恋人と家族を想う二月の日/映画「家族を想うとき(原題 Sorry We Missed You)」

家族を想うとき[Blu-ray]

ケン・ローチ監督作品。週に3回以上なんらかの荷物の受け取りをしている人は、全員見なさいよ! 自分でした時間指定も忘れないでね!

あらすじはeiga.com から。
イギリス、ニューカッスルに暮らすターナー家。フランチャイズの宅配ドライバーとして独立した父のリッキーは、過酷な現場で時間に追われながらも念願であるマイホーム購入の夢をかなえるため懸命に働いている。そんな夫をサポートする妻のアビーもまた、パートタイムの介護福祉士として時間外まで1日中働いていた。家族の幸せのためを思っての仕事が、いつしか家族が一緒に顔を合わせる時間を奪い、高校生のセブと小学生のライザ・ジェーンは寂しさを募らせてゆく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう。

作品概要をWikipediaより。
原題の「Sorry We Missed You」とは「ご不在につき失礼」といった宅配事業者の不在届を意味しており、主人公リッキーの日常業務から取られている。リッキーのような英国におけるゼロ時間契約労働者の厳しい現状を描いた映画である。新自由主義経済における中産階級の没落を描いている。

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した~潜入・最低賃金労働の現場~

トイレに行く暇もなく、ボスにどやされ、配達先では人間扱いされず、ヘトヘトになったゼロ時間労働契約で1日14時間の労働と引き換えに手にする金額は100ポンド、今日の為替で15,640円。健康で事故もなく万事順調ならば問題なく終えることができる1日も、たったひとつの歯車が狂っただけでガタガタと崩れていく。中年に差し掛かった夫と妻でなんとか持たせているギリギリの生活が、ものすごいスピードで悲惨な状況になっていく。若い頃のふたりの楽しげな様子の写真を眺めて、どうしてこうなってしまったんだろうとため息をつく。なんてこった。

 

この映画はキャストがすごいのです、ほぼ全員無名のひとたち。

お父さん役 配管工として20年働いたのち突然演技のみちへ転身した新人俳優。
お母さん役 テレビで小さな役ばかりを務めていた中年の女優。
おにいちゃん役 オーディションで抜擢され映画初出演
妹役 学芸会の演技が評価されオーディションに参加、見事抜擢!
ボス役 ニューカッスルの小さな街で働く現役の警察官

イギリスのどこかの街でいま進行している家族の物語だと感じさせられる自然な演技で、ケン・ローチ監督の手腕たるや。コロナ禍でいま、この家族はどうしていることだろうと思いを馳せているところです。

家族と社会が壊れるとき (NHK出版新書)

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