盛夏のキモノ

夏って八週間しかないんだーと強く思うようになったのは、浴衣を着るようになってから。浴衣を着ていい季節は、7月と8月の盛夏と呼ばれる季節だけ。そのうちに土曜と日曜は八回ずつ、祝日が一回。それとは別に、田舎にでっぷりとつかる夏休みが5日から7日ほど、香港4日間、気が向いて宿が取れれば夏の甲信越地方に小旅行、さらに今年は風邪で5日間体調不良で2日寝込んでしまった。実質、「東京で」「盛夏の着物を」着られる機会が45日ほどしかなく、すでに今日までぶらぶらと2週間をすごしてしまい、残り6週間、外は32度の酷暑、アスファルトの上はおそらく照り返しでプラス2~3度、しかし、真夏の太陽が勿体ないので着物を着て出かけた。
・ベージュ色にグレーの縞がカッと縦に入った駒生布
・薄緑灰色の葡萄の染めの帯
 帯と着物をコーディネートして買ったもの。
 どちらも紬の橋爪さんの着物。
 買ったのは新浦安・すゞしさん
麻の襦袢の下には、防弾チョッキのような汗取り用の下着「あしべ」を、下半身は快適な歩行を補助する、日本古来から続く男性用下着をアレンジしたステテコを、あぁそうともさ、大変なのよ、夏の着物は。でも洋服を着ていても暑いんだから、まぁ一緒よ、そうよそうよ一緒よ! しかし、街は暑かった。しかし着なかった土曜日曜を重ねるよりは有意義な行為だったに違いない、そうよそうよ違いないわ、と心に刻む。
紗の帯揚げを買う。ふわふわエアインの絽縮緬にするか、シャープな手触りの紗にするか一瞬悩んだが、何年も使えそうな、だからといって今の自分にとって地味というわけでもない柄ゆきのものを選んだら、その紗のものになった。たいそうなお値段。
夏の小物はどこまでお金を出したらいいのかわからない。安くてこまこましたものを買うよりは、持っている着物で一番高いものの格にあわせて、ちょっといいものを買うことにした。これを手にすることにより、箪笥から押し出される小物がたくさんあるなーと思いながら、センスのいい色使いの帯揚げをしげしげと眺める。
数そろえたくて着物を買いあさった時期に選んだ小物と、一通りそろって自分なりの選球眼と審美眼が育てあがたっところで選んだ小物は、やはりぜんぜん違う。初期の頃、同じものを雑誌などで見せられて「わぁーこれほしい」と思えたかどうか。たぶん思えなかったんだろうな。だって目が育ってなかったんですもの。今年は着物は手を出さず、小物を充実させる予定の予算編成にしております。いい鼻緒がほしいなー、なかなか納得する鼻緒に出会えないんだよなぁ。
もったいないといえば、わたしは自分の仕事が軌道に乗ってからの数年の、お金と自分の人生の使い方が間違っていたと深く反省している最中です。いえ、着物に大量投入した件については後悔しておりませんが、お金はもうちょっと大事に育ててあげればよかった。しかし、最初の選択って大事だったのよね、帯揚げと帯締めのように。最初っからちょっと背伸びするくらいの位置にあるものを真剣に選び、手に入れるための努力をしておけばよかった。
「反省するけど後悔しない方向で」ときっぱりとさわやかにいえるほど潔くもない思いの数週間が続いております。梅雨明けと同時に心のもやもやも晴れるか?!

3 COMMENTS

カヲル

間違ってはいないと思うけどね、
今のあなたを見ている限り。
私も悩んでいるけど、取り返しって
つかないのだよなぁと思います。

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ようこ

まだまだ量がほしくて、つい安物買いの銭失い中の私です。
でも、いつかはそこから脱して本物を見る目を養ってやる~と固く決めている最中。
せめて、「一度も着なかった」というようなことになるものだけは買わないようにしよう。
って考えると、人生の選択と着物って似てますね。

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スガ

ようこさま、小物は高いのをひとつ買っておくのがわりと得策かも。いい小物は着物をよく引き立ててくれるし。着物と帯はもう自腹でがんがん勉強するしかないと思います。着物ばかりは最初から無駄なく揃えることができないと思います。
カヲルちゃん、時間って取り返しつかないよね。。任天堂株もwiiが出る前に買っておけばねぇ。。。えぇ。。。(え、違う話?)

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