稲刈りの話をします その1 農業体験の受け入れ


先月の五連休、9月20日(日)と21日(月)は、実家で稲刈りしてきました。実家の米は、寒冷高地用のコシヒカリ、天日で一ヶ月間干すはざ掛け米です。炊き立てはもちろん、冷めてもうまいのが自慢です。
稲刈りは一族郎党全員で一斉に行うものでございまして、(姉家族×2)+私+両親=12人(そのうち戦力は6人)、姉の旦那様が軽快に稲刈り機を動かし、わたしたちがその後始末をしていきます。そこらへんのことはまた次回ご紹介します。
前にもちらっと書きましたが、今年は田んぼを一枚、私が買ったので(えへっ☆)、そのため、稲刈りに二日要しました。今日は、この稲刈り2日目に参加した人たちの話をします。
こんな辺鄙な片田舎に農業体験にくるのは田舎暮らしに憧れてる、割と年配の方が多いので、てっきりおじさん世代の人たちがくるのかと思っていたら、きたのはアラサーのさわやか男子3人組。全員揃って、白いスニーカーに、半ズボン、七分袖のシャツ。
 くおらっ!!!
まずねー、田んぼは乾いているとはいえ、もともとは泥です。白いスニーカーはそぐわねぇんじゃねぇの? あぁん、そしてなんだい、その半ズボンと七分袖のシャツ? 稲の葉ってのは切れる上にかゆいのよ、そんなんじゃぁ30分だって作業できないわよっ! てんで、田んぼの中で「ランララランランラン♪」とナウシカごっこをしていたちっちゃい甥っこを捕まえて、「家にある軍手と、首に巻く手ぬぐい、長手袋を人数分もってきなさい」と命令。
彼らがそれらを身に付けたところで、稲をはざに掛ける作業に携わらせる。作業の最中、あちこちで若い男たちの声が響く、「わっ、カエル!」「おにやんまが飛んできた!」「トンボの数、すげー!」って君らは小学生か!?

その者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし。
3時には、みんなでお茶の時間。リーダー格の子が「あ、これ、つまらないものですが」と差し出してきた菓子折りが、南麻布のお菓子屋さんのもの。んっふふふふー、彼らの目の前で、どー見ても農家の出戻りにしか見えないおばさん(私のことだ)が、そのお店が入ってるビルの半径500m圏内に住んでるとは思いもよらなかっただろうなー、んっふふふー。
おやつを食べながら、この農業体験に参加した経緯や、彼らのプロフィールなどを聞く。彼らが勤める会社の上司が、くだんの旅館(旅館というか、贅沢な民宿といったほうがいいかも ※設備が贅沢という意味ではありません)の常連で、「あの山里がすごくいいから、お前らも行って、農業体験してこい! これが五連休の課題だーっ!」と酒の勢いで命じたらしく、彼らも酒の勢いで「アイアイサーッ」と答えてしまったと。
佐藤可士和さんも農業する時代、農ガールに森ガール、時代はエコ、行く価値はあるだろう、と渋滞の中央道を抜け、見たこともないひなびた酷道を運転してやってきたそうな。アラサー草食系男子って、穏やかでまじめで、なにしろ素直で、好感持てますぞよー、と思いましたぞよー。
「『ぼくの夏休み』みたいなところですねー」
「おばあちゃん家思い出しちゃうなー」
 くおらっ!思い出せるおばあちゃん家があるんなら、
 こんなところで農業体験なんかせず、おばあちゃん家に行きなよ!
 敬老の日はさんだ五連休なんだぜっ!
と、ココロの中で叫んだのは内緒ですー。まー、いろいろ事情があるだろうからねー。おやつの後は、山から湧き水を飲んで「うめー!」と叫んでました。なんで清水ってあんなにおいしいのかしらね、私も疑問だわ。うむうむ、そして、稲の生育って水が大事なんだろうねぇ。
それから作業に戻り、最後は、私の母の指令のもと、ちゃっちゃちゃっちゃとはざ掛け米の仕上げの作業をしてもらいました。私達はといえば、その間、もち米用のちっちゃい田んぼが最後まで水がはけず、稲刈り鎌で一斉に人力刈り。水がはけてるところは稲刈り機で、それ以外のところは手で。
彼らは「あー、手で刈ってる!」と驚いて見ていましたが、えぇ、あなたたちが立ってるその広い田んぼ、30年ちょっと前まではみんな手で刈っていたのですよー。すごいよなー、昔の人って。
とかなんとかやってる間に作業も終了。「お疲れ様でしたー」とお互い声を掛けながら、田んぼから出る。仕上げの作業も全て終わり、彼らの任務も終了。稲をはざに掛けるという意味をどうも理解してなかったようだったし、あの稲の状態からお茶碗によそわれるまでの過程も理解できてるかにゃーとも思ったし、地面からはざに移動させる間に束をばらばらにしたりといろいろアレでしたが、最後までよく頑張ってくれました。本当にありがとう。
彼らが珍しそうに体験していったこの地味な作業、来年も再来年も、その次の年も、生きている限りは続けていくの、それが農家ってものなのよ、なんて思いながら、彼らの背中を見送りました。農業体験の受け入れというのは、今回初めて立会いましたが、体験者も気を遣っていると思うけど、受け入れ側もなにかと気を遣うものだと思いましたよ、よよよ。
おまけ、その日の夕飯はすき焼きでした。

卵を何個使うのかと!!!

3 COMMENTS

スガ

今年は販売するつもりなんです。
お一人の方にはすでに30kgご予約いただいてます。
個人情報をどこまでさらせばいいのか、ものすごく悩み中・・・。

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かちゃにゃ

うちの実家の方ではおだ掛け(おだ穂掛けだったかな?)
と言います。
陸稲が主だからだろうか、それともただの方言かしら。
あ、今いる滋賀ではなく北関東です。

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