渋谷・コクーン歌舞伎 第九弾「夏祭浪花鑑」

ヒグマ更新。
Y夫妻にお招きいただき、初夏の恒例・コクーン歌舞伎へ。
6月も終わるという時分に、多分、最初で最後の単衣着物で。
毎回毎回思うんですが、コクーン歌舞伎は本当に夢のような贅沢な時間を与えてくれる舞台です。
道玄坂のよくわからない場所でタクシーを下ろされて、ちょっと迷いながら文化村にたどり着き、ぎりぎりの時間だなーと、ロビーに入ったら勘三郎さんが団七九郎兵衛の格好でうろうろ歩いてた。??? 席に向かって歩いていくと、会場を役者さんたちがよいやさーよいやさーと練り歩いている。席にまでたどり着けるのかしらとおろおろしていたら、入り口脇にに立っていた役者さんが「さぁさぁお席へどうぞ」と声をかけてくれた。私の肌の毛穴をばっちり見れるくらい近くで声をかけてくれたのは、七之助さんでした、鼻血ブー。前は細くてガリガリだった七之助さんですが、楽天の岩隈みたいに胸板が厚くなっていたのよ! 格好よくなりましたなぁ! と親戚のおばちゃんみたいな気分で目を細める。
さて舞台。「夏祭浪花鑑」はもとは人形浄瑠璃です。あらすじが歌舞伎人サイトに掲載されていたので引用します。
 放蕩が過ぎたために勘当された玉島磯之丞は、ふとしたことから殺人の罪を犯してしまいます。しかし家来筋にあたる魚売りの団七九郎兵衛とその妻のお梶、磯之丞の父の兵太夫に恩ある侠客の一寸徳兵衛や釣船の三婦らが力を合わせ、磯之丞を救うために心を砕いています。
 一方、磯之丞の恋人である琴浦に思いを寄せる大鳥佐賀右衛門は、団七の舅の三河屋義平次と共に、琴浦を奪うはかりごとを企みます。また磯之丞を匿うために、潔い振る舞いを見せる徳兵衛の女房お辰。恩ある人のために立ち働く人々でしたが、物語は意外な展開を見せていき……

団七九郎兵衛が勘三郎、磯之丞が勘太郎、お辰が七之助、大鳥佐賀右衛門が市川亀蔵、団七九郎兵衛の舅の三河屋義平次が笹野高史さん。やーん、笹野さんが出るーと思ってみていたらひどい目にあう役・・まぁ義平次もひどい役なんですけど。
この舞台の見所は本物の泥を使った殺し場で、ここで九郎兵衛に殺されるのが義平次。笹野さんはコミカルに因業ジジイ役を演じているのですが、あぁ、だめ、わたしにはもう指輪物語のゴラムにしか見えません。今年還暦の笹野さん、さんざん逃げ回って血みどろになって殺されて、舞台中央に添えられた泥の中に沈められるんですが、泥の中から這い出そうとすると、勘三郎に足で頭を押さえつけられ、またその泥だらけの姿がゴラムにそっくり、そしてぶくぶくぶくと泥の中に死んでいくあぁ哀れ笹野さん、あんなえらい目にあうなんて!
今回は初心にかえって着物をじっくりと見てみました。七之助のお辰がよござんした。黒の紗の着物に小豆色(に見えた)の博多帯をゆったりと締めて、赤い襦袢の袖がほんのちらりと見えて(半そで襦袢?)、色っぽかった。
釣舟三婦の坂東彌十郎さんの着物がやくざっぽくて全部素敵。最初小千谷縮のようなシンプルな着物で、次には薄墨で描いた龍の着物でヤクザ度満点、これに赤い博多帯をきゅっと締めてくーかっこいい! 舞台映えする衣装でした。最後はヘビのうろこをあっさりと描いた白茶の着物で、うーん、あれは浴衣で着てみたいかも。彌十郎さん、背が高いからああいう着物が似合うのよね。
団七女房お梶の中村扇雀さんは、年増の女房らしくごくあっさりした木綿の着物だったけど、あれは江戸の年増の着物よね。浪花の奥さんたちもああいうのを着たのかしら? 
勘三郎・橋之助の大きなギンガムチェックの夏らしい軽やかな色合いの着物もよかった。勘三郎がオレンジ、橋之助が水色、身丈に5回くらいしか格子が繰り返されていない大きなチェック、ああいうの着たらかわいいわよねー。夏の着物は生地が軽くて、短い季節を惜しむかのような楽しいデザインのものが多くて、本当にいいよねぇ。
最後の見せ場は、大アクション・大爆笑の大捕り物劇。千秋楽を楽しみにしている人もいるかもしれませんので詳細は割愛しますが、涙が出るほど大笑いして、最後の見所がまた圧巻! おぉー雨が降ってなくてよかったですなぁ、とあちら側の人にも手を振る。カーテンコールには串田さんも姿を現し、いやー楽しい舞台でした。中村屋っ! シアター中にこだまするだんじり囃子とおなかの底にずんずん響く和太鼓にココロときめき、夏祭りの気分たっぷりの夜でした。楽しかったー! 歌舞伎座もあれくらい楽しいといいのにね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください