女帝本やめ冒険譚を選びをり／高野秀行・角幡唯介「地図のない場所で眠りたい (講談社文庫)」

地図のない場所で眠りたい

都知事選前に読んでおきたい都民読書ファーストな「女帝　小池百合子」を探し求めてワンマイル、４箇所の本屋さんで「ごめんなさいー在庫ないんですぅー」と断られ、最後に立ち寄った神楽坂駅前の「かもめブックス」でも同様にお詫びされ、そうかーないのかーないのなら仕方ないーと売り場をうろうろしていたら、高野秀行さんと角幡唯介さんの早稲田探検部出身者のおふたりによる対談本が目に止まったのでそれを買って帰る。読む。

2014年に出版された本で、角幡唯介さんにしてみれば「アグルーカの行方」後、「極夜行」前。対談のさなかに極夜行の準備の話なども描かれている。

だいたい角幡さん、デビュー作の『空白の五マイル』がいきなり開高健賞という超優秀な作家さんではないですか！（優秀という言い方があっているのかどうかわからないけど）。初期の作品を全然読んでないので、これからの課題図書としていきたい。

次に読むリスト。

角幡さん、いまもまたシオラパルクにいるみたいで、Twitterでそのようすが見られます。ちなみにシオラパルクってこんなところ。地球儀でみないとよくわからないところにあるね！

「極地探検というレアな体験があるから文章書けるんでしょー？」「素材があるんだから文章書くの楽だよね？」と周囲にいわれる苦悩など、あぁやっぱりこういう悩みがあるんだと思わされたり、ノンフィクションライターの懐事情なども詳らかに描かれており、また、なぜ角幡さんはこんな旅を続けるのか、どうしてこのような文章を書いているのか、その理由と背景がわかり面白かった。高野秀行さんは存在自体が面白いので、とくにいうことはありません。

この爽やかな初夏のさなかの晴れ間の美しい週末を、女帝本で毒にまみれずに済んでよかったのかもしれぬ。ふふふ。

飯間浩明　つまずきやすい日本語

飯間さんは、毎年紅白の夜に「この単語は○○年から出てきた言葉ですね」「○○という言葉は△△という用法で使われていましたが、この歌詞にあるように□□という内容にかわってきたようです」と丁寧に解説してくれるひと。とても落ち着いた日本語を書かれる方で、私よりずっと年上の年配の方かと思っていたけど、自分の姉と同世代であることを知り驚く。というか自分が年配チームに入りかけているということか。両方に驚く。

紙にしたら100ページ足らずの本で、営業再開した新宿御苑のベンチで一気に読んだ。

『人間の脳は厳密に表現されると、かえってわからなくなる』という一文があった。ガガーリン、わかるわかるわかる！！　たまにお客さんとのやり取りでこういうことが起きる。せっかく厳密に表現してくれたその内容が少しずれていることで起きる齟齬。共通言語を持ってないことも原因かもしれないけど、「厳密な表現」がその後の応対を縛ってしまうアレ。あの「あぁっ、なぜっ、もどかしいっ！」とお互いが思っているアレは、一般的に起きることなのかと納得でき、よい収穫。受け手の人間が厳密な表現を寛容に受け止めることで回避していこう。

さて、どこでも読書ができるようにスマートフォンにバッハ　ベスト５０とか入れておくと大変に便利です。2008年にこのアルバムを買って、秘伝のタレのようにして、今も大事に何代目かのiPhoneに移築されています。

そのバッハ、こういうニュースを読んで、へええと思いましたよ。女性の社会進出って難しかったのでしょう、当時はなおさら・・
【ロイター：バッハの作品、一部は妻が作曲＝豪専門家（2008年10月10日）】