ながやす巧作品集

ながやす巧作品集 (KCデラックス)
ながやす巧作品集 (KCデラックス) ながやす 巧
ながやす巧・・・1973年から1976年に週刊少年マガジンで連載された原作・梶原一騎/作画・ながやす巧の「愛と誠」を覚えていらっしゃる方はいるでしょうか? 私は、従兄の家に並んでいる単行本の背表紙を見て、子どもが読んじゃいけないエッチな漫画というくらいしか認識がなかったのですが、実際どんな話だったのでしょう? 山本直樹の漫画で「鰯水君」というキャラクターが出てきますが、あれは岩清水君へのオマージュだったのでしょうか?
さて、そのながやす巧の画業45周年記念集として発売されたのが、この「ながやす巧作品集」。91年・99年・84年・71年に描かれた作品が収録されている。アシスタントを使わずに、一人で作品を仕上げる、もちろんパソコンなどは使わず、ご自身の手で描き切る・・・そんな作画作業を半世紀近く続けれこられた漫画家さん。もともとドラマティックな絵柄の方ですが(うん、確かにこの絵は従兄の家で見たわ、と何度かうなずいたりする)、最近はそれに繊細さ緻密さが加わり、絵画作品のような完成度の高いページに何度も出会う。
99年に描いた作品とは、高倉健主演で映画にもなった浅田次郎の「鉄道員(ぽっぽや)」。私は、映画より、小説よりも、この漫画版「鉄道員」が一番物語世界の完成度が高く、一番泣けるのではないかと思う。冒頭の見開きページ、童話のような現実離れした世界・・・しかし、それは、北海道のどこかの土地に必ずや実在するのだろうと読者に納得させるものがある。鉄道車両だけでなく、駅舎も、事務員室も、登場するもののひとつひとつが丁寧に描かれていて、絵を見ているだけで懐かしくなる。そして物語。ストーリーをすべて知っている話なのに、後半からはえぐえぐしちゃってページがめくれなくなる。えぐー。
この作品が収録された別の単行本には原作の浅田次郎が「マンガにこれほどの表現力があるとは」と解説を添えている。当作品集の解説はみなもと太郎さんですが、彼にいたっては「浅田が喉許まででかかって自制したかもしれぬ『映画をハルカに凌駕する』」と言及している。いや、確かに健さんも大竹しのぶも広末涼子もいいんだろうけど、奥田民生の主題歌も泣けるんだろうけど、この「漫画」の世界の結晶のような美しさには太刀打ちできないんじゃないだろうか。
普段だったら書店で絶対手に取ろうともしない漫画なのですが、漫画読み読みブログ成澤大輔の「マンガを読むので忙しい!」 で紹介されて、気になって読んでみました。いやー、ちょっとびっくり。人って、どんどん絵がうまくなれるんですね、その意思があれば。この前、川口能活が「もっとサッカーがうまくなりたい」と言ってるのをテレビで見たけど、そんな感じなのかなー。あれだけ高いレベルにいても、まだまだ高みを目指そうとし、実際にその位置に到達できちゃうんだ。すごいなー。画業45周年、その重みに圧倒される作品集でもあります。機会がありましたら是非!
鉄道員(ぽっぽや)
鉄道員(ぽっぽや) 浅田次郎
あ、ヒグマ、久しぶりの更新です。
おまけ。

クマー。

2 COMMENTS

田中

あ、クマだ。かーわーいいー。はい、見逃してました。固い食べ物とか与えて犬歯でカミカミしてる姿が見たいです。

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