもっていたのでその足で図書館に行って、貸出カードを作り、カードを作っている間に読みたい本をピックアップして、簡単な規則を係員の方に教えてもらい、早速4冊の本を手にして帰宅した。

ロウのガンなのでハードカバーで借りてきた。「女のいない男たち」、面白いです。「あぁー小説読んでるなー、いま、私!」ってのをひしひしと感じられてよいね。

それにしても好きな作家なのに、まったく新作をチェックしていなかったことを反省しました。川上弘美さんだけど。本屋に足を運んでなかったから見逃していたというのもあるのですが、amazonの「電子書籍」カテゴリに出てくる漫画と実用書ばっかり読んでた気がします。反省。その作家さんが電子書籍化しない限り目に入ってこないし。反省。そんなに忙しい人生送ってるわけじゃないのにねー。反省。好きな作家さんの本を読むくらいの余裕はほしいじゃないですかー。反省。

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