仕事終わって今日は映画で〆ようと、ギンレイホールのサイトで映画のタイトルと上映時間だけ確認して出かけた。見た。ぐっときた。
この映画のこと、全く知らなかったけどとてもいい映画だった!
いい映画だった!!! うわーいい映画だったーーー!!!
座席に座った時点でもどこの国の映画かも知らなかったので、冒頭のシーンでまずいろいろと先制パンチをお見舞いされる。
「えっ、なにっ、これ東欧映画なの? ハンガリー? ポーランド? あーポーランドー、ほほぅ」
「えっと、シネマスコープじゃなくてほぼ正方形の昔のアスペクト比なのね、白黒なのね。えっ、ずっとこれでいくの? サウルの息子みたいだな」
「戦後すぐが舞台なのか。戦後すぐに撮ったみたいなひとたちばかり出てくるんですけど、登場人物たちの人物造形がものすごいリアリティだな」
「うわっ、主人公の女の子かわいい」→「え、30過ぎまで演じてる、この女優さんいくつ!?」
「うわっ、主人公の男かっこいい」→「えっ、その髪型!」→「えっ、その髪型!」
「うわっ、主人公の女の子すごい」→「えっ、つまり彼のためにアレしたってわけ? すげえなこの愛の形!」
冷戦下のポーランドを舞台に描かれた激しい愛の物語。民族音楽舞踏団を立ち上げたヴィクトル(主人公、ユーリ!!! on ICEでいうとヤコフ)とイレーナ(ユーリ!!! on ICEでいうとリリア)は、村々をまわって少年少女のオーディションをする。そこで出会った野心的ガールが今回の主人公。
倍ほども年の離れた二人はやがて恋に落ちる。ポーランドの民族音楽を美しい声と統率の取れたダンスで披露する楽団は、次第に活動範囲が広がっていく。当局からは「モスクワ公演とかしたくないかね?」とスターリンを称える歌をうたうよう要求される。イレーナは「ばっかじゃないの」と楽団を去る。東欧公演ツアーを始めた楽団は東ドイツのベルリンで・・・・
第91回アカデミー賞監督賞・外国語映画賞・撮影賞ノミネート、カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート・監督賞受賞、ヨーロッパ映画賞いろいろな賞を総ナメ。今年の6月頃に公開されていたみたいですが、ふえええ、こんな映画があることをまったく知りませんでした。ギンレイホールでかした、よくぞかけてくれました。一件静かに見えているのですが、いろんな意味で東や西へ激しく動くものがたりで「行間読めない人にはさっぱりわからぬ映画なのかもしれぬのぅ」などと思いながら、映画を見終わったあとエンドロールで親指立てて肩で息しちゃった。これはサウンドトラックを買うと幸せになるタイプの映画だな。うん、買おう買おう。どこかで売っていることでしょう!
いやしかしそのコピーの「一緒にいたいだけ」とか副題の「あの歌、2つの心」って、いやそのいやその甘くて白い粉をふんわりかけたようなゆるふわ装飾なくてもいいんやでー。あんな愛し方、ゆるふわ子女には絶対できやしませんぜ。
物語は1949年から始まりますが、ちょうど「死に山」の時代を挟んでいてその辺もぐっときた。あの時代の社会主義国ってそこそこ以上に幸せだったのかもしれません。
監督のPawel Pawlikowski 、イケのメン。世が世なら東欧の至宝と呼ばれてもおかしくない。ポーランド人で、母親に連れられてドイツにわたり最終的にイギリスに落ち着き、BBCでドキュメンタリ製作に携わっていた方だそうです。
Paweł Pawlikowski on the #efa2019 red carpet! pic.twitter.com/mslilMcLGd
— European Film Awards (@EuroFilmAwards) 2019年12月7日
映画のご様子はこちらから。素晴らしいの歌声が。
The EFA People’s Choice Award goes to COLD WAR by Paweł Pawlikowski #efa2019 pic.twitter.com/0rCbKDVrWr
— European Film Awards (@EuroFilmAwards) 2019年12月7日
ユーリ!!! on ICEでいうとリリアのところのイレーナや大人になった主人公のズーラが、黒いセーターや黒いワンピースに真珠のネックレスを少し垂らした感じで使っていたのがとても格好良かったので私も真似していきたい。上のツイートのような感じです。ユニクロのメリノウールじゃ力不足なので、ちゃんとした真珠のネックレス用の黒いセーターを買おう、まずはそこからだ!
shutterstock に映画ごとの写真があるのは知らなかった。
この写真がものすごく若い頃のヤコフとリリアっぽい。
「自分のまったく知らない人生を知ることができる」という点でも素晴らしい映画だった。最後の草原のシーンの「あぁ、ここで」な断ち切り方まで全部ぜんぶ。音楽が途切れたエンドロールも含めて音に対してとても丁寧に作られた作品です。各国の映画祭で撮影賞にいくつかノミネートされていますが、なるほど、確かにこれは。amazon prime video に登場してきそうな気もしますので機会がありましたらぜひ。タイトル覚えておいてね。
ところでリリアが着てたのはヘルノ? ツヤツヤパンパンっぷりがデュベティカっぽかったけどどっちかな。この作品のりリアはミンクのショートコート着てたけどね。1950年代のミンクと真珠最強だな、おい。
というわけで、先週の「ワイルドライフ」とあわせ、今回のギンレイホールのテーマは「冷戦と愛」だったのですね。次のギンレイホールは、「アマンダと僕」と「ガール」。なんでしょう、少年少女の成長かな? こちらも楽しみ!