年をとるとすべてがでかくなる/女海原雄山が美容室を変えて鏡を見るのが楽しくなったお話

麻布十番のあべちゃん(凄腕美容師さんです)に絶大な信頼をおいていた三十代、お店がどんどん拡大し、あれよあれよという間に有名サロンになってしまい、あべちゃんもどんどん出世、私も彼も年を取る。素材的にカットしても楽しくもなんともない対象でしょうけれども、時間が経つにつれ「あのぅ、なんか、申しあげにくいのですが、控えめに言ってもTE・NU・KI?」な感じになってきて、さて困った、そこから美容室難民に。

母親の葬式で慌てて地元の美容室で髪を整えたら「昭和何年?」みたいなスタイルに。葬儀の場はそれで良かったんだけど、そこから立ち直るのにまた一年。セルフカラー回ったり、クーポンでいろいろ試したり。そんなとき、「きのう何食べた?」で美容師さんの苦労を知ったり、そろそろ落ち着きたいなーと思っていたところ、「あなたみたいな年代の方にちょうどよい店があるよ」と紹介されて行ったお店に2年通った。

きのう何食べた?(1) (モーニングコミックス)

そこの美容師さんは私の姉と同い年。カラーを丁寧にやってもらうことで、髪の色は確かにきれいになり艶も戻ってきた。よしよし、髪の具合はいい、いいんだけど、カットの技術が「あれ・・なんでこの人、髪を濡らした状態でカットするの・・? 平成も終わって令和だよ・・・・あべちゃんは平成の時代からずっと髪を乾かした状態でカットしてくれたよ」とモヤモヤしていた。
額の真上につむじがあってHAGEに見えるのをどうにかしたいと相談したら、「それはあなたの問題でしょ?」と一蹴され、あの、その、技術でどうにかねじ込むということはできないのでしょうか、とまたもやモヤモヤした。
カットも???な感じで、全然楽しくならない。なぜ通うたびに女海原雄山みたいになっていくのか。施術が終わったあと、「わーすごくすっきりしたー」と鏡の前で小芝居する時間も苦痛だった。

このくらいの年齢の「私、見た目には最低限しかこだわってないです。仕事と猫と趣味が一番!」という女性によくある「前髪を自然に流してます」というのは、額を広く見せることが多く、高い確率で大きな顔立ちに見えることが多いような気がするんだけど、私もどんどんそうなっていく。

自然な流れに任せるのがよくないのだ、不自然な流れにすればおしゃれに見えるのかもしれない。しかし不自然な流れにしたら、不自然な髪型に。あぁもう私、こうやって女海原雄山みたいな髪型でこの時代を過ごしていくんだわ。おばあちゃんになったら謎のクリクリのパンチパーマを当てるんだわ。そうやって女の人生後半戦ときめかない髪型で過ごしていくんだわと悶々としていた。

だけどカラーはいいの、カラーの色はとてもいいの、髪の具合もよくなってきたの、だけどカットが!!!

美味しんぼ 111 (ビッグコミックス)

たるみもあるさ、下垂もあるさ、重力には逆らえないさ、しかしどうしたことだ、この海原雄山っぷりは。「どうして私の顔、こんなに大きくなっちゃったんだろう」と悶々としているとき、久しぶりに会った友達が「「この人何歳だったっけ?」と一瞬思考が止まるくらい素敵なヘアスタイル。特に手間暇かかってなさそうなのに、天然のクリス智子さんみたいになっていた。

「その髪型、朝はどうしてるの?」
「手ぐしでぐりぐり整えてそのままでかけてる」
「なんと!」 

お店を教えてもらって、予約して行ってきた。

 

お店は青山の一人サロンスタイルのお店。髪を切る前に、その美容師の女性は鏡の中で私としっかりと目を合わせてこう宣言した。

「だいたい、美容師が『今日どうされますか?』じゃないのよ、素人に自分の髪型の判断がつくわけないじゃない」

そして髪を切り始めた。素晴らしい。そう、わたくし、自分の頭の形もよくわかってないんです、髪質も髪の流れもよく把握してないんです。プロに客観的に見てもらって、その上で任せたい。海原雄山でなくなるならなにやってもいいですよ! そして、任せまくったた結果、鏡の中にシュッとした自分がいた。

 顔でかくないじゃん!(カットのおかげ) 

 つむじもHAGEでもないじゃん!(カットのおかげ)

 女海原雄山じゃないじゃん!(カットのおかげ)

 この美容師さんに早く会っていればーーー!

 私の迷走した2010年代を返してーーーーーー!!!

プロの技術で現在進行中の諸問題をねじ伏せてもらった快感に酔いしれた。もうわたし、女海原雄山じゃない! もう海原雄山じゃないーーー!!! そのときの私といったら草原に向かって両手広げてロングスカートひらひら回しながら走り出したい気分でしたよ。

美味しんぼ 111 (ビッグコミックス)

「あとは眉毛が問題だわ。すごく困ってる人に見えちゃってる」とチョキチョキ。困り顔の海原雄山で市中に顔をさらしていたなんて最悪じゃないすか。甲子園球児並にカットしてもらって、あ、そうか、これくらいカットしないとまるで整わないってことか知見を得た。施術が終わったあと、サウンド・オブ・ミュージックのような手付きで地下鉄に乗って帰宅したのです。あぁ楽しいー、髪型変えるのって、手っ取り早く変われることのひとつでほんと楽しいー!

(でもこのコミックスの表紙の栗原さんみたいな髪型の人、市中にたくさんいるよね。まさに女海原雄山!)

 

という話をおしゃれ好きな女性にしたら「そうよ、ティム・ガンも言ってるじゃない。髪型は24時間載せ続けている帽子だって。もっと気を配るべきよ」と。そうでした。気を配るべきでした。

久しぶりに会う友達と時間を作ることも大事だなと思ったきっかけにもなりました。自分とは違う情報の流れの中にいる人と会うことは大事だ、うん。
そして私は、人と人が出会うことで運命の車輪がガリガリと動き出す顛末を描いたこちらの本を読むことになるのです・・・続きはまたあした。

 

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

1 Comment

いち

ほんと、髪がいい感じになったら楽しいよね!
セットに1時間もかかるとかそういうのじゃなくて、
カットで色々解決してくれるってありがたいね!

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