稲刈りの話をします その2 稲刈り・はざ架け米

はざ架け米
激写、はざ架け米!!
今日は、先月19日に行った稲刈りの話をします。

上は稲刈りの途中の写真です。
稲は稲刈り機で一列ずつ刈っていきます。
奥に見えるのが「はざ」。父親手製のはざで脚は木の枝、丸太を削って最大直径15cmくらいの棹をつくり、組んだ脚にかけています。一番長い歴史をもつもので30年くらい使っていると思います。壊れたり傷んだり、木が乾燥して割れてしまったら、山に行って適当なものを切り倒したりして新しいものをこしらえます。これらは、田んぼの近くの納屋にしまわれており、稲刈りの時期に運び出され、脱穀が終わるとまたきちんとしまわれるのです。
稲刈り機は、今はバインダと呼ぶそうですな。写真を見てもらうとわかりますが、稲を5~7株刈って、ある程度の太さになると、麻紐で縛る(バインド)するからです(参考に、イセキのページ)
最初から稲刈り機が田んぼに入れるわけではなく、機械が入れるように、田んぼのかどっちょを稲刈り鎌で刈り、道筋をつけてあげます。
稲刈り鎌は、刃がぎざぎざにとがっていて、これで稲を刈ると、ジャキッジャキッと音がして、とても気持ちいいです。あぁ、刈ってる刈ってる☆、と実感できる楽しい音なのです。
機械に刈られた稲は束になり、田んぼの上に置かれていきます。刈られたそばからスペースができるので、そこで父親がスピーディにはざを作ります。これがもう一子相伝っちゅーか、本気で誰かがその技術を相続しないと大変なことになりそうなもので、毎年毎年、姉の旦那さまが挑戦するのですが、なかなかうまくいきません。
はざを建てるときは、重心のかけ具合や全体のバランスの良さに注意します。立地選びにもノウハウがあり、台風がきたとき、どちらの方向に風が抜けるのか、風に真正面にぶつからないように見極めてから設置します。谷の中の田んぼなので、ある程度風の通り道は決まっていますが、それでも、なかなか難しいようです。先週の台風18号のときも、そのはざが一列、風にぶつかったため倒れました。台風が過ぎ去ったあと、両親は新たにもう一列はざをつくり、地面に落ちたものを拾い架けなおしたそうです。そんな目にあっても、「この程度で済んでよかったわい」といえる気持ちの深さ・広さに、我が親ながら立派だなと思うのです。
さて、地面に落ちた稲の束を拾い集めるのはこどもの仕事。小学生の甥っこ集団の力の見せどころ! バインダは、実はあまりバインディングの力が強くなく、麻紐はゆるくなっています。ちょっと手荒に扱うと、ばさばさーっと落ちてしまうので、やさしく丁寧に、『お米一粒一粒に神様が宿っているんじゃい、この瞬間からなっ!』と諭しながら、集めさせます。
集められたものを、片っ端からはざにかけていくのは、大人の仕事。たくさん架けすぎるときつくてうまく乾燥しないし、ゆったりと架けるとスカスカになる上、スペースも要するので、ここでも少々の経験を要します。
稲刈り機で刈り終わると、田んぼ中に稲束が落ちています。「これ、全部集めるのも無理だし」と三年生の甥っこはいいますが、「ひとつひとつ片付ければ、やがて全部終わるのよ」という母親(彼らにとってはおばあちゃん)の言葉を信じ、必死に集めます。田んぼから稲束がなくなれば、彼らの仕事は終わりですが、その頃には、別の田で稲刈りが始まっているので、休む間もなく移動し、また次の作業にとりかかります。
刈られたばかりの稲束はそれなりに重みもありますが、半日も天日干しにすると、たいそう軽くなります。これを一ヶ月も続ければ、稲束は藁と呼んでいい状態になり、他の農作業で利用できるようになります。
刈られたときには稲穂だったものが、雨にさらされ、風にさらされ、天日にさらされていくうちに、じわじわと自然の力で乾燥していき、それぞれが米粒になっていきます。その期間は約一ヶ月、この一ヶ月を待つのが、ポイントです。この一ヶ月が、冷めても美味しいご飯をつくる力になります。
全部をはざに架け終わったら、最後に落穂を拾います。じっくりと田んぼの上を歩き、一本一本拾い集めます。機械が締める紐が弱いので、かなりの本数が落ちています。腰に鎌をさし、機械が刈り取れなかった稲株があればその鎌で刈り取ります。子どもが歩いて集める後ろから大人がついていき、すべての落穂を拾いあげます。集めると結構な量になるので、それは藁で縛り、はざに架けます。
今年は、田んぼを増やしたので、その作業を二日かけてやりました。こんな風に一族総出で稲刈りができるのはいつまでだろう、とちょっと考えながら、家路につきます。そして夜には月と星。

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