時代にケリを！イーストウッド三部作／映画「エドガー」

2012年2月24日

新宿バルト９で。平日夜の回、私も含めて観客は３人でした。
あらすじ
FBI（アメリカ連邦捜査局）の初代長官を務めたジョン・エドガー・フーバー（J・エドガー）の半生を、Clint Eastwood監督とレオナルド・ディカプリオの初タッグで描くドラマ。1924年、FBIの前身である捜査局BOIの長官に任命され、35年にFBIへと改名した後も、72年に他界するまで長官として在任したJ・エドガーは、カルビン・クーリッジからリチャード・ニクソンまで8人の大統領に仕え、FBIを犯罪撲滅のための巨大組織へと発展させていった。しかし、多くの功績を残した一方で、時に強引な手腕が物議をかもし、その私生活は謎に包まれていた……。脚本は「ミルク」でアカデミー賞を受賞したダスティン・ランス・ブラック。共演にナオミ・ワッツ、「ソーシャル・ネットワーク」のアーミー・ハマーら。
こりゃー確かに日本人が興味を持って見る映画じゃないよね、暗いよね、重いよね、FBI長官の人生なんてほとんど興味ないよね。ニクソン大統領を演じた人の軽さが抜群！　ハリウッドの老人化メイク、すんげー！　アーミー・ハマー（ソーシャル・ネットワークでいけすかない上流階級の双子を演じてた子）の老人演技すげー！　ナオミ・ワッツの変幻自在っぷりもすごいー！！　ざっくりいうと、よくわかるFBI成立物語、史実もふんだんにちりばめられているので、アメリカ人的には「せっかく完治したと思ってかさぶたを、クリントたんがバリバリはがしやがって！！」という感じなのかちらどうかちら。　主演のディカプリオはアカデミー賞主演男優賞を狙っていたと思うのだけれども、ノミネートもされてない。だって暗いもの、重いもの、かさぶたなんだもの！
1930年に飛行家リンドバーグ氏の愛息が誘拐されるという事件がおき、この捜査にFBIが乗り出すわけですが、愛息は誘拐直後に暗殺されてしまい、その後リンドバーグ法ができる。これにより、FBIの権限がより強化されていくわけじゃ（長老風）。そういったFBIの権限強化のそれぞれにディカプリオ演じるフーバーが関わっていくのじゃった。
その裁判のあとのシーンが印象的だった。1930年といえばその前年に世界恐慌、恐慌のはずなのに、うっかり石油が採れる大陸に生まれた国の幸か不幸か、裁判所の前には黒塗りの自動車がずらり。Ｔ型フォード全盛期のちょっとあとの時代、デザインもおしゃれに機能的になった自動車がずらり、世界恐慌の直後なのに！　石油が採れるということは強いことなんですな、ゼア・ウィル・ビー・石油ボカーンなわけですよ。このクルマと切っても切れない生活がこの時代に既にスタートしていたアメリカ、そのライフスタイルも70年続けば「グラン・トリノ」につながるわけですよ。
見ていてひしひしと感じるのは、Clint Eastwoodの「時代にケリを」つけようとする使命感。父親たちの星条旗・硫黄島からの手紙、グラン・トリノ、そしてこのエドガー、三部作を眺めてみれば、「アメリカという国はこうやってできてきたんだよ。悪いな、年寄りとしてはこれくらいしか残すことができなくて」という声が聞こえてきそう。うん、クリントたん、しかと受け止めたよ、アメリカにまったく関係ない日本人だけど！！！
さて、そのアカデミー賞、今年はヒュンダイ自動車プレゼンツなのですな。イギリスの映画情報サイトで「 If 2012’s Oscar-nominated movie posters told the truth 」という記事があっておもしろいです。本作エドガーのポスターはこんなの。

「人生はビギナーズ」はこんなの。

エドガーのタイトルが、これ ↑ でも全然問題ないような。。。はっ、ネタバレしちゃった！！　次は「ドラゴン・タトゥーの女」だ！　早くみないと案外見はぐっちゃいそうですわ。